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もう自宅に遺骨を置かなくていい!財布に優しいお墓のサブスク「偲墓」はなぜ生まれたのか?

皆さま初めまして!そうでない方は、いつもご覧いただきありがとうございます。ファイナンシャルプランナーでWebライターの土田です。

突然ですが、自身または自分の親の最期を考えたとき「お墓代って誰が払うの?」「いくら必要だろうか……」と不安になったことはありませんか。実際にお墓を建てるとなると、初期費用だけで100万円以上かかることもあります。こうした高額費用を自分たちで負担するとなると、人によっては今後のライフプランに支障が出ることも十分にありえます。

また「子どもや孫に手入れなどの負担を押し付けるのではないか」と、お墓を建てた後のことを心配する方もいるかもしれません。
とはいえ「親はせめて供養したい」「自分が亡くなったときに供養してもらいたい」と考える方も多いはずです。そのような方が選択肢として持っておきたいのが「お墓の定額サービス」です。

今回ご紹介する、お墓の定額制サービス「偲墓(しぼ)」は、利用料として毎月3,000~5,000円程度はかかるものの、初期費用を20万~50万円程度にまで抑えられるので、家計の負担がぐっと軽くなります。たとえ10年以上使い続けたとしても、自分でお墓を建てる場合よりも費用を抑えられる画期的なサービスです。

この記事では、偲墓を手がける株式会社佛英堂の野呂英史さんにお話を伺いました。サービスの魅力やどのような方が利用しているのかを聞いてみましたので、ぜひご覧ください。

▼今回お話を伺った人
野呂英史さん(株式会社 佛英堂 代表取締役)
三重県松阪市にて「仏壇・仏具専門店 ぶつえいどう」を運営
Yahoo!ショッピングや楽天市場など、オンラインでも展開している

お墓の定額制サービス「偲墓」とは?

画像提供:株式会社佛英堂

――本日はお時間をいただき、ありがとうございます。まずは「偲墓」がどのようなサービスか簡単に教えてください。

毎月の利用料をお支払いいただくだけで、永代供養付きの個別のお墓を利用できる、まったく新しい形のお墓の定額制サービスです。
永代供養とは、お寺や霊園がご遺族に代わって遺骨を管理し、供養を行うことです。通常お墓を建てる場合、墓石代や工事費などで100万円オーバーが当たり前ですが、「偲墓」であれば初期費用が25万円程度で済むので、金銭的な面でお墓を持ちやすくなります。

――初期費用が安いのは助かりますね。定額制にすることのメリットは他にもありますか?

まず、お墓を受け継ぐお子さんやお孫さんの負担を減らせることです。管理に手間がかからないですし、永代供養も保証されているので、故人を尊重して個別にしっかりと供養したいという想いにもお応えできます。後継者がいない方でも安心して利用できるように、利用期間を自由に決められるのも大きな特徴です。
実際に10年間使っても費用は71万円と、お墓を建てるよりもずっとお得になるように料金を設定しています。

――利用できる地域は三重県(株式会社佛英堂の所在地)が中心となるのでしょうか?

2025年8月の時点で、三重県、愛知県、東京都など13都府県にある44カ所のお寺と提携しています。県をまたぐ引越しであっても、提携寺院があるところなら移設もできるので、利用者様のライフスタイルに合わせて使っていただけます。

――サービス立ち上げの段階では、他にも定額制のお墓サービスを行う会社はあったのでしょうか?

立ち上げ当時は、お墓の定額制サービスを行う事業者は当社が初めてだったと思います。利用者の方にとって本当に使いやすいサービスとは何かを徹底的に考えてみた結果、定額制という形にたどり着きました。

「自宅に置いている遺骨をどうすれば……」きっかけは仏具店に来られるお客様から寄せられた悩み

画像提供:株式会社佛英堂

――「偲墓」を立ち上げることになったきっかけを教えてください。

私たちは仏壇や仏具を販売するお店を経営しているのですが、ここ10年ほどで「親が亡くなってから自宅に遺骨を安置したままなのですが、このままでいいか心配です。お墓を建てるお金もないし、管理も大変そうで……何かいい方法はありませんか?」というご相談が増えてきたことです。当初は「お寺さんにご相談ください」と伝えていたのですが、それでも相談が後を絶ちませんでした。
詳しくお聞きすると、お寺さん側も一般的なお墓以外の方法、例えば樹木を墓標とする「樹木葬」や、お寺が家族に代わって供養を続ける「永代供養」などを提案できない事情があることがわかりました。実際に、三重県のような地方では「特定のお寺の檀家になってお墓を建て、お布施や会費でお寺を支援する」という形が一般的です。しかし、経済的な問題や後継者がいないといった理由で、お墓を建てたくないと考えている方は年々増えています。

――遺骨を家に置いたままの状態を解決したいと考える背景はなんでしょうか?

供養したいという想いと、保管上の問題、この2つが大きいと思います。
遺骨を自宅に置いたままだと「お墓に入れてあげられず故人に申し訳ない」という気持ちから、しっかり供養できていない感覚に悩む方は多いです。
それから、遺骨の保管状態にも気を配らないといけません。適当なところに保管していると、カビが発生する原因となりますから。
利用者の方はしっかり遺骨を供養してあげたい、でもお寺さんには解決策がない。この状況を何とかするために、三重県津市にある利生山浄誓寺さんと奈良県桜井市にある墓石屋の株式会社begodさんと共に意見を出し合い、新しいサービス「偲墓」を始めました。

偲墓を利用した方の感想は?

画像提供:株式会社佛英堂

――実際に「偲墓」を利用するのは、どのようなお悩みを持つ方が多いのでしょうか。

これまでお墓を持っていなかった方が大半です。ご相談に来られるのは60代くらいの方が多く、ご自身も高齢で、お子さまが後を継いでくれる見込みがなかったり、遠方に住んでいたりする傾向が見られます。「子どもにお墓を継がせるのは難しいけれど、亡くなった親のことはしっかりと供養してあげたい」と考える方が最も多いですね。

――利用を決める一番のポイントはなんですか。

後継者がいない方にとっては「永代供養が保証されている」という安心感が大きいようです。ご自身が病気や介護が必要な状態になるなどでお参りに行けなくなっても、お寺が責任を持って供養してくれるという保証が決め手になっています。

――実際に利用した方からは、どのような感想が寄せられていますか。

「一般的なお墓と同じように、自由にお参りができるのが良い」という声をたくさんいただいています。例えば、遺骨を建物の中で保管する「納骨堂」の場合、住職さんに声をかけて堂内に入らないといけないので、早朝などにお参りできないこともあります。「偲墓」なら24時間いつでも気軽にお参りできるので、その点をとても喜んでいただいています。

寺院への導入は初期費用と想いが決め手に!一方で、まだまだ課題も……

画像提供:株式会社佛英堂

――現在、13都府県・44カ所のお寺と提携されているとのことですが、お寺さんが導入する決め手はなんでしたか?

決め手となったのは「供養したくてもできない人をゼロにしたい」という私たちの理念に共感していただけたことです。お寺さん側も「遺骨を自宅に置かざるをえない状況がある」ことに対し、解決策を提案できないもどかしさを感じていたようです。偲墓が解決する手段になりえるなら、ということで導入を決めてくれました。
それに加えて「初期投資なしで現代的なお墓サービスを導入できる」という点も、決め手のひとつだったと思います。

――初期投資がないというのは、お寺の方にとってやはり重要なのですか?

はい。地方のお寺には葬儀屋や終活関連の会社から「樹木葬事業を始めませんか?」といった提案がひっきりなしに来るそうです。おそらく、地方で樹木葬を提供しているお寺さんが少ないことに、業者が目を付けているのでしょう。
ただ、樹木葬を導入するには土地の整備から始める必要があり、初期投資だけで数百万から数千万円もかかることもあります。
しかし、地方では人口が減少傾向にあり、将来利用してくれる人がどのくらいいるかわからないので、投資額を回収できる保証はありません。それに対し「偲墓」なら利用者が決まってから墓石を設置するので、お寺さん側の金銭的な負担がほとんどなく、新しいサービスを始められます。

――それなら、お寺の方も喜んで導入してくれそうですね。

ところが、実際はなかなかスムーズに進まないのが現状です。説明をすれば9割方のお寺さんは賛同してくれるのですが、そこから「導入しよう」と踏み切っていただけるかというと、また別の話になります。今までのお墓事業と比べると収益性が低く感じられることから「世代交代の時期で息子の代になったら検討します」と、遠回しにお断りされることも少なくありません。

――導入しないということは、お寺の経営はそこまで困っていないということでしょうか?

私が見た限りですが、経営難に陥っているお寺さんは少なくないと思います。実際に、私と接点のある住職さんを見てみても、別の仕事と兼務されている方は一定数います。そのような住職さんほど安定志向で「新しいサービスを導入して事業を広げよう」という発想には至らないのが現状です。

――偲墓の今の大きな課題は、提携寺院をいかに増やすかということでしょうか?

はい。このサービスはお寺さんと二人三脚で進める必要がありますから。提携寺院が増えれば、利用者の方が引っ越しても継続して使ってもらえますし、満足度アップにもつながります。ですから、提携寺院を増やすことが重要な課題だと考えています。

誰もが供養できる社会にしたい

画像提供:株式会社佛英堂(写真は三重県津市の利生山浄誓寺より)

――お墓の社会問題として、管理されずに放置される「無縁墓」の問題があります。「偲墓」の仕組みはこの問題の解消にもつながるのでしょうか。

仕組みとして、無縁墓が絶対に生まれないようになっています。従来の檀家制度では、お布施が払えなくなってもお寺が勝手にお墓を撤去することはできませんでした。しかし「偲墓」では、利用者様と当事務局が直接契約を結んでいるので、規約で「利用料の支払いが1年間滞った場合は、お寺の判断で墓石を片付け、永代供養墓に移す」ということができるようになっています。

――これからの取り組みや目標について教えてください。

先ほど「提携寺院をいかに増やすかが課題」とお話しましたが、まずはひとつの市区町村に最低1件は提携寺院を確保したいと考えています。最初に三重県内、そして東海地方で認知度を高めて、一般的なお墓と並んで「偲墓」も選択肢に挙がるようになればと考えています。
「偲墓」がもっと身近になれば「供養したくてもできない」という方を減らすことができます。ひとりでも多くの方が遺骨を自宅に置かずに済むように、引き続き取り組んでいきたいです。

お話を伺ってみて

私に「偲墓」の存在を教えてくれたのは、以前取材させていただいた株式会社begodの井上太地さんでした。それまでは、お墓というものは百万円超の大金を払ってお寺に建てるしかないと思っていました。そのため、定額制で移設もできるというのは新しい発想だと思い、今回お話を伺う機会をいただきました。

現在ぼくは栃木県に住んでいますが、先祖のお墓が石川県金沢市にあります。車で7時間ほどかかる距離にあるので、まだ先の話ではあるものの、もし自分が実家のお墓を引き継いで管理することになったら大変だろうと、ぼんやりと考えています。

偲墓のようなサービスがお墓の一般的なスタイルになったら、お墓の管理に費やしていた時間やエネルギーを、自分の人生を有意義に過ごすために使えるのだろうと思います。

そしてぼくのように、先祖のお墓が遠方にある方にとって、偲墓のようなサービスがあればライフスタイルに関係なく故人をしっかり供養できるのでしょう。「供養できていない感じがして、お世話になった親に対して申し訳ない気分になる……」こういったモヤモヤを抱える人が減り、残された家族がより充実した日々を過ごすきっかけにもなるのではと感じました。

偲墓について 
運営会社:株式会社佛英堂
住所:三重県松阪市中町1989
事業内容:仏壇・仏具の販売、お墓の定額サービス「偲墓」の運営
URL:https://ohaka.inory.jp/ (偲墓)
   https://butsueido.com/ (会社HP)
提携寺院:三重県、愛知県、東京都など13都府県に44箇所に展開(2025年8月現在)

本記事のインタビュアー
土田 崇央
栃木県宇都宮市を拠点にWebライターおよびファイナンシャルプランナーとして活動。
Webライターとしては金融ジャンルを中心に執筆・編集に携わる。
また、ファイナンシャルプランナーとしては30~40代の子育て世帯を中心に、家計簿改善やライフプランシート作成などに対応。

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