C値0.3の住宅にありがたいパナソニックの熱交の機能
現在の家作りに求められる「快適・省エネ」についての技術的ポイントを
工務店側の視点でご紹介。
室内負圧関連。
前回の記事で示したように、高気密住宅でレンジフードファンを稼働させると、室内が大きな負圧状態になる。そうなると、浴乾やパイプファンが逆転する。(正しくは静圧の弱い浴乾やパイプファンが逆転する)
なので、室内負圧を意識した設備計画や給気計画が必要になる。
そうは言っても、これが結構難しい。
で、例えば以下のような住宅があったとする。
延床面積120m2(仮に実質延べ床面積140m2とする)
C値0.3cm2/m2
このような高気密住宅は増えている。
で、屋根断熱の小屋裏や基礎断熱の床下を床面積に算入して、実質延床面積が140m2だったとすると、140×0.3=42cm2の隙間があることになる。
次に室内負圧の許容値を30Paと設定する。
これは、パイプファンの逆転、玄関ドアが重いなどの問題をギリ回避できる性能だ。(ただし、薪ストーブを設置する場合はもっと低い室内負圧---ドイツでの基準は4Pa---にする必要がある)
この住宅で500m3/hの排気(レジフードファン<強>)を行いつつ、30Paの室内負圧にとどめるために必要なαA(開口面積)はおよそ160cm2。(ρ=1.2、n=1.5とする)
αA160cm2は「隙間」と「計画的な開口」の合計でまかなうことになる。
そうすると160-42=118cm2なので、必要なαAは118cm2はとなる。
これは一般的なφ100の自然給気口換算で6個~8個程度となる。
24時間換気が第三種換気の場合、自然給気口が既に6個程度ついているだろうから、さらに、6個つけるのか?まじで?となる。
24時間換気が第一種換気の場合でも、一種熱交なのに自然給気口が6個いるの?まじで?となる。
で、一般的には高気密住宅には同時給排や連動シャッター(レンジフードを稼働させると電動でシャッターが開く給気口)を設置する。これらはαAのデータがないことが多く、給気量がわからない。
ただ、私も「室内負圧」というマイナーな測定を指にタコができるぐらい行ってきた。そして以下の知見を得た。
C値0.5<・・同時給排や連動シャッターがあればレンジフードファンを
<強>運転しても30Paにならない。
C値0.5>・・同時給排や連動シャッターがあってもレンジフードファンを
<強>運転すると、30Pa以上の室内負圧になる。
※住宅の大きさによる。これは実質延床面積が140m2程度とする。これより床面積が小さい場合はよりシビアになる。
そうなのだ、C値0.5だと30Paぐらいにギリ納まる。(ってことは、同時給排や連動シャッターのαAはおよそ100cm2なのだろう。---同時給排はダクトをつなぐのでダクトの長さ、曲がりによってαAは大きく変わる---)
問題はC値0.3より優位な性能の場合。これだと同時給排等だけでは開口面積が足らない。なので、さらに開口が必要になる。
先ほど示した住宅、C値0.3、実質延床面積140m3の場合で考える。
必要開口160cm2-42cm2(隙間)-100cm2(連動シャッター)=18cm2
となるので、φ100の自然給気口1~2個追加すれば30Pa以下にコントロールできる。
けど、さらに穴が必要なのか・・。と思うのが人情。せっかく、現場の努力で穴を塞いでC値0.3にしたのに。
と、ため息をついた工務店さんで、且つ、パナソニックの熱交を使っていたなら朗報。穴を追加しなくてもよいかも。
パナソニックの熱交には室内負圧を軽減させる機能を搭載した機種がある。
レンジフードファンを動かすと、連動して熱交の給気ファンと排気ファンのバランスを変え、給気量を増やすのだ。

上記にあるように、レンジフードと有線接続することによって、給排気バランスを崩して、およそ200m3/hの給気過多状態をつくれる。
この200m3/hという数字が素晴らしい。
鼻血が出るぐらいの室内負圧測定によって経験知として分かったのが、C値0.3より優位だと、同時給排等にしてもおよそ200m3/hが処理できない、ということだ。で、この機能を使うと200m3/hの給気過多にできるので解決できることになる。穴はあけなくてよい。
さらに、参考データが掲載されていた。

これによると、
・C値0.2
・レンジフード<強>、同時給排あり(風量400m3/h)
で、運転すると室内負圧は45Paになるが、連動で熱交の給気量を200m3/h増加させると、12Paの室内負圧まで解消されるとある。
私の痔になりそうぐらいの室内負圧測定の経験知と合致している。
これは使える。
今までこの機能の存在は知っていたが、パナソニックのアイセグを採用しないと使えないと思っていた。どうやらそんなことはないらしく、有線接続で利用可能とのこと。また、他社レンジフードファンともリレーをかませば対応できる様子。
※詳しくはパナソニックさんに聞いてほしいです。
※機種にって、対応していません。
さて、給気側にファンがある熱交ならどれでも同じように給気過多にできるであろうか、いやそんなことはない(漢詩的反語表現)。
パナソニックの熱交で関心するのはそのファン静圧の高さなのだ。
(ファンの空気を押し出す強さ。)
例えば、上記の機能を搭載したFY-KBD2のファン特性を確認する。

そうすると、静圧160Paまで180m3/hの風量を確保できることがわかる。
これはなかなかすごい。
そして、この表にある「急速換気」がレンジフードファンと連動した給気モードだと考えるが、100Paでも250m3/h給気できるのだ。
ここまでの静圧能力のある熱交は住宅用途では少ない。
この熱交がもし静圧0Pa状態(つまり、給気側にダクトも制気口もつないでない状態)で風量を測ると、(この表には出てないが)およそ350m3/h程度の風量があるのではないかと思う。
他社の住宅用途の熱交だと0Paだと200~250m3/hの風量が多いので、他社の熱交だと、この機能を搭載しようと思っても限界があるのだ。
以上、室内負圧についての具体的な数値目標をパナソニックの熱交の知られざる機能についての説明でした。
