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「ミラーズ」第1話/創作大賞2024/漫画原作部門


「ミラーズ」第1話

あらすじ(3話以降も少し含む)

捜査一課のエース・日白歩ひしろあゆむの前に謎の犯罪集団・re:dOリドゥが現れた。
re:dOによって逮捕目前まで追い詰めた犯罪者を奪われた歩は警視庁の都市伝説である警視庁特殊作戦班・エルフェスに移動することとなり、12年前に家族が殺害された未解決事件を捜査することを目的とする。
エルフェスとre:dOは協力関係にあり、未解決事件の犯人を特定し、殺害。
歩はその行動を止めようとするが、実は彼らはその血液や臓器を臓器提供を必要とする人々に支援していたのだった。
「死ぬべき奴が死に、生きるべき奴が生きる。」
警察官だった父のように正義を貫きたい歩だが、彼の心は徐々に揺らいでいく___。

世界観

現代の日本に非常に近いが、刀が使われることがあったりと、異なる点はある。
この国では臓器移植のドナーが少ない事が問題視されていて、re:dOやエルフェスの発足に影響を与えている。

3話までの登場人物

日白歩ひしろあゆむ(23)
黒髪の短髪。部屋にほとんど物がない。
友人や恋人もいない。家族を失ったことで大切な存在を作ることが怖くなっているのだと思う。この火事の時に右手に火傷を負った。火が嫌い。
元警視庁捜査一課のエース。
12年前に家族を殺され、その犯人を逮捕するために警察官の道へ。
警察官だった父のように、正義を貫きたいと考えている。

*蘭(23)
re:dOのリーダー。
黒髪ロング。喫煙者。
父と兄に酷い仕打ちを受けていた。
母と2人で貧しいながら幸せに暮らしていたが、歩の家族を殺した犯人に母を殺される。母の葬式にすら顔を出さなかった父と兄を自らの手で燃やして殺害。
その時に左手に火傷を負った。火が好き。
歩と同じ犯人を追っている。

*佐藤大(26)
イケメン。色素が薄い。
エルフェスのリーダー。歩の家族、蘭の母を殺害した犯人。
普段は物腰柔らかい感じ。
15年前に斉藤が見逃した凶悪犯が運悪く大の自宅に立てこもり、家族が殺されたことで斉藤を恨んでいる。
斉藤の家族を人質に取り、家族ぐるみの付き合いがあった歩の家族を殺すなど、斉藤を苦しめたいという思いと、誰かと苦しみを分かち合いたいという気持ちがある。

*斉藤健二(48)
黒髪の短髪。妻子あり。
歩の父と同期だった警察官で、歩の家族が死んだ後、歩の面倒を見ていた。
15年前に恐怖により、凶悪犯を見逃してしまったことで佐藤に恨まれ、家族を人質に取られていることで、歩がエルフェスに移動になるよう仕向けたりと影で動いている。

*美玖鈴(20)
栗色のロングヘアー。童顔。
re:dOのメンバー。元気。
綸とは幼馴染。

りん(20)
青色の短髪。
re:dOのメンバー。
父親がヤクザだった影響か少し口が悪い気がする。美玖鈴が好き。
美玖鈴にはりんりんと呼ばれている。

*夏川祭凛(16)
夏祭りをイメージしたキャラクター。
赤いロングヘアー。りんご飴か綿飴のピアス。
甚平や浴衣などを着ている。
島育ちで幼い頃から金のために売春をさせられ、その金で両親はギャンブルをしていた。
そんな彼女の心の支えは島の頑固ジジイ・松爺だった。
松爺と一緒に行った夏祭りの影響で今のファッションを好んでいる。

*ジェイド・ムーア(28)
日本好きの外国人。とにかく強い。

伊貫紗羅いぬきさら(17)
金髪ボブの美少女。無口。
家族を殺してくれた大を愛していて、大のためだったらなんだってしたいと考えている。

物語の展開

歩は家族を殺されている過去もあるため、re:dOやエルフェスの「正義」を見て、正直気持ちが揺らぐ。
けれど最後まで自分信じた正義(法律上の正しい行い)を貫いて、家族を殺した犯人・佐藤を逮捕する。

本編(★は作画イメージ)

◯日白宅前(夕)
★歩目線で
歩「ごめんなさい、通して!」
日白歩(11)が野次馬をかき分ける。
歩M「サイレンの音、野次馬のざわめき___」
野次馬を抜けた先では日白宅が炎に包まれていた。
歩M「その先で俺の家は燃えていた」

★読者目線で
家に近づく歩を消防隊が慌てて抑える。(この時右手の火傷を負う)
消防隊「危ないから下がって!」
歩「中に皆が……!父さん、母さん、梨花ー!!!」

◯居酒屋月歩・店内4名席(深夜)
外の赤提灯に「月歩」の文字。
こじんまりとした安い居酒屋。
若者よりサラリーマンが集まる落ち着いた雰囲気。

日白歩(23)は向かいに座る上司・斉藤健二(48)の話を永遠と聞かされていた。
斉藤「本当によぉ……歩は優秀だよ!俺はちゃんとわかってるんだからな!あの禿頭もその上もなんもわかっちゃ居ねえんだ!」
斉藤はグラスをテーブルに叩きつける。
だいぶ出来上がっているようだ。
歩「斉藤さん、飲み過ぎですよ。」
斉藤「2人の時は敬語はやめろって言ってるだろぉ!呼び方も違う!」
歩「僕が部下になって結構経つんですから、慣れてくださいよ。」
斉藤「嫌だね!」
斉藤はテーブルに突っ伏してすやすやと寝息を立て始めた。
歩「良い加減、自分のキャパくらい把握してよ。」
歩はそう言いながら自分のジャケットを斉藤にそっとかけて、斜め上にあるテレビに視線を移す。
テレビ「ここで速報です。今月3日未明、神奈川県川崎市にある地下駐車場で男性の遺体が見つかった事件ですがDNA鑑定の結果、6年前から世間を騒がせていた未解決事件、女児誘拐殺人事件の犯人だということがわかりました。犯人の名前は里倉肇。未解決事件の犯人が殺害された事件は30件目となりました。遺体の血液と臓器が抜き取られ、額にre:dOと刻まれていたことから、警察は謎の組織re:dOとの関連性を捜査しています。」
歩「re:dO。」

○警視庁捜査一課(朝)
歩「おはようございます。」
歩が中に入ると、視線が集まった。
その中で歩に一番に近づいて来たのは三芳(28)である。
三芳「やあやあ、大エース。」
歩「その呼び方やめてくださいよ。」
三芳「本当のことなんだからいいじゃないか。いくつもの事件を解決してきた天才だろ?」
三芳の後ろから一課に配属されたばかりの結城(22)が顔を出す。
結城「でもまたre:dOにやられちゃいましたよ。」
そんな結城を三芳が小突く。
結城「痛い!女の子を叩くなんて何事ですか?!」
三芳「余計なこと言うからだろ。」
結城「でも本当のことですよ!部長は怒って頭の先まで真っ赤っか。まるで茹ダコでしたよ!」
結城はそう言って手足をくねらせてタコの真似をする。
歩「そうですね……」
結城「それにしてもre:dOって何者なんですかね?世間ではメシア様とかヒーローとか呼ばれてるみたいですけど。」

歩M「re:dO。彼あるいは彼らは血液と臓器を奪った後その遺体を捨てる。捨てられた遺体の一部にre:dOと刻まれていることから俺たちは得体の知れないそれをそう呼んでいる」

三芳「何がヒーローだよ!ただの人殺しだろ。今回で30人だぞ?」
歩M「今までre:dOが殺害して来たのはどれも未解決事件の犯人だ。警察が突き止めることが出来なかった犯人達を彼らは葬っている。その様を世間はヒーローと呼んでいるのだ。」
歩「未解決事件……」
★歩の脳裏に12年前の事件(日白家放火殺人事件)で家が燃えている様子が浮かぶ。
三芳「こっちは毎日必死に捜査してるんだぜ。」
結城「どうやって犯人を突き止めてるんですかね?もしかして魔法?」
結城はそう言ってどこからか取り出した魔法のステッキを振るう。
★コマの端に「そんなものどこから……?」って感じの歩が欲しい
結城「あ!もしかしたらエルフェスと手を組んでるとか?!」
歩「エルフェスってあの?」
結城「警察の皮を被った殺人集団・エルフェスです!」
三芳「あんなのただの都市伝説だろ。」
結城「三芳さんにはロマンってものがないんですか?!」
三芳が再び結城を小突く。
三芳「殺人集団のどこがロマンなんだよ、馬鹿。」
結城「女の子を叩く三芳さんの方が大馬鹿です!もう知らない!」
その時、部屋にサイレンの音が鳴り響いた。

○廃れた商店街(朝)
酒屋、駄菓子屋、豆腐屋など昔っぽい店が並んでいるが、どれもシャッターが降りている。
三芳「大エース、そっちどうだ?」
歩は耳元の無線に手をやる。
歩「だからその呼び方やめてくださいって。こっちには犯人らしき人物は居ません。」
三芳「こっちも確認できない。もう少し奥へ進もう。」
歩「了解。」
2人は合流して奥へと進むが人影を確認することが出来ない。
三芳「こりゃ、ガセか?」
歩「それはなんとも言えませんね。」
三芳は煙草を咥えると、歩に煙草の箱を差し出すが、歩は手を振ってそれを拒む。
三芳「(煙草を咥えながら)それにしてもここは随分廃れちまったな。俺がガキの頃はよく駄菓子買いに来たもんだ。」
歩「廃れてて助かりましたよ。周りを気にしないで済みますから。」
三芳「まあ、それもそうだな。」
歩はポケットから綾瀬駿の写真を取り出す。
歩M「綾瀬駿。強盗殺人8件。強姦が26件……。これはあくまで俺達が把握出来ている数。実際はもっと多いかもしれない……。」
その時、歩は視界に黒い影を捉える。
歩「(小声で)三芳さん!」
2人は銃を抜き、歩を先頭に影が見えた方向へ進む。
建物の裏から男女の声が聞こえる。
綾瀬「そんなに怖がらなくて、大丈夫だよ〜、ちゃんと優しくするからね〜。」
女性「んー!んんんんーっ!!!」
2人が建物の影からそっと覗くと、口を塞がれた女性に馬乗りになってナイフで服を切り裂く綾瀬の姿があった。
三芳「応援呼ぶか。」
歩「連絡したんですけど、やはり人手が足りないとのことです。」
三芳は吸っていた煙草を踏んづけて消す。
三芳「そうだったな。」

三芳が建物の裏から反対側に回った所で、歩が綾瀬の前に姿を表す。
歩「動くな!」
綾瀬は歩の方を見向きもせず女性の服を裂き続ける。
歩「綾瀬!お前を逮捕する!」
綾瀬は歩に背を向けながら片手をあげる。
綾瀬「そう焦るな。ショーが盛り上がるのはこれからだ。」
綾瀬は女性の露出した胸に手を近づける。
歩は綾瀬の掴みかかって女性から引き剥がす。
歩「三芳さん!」
歩が声をかける頃には、三芳は女性を抱えていた。
三芳「いけるか?」
歩「30でいけます!」
三芳「さすが大エース様だ。」
現場には歩と綾瀬の2人だけ。
綾瀬は歩の手を振りほどき、ナイフを構える。
綾瀬「おいおい、ガキがショーの邪魔してんじゃねぇよ!!」
歩は銃をしまって空手のように構える。
綾瀬「代わりに殺人ショーだ!」
綾瀬が歩にナイフを刺そうと走ってくるが、歩は体術であっという間に綾瀬を制圧する。
綾瀬「ううぅ……」
歩「30じゃなくて3秒だったな。」
歩が綾瀬を連れて車に戻ろうと歩き始めた時だった。

美玖鈴「ストーップ!!」
女性の声がしたと思ったら、歩の頭上から全身に黒いマントを羽織り、黒い仮面をつけた3人組(蘭・綸・美玖鈴)が降りてきた。
歩「なんだお前ら?!」
綸「さっさとよこせや!!」
歩「よこせってなっ……」
歩がそれを言い終わる前に綸が手を伸ばす。歩はその手を反射的に叩いた。
すると、綸が地面に倒れる。
綸「痛ぇえええええ!!!!」
歩「え?」
綸「こりゃ粉砕骨折だ!どう落とし前つけんだゴラァ!!」
歩「いや……え?」
美玖鈴が倒れる綸の隣に跪く。
美玖鈴「りんりん!」
綸「ミク……」
美玖鈴「りんりん死なないで!!」
綸「ごめんな……」
美玖鈴「りんりーん!!!」
歩「何この茶番。」
蘭「こら。」
蘭が2人の頭を叩くと、彼らは何事もなかったように立ち上がる。
蘭「ごめんね、歩君。2人ともテンション上がっちゃってるみたい。」
歩「なぜ俺の名を知っている。」
蘭「知ってるに決まってるよ。だって……」
次の瞬間、歩の目の前に蘭が迫る。
歩M「速い……!」
そしてあっという間に綾瀬を取られてしまった。
★蘭の左手の火傷が見える。
歩「火傷......?」
蘭「歩君は特別だから。」
歩「特別?」
蘭が綸に綾瀬の身柄を預けると、3人は腕から黒いワイヤーのようなものを伸ばしてあっという間に屋根の上へと登る。
歩「おい!そいつをどうする気だ!」
綸「取るもの取るだけさ。」
美玖鈴「その後はポイ!」
歩「お前らまさか……!」
蘭「頑張ろうね、歩君。」
歩「おい!」
こうして3人は綾瀬を攫って行った。

◯警視庁捜査一課(夕)
デスクにぼーっと座る歩の元に結城がやって来た。
結城「re:dOが現れたって本当ですか?!」
歩「……確証は無いですが、その可能性が高いと思います。」
結城は興味津々と言った様子で目を輝かせ、更に歩に近づく。
そんな結城の頭を再び三芳が小突く。
結城「あ!また、叩きましたね!もう合コンのセッティングだってしてあげませんから!」
三芳「そ、それとこれとは話が違うだろ?出会いのないおっさんを助けると思ってさ!な?」
結城「ごめんなさいは?」
三芳「大変申し訳ございませんでした!!」
三芳は美しささえ感じられる土下座を披露する。その背中に先輩の威厳はない。
結城は満足気に頷いた。
歩「こっちも茶番だ。」
斉藤「日白。」
歩が振り向くと、斉藤の姿があった。
歩「課長、お疲れ様です!」
慌てて敬礼する歩を見て斉藤はにこりと笑った。

○BARティアソル・店内カウンター席(夜)
歩と斉藤、共に酒を飲む。
斉藤「re:dOが現れたらしいな。」
歩「推測の域を出ませんが。」
斉藤「だから、敬語!」
歩「ですから……」
斉藤が不貞腐れたように顔を背けるので、歩は小さくため息をつく。
歩「ケンさんはどう思う?」
斉藤「そうだな〜、歩の話を聞く限り私も奴らの可能性が高いと踏んでいる。ただ、街中で真昼間からって所が気になるがな。」
歩M「確かにそうだ。re:dOは今まで真夜中の刑務所から犯罪者を連れ去っていた。それが今回は真昼間に警察官の手から堂々と……」
歩の頭の中で蘭の声がこだまする。

蘭『頑張ろうね、歩君。』
★蘭の左手の火傷が思い浮かぶ。

歩「一体何者なんだ……。」
★歩は自分の右手の火傷を見つめる。
斉藤「そうだ、次の休みに墓参りに行かせてもらうからな。」
歩「うん、ありがとう。」

○ BARティアソル近くの電柱(夜)
黒い影(伊貫)が電柱の影からティアソルを見ている。
★この時、作中では正体不明

○マンション(深夜)
歩は慣れた手つきでオートロックを解除すると、803号室に向かう。

○マンション・803号室・リビング(深夜)
歩「ただいま。」
誰もいない部屋にそう吐き出す。
一人暮らしにしては広い部屋。
物は最低限だけ。掃除機すらなく、クイックルワイパーのみ。
その部屋の隅にはこじんまりとした仏壇があり、左から父(警察官の制服を着ている)、母、妹の写真が置かれている。

〇マンション・803号室・キッチン(深夜)
調理器具が何も無いキッチン。
歩は小腹を満たすべく、レンジで冷凍のグラタンを温めた。
郵便物が無造作に置かれたテーブルで、大して美味くもなさそうに食らう。

母『野菜も食べなさい』

歩が勢いよく顔を上げると、目の前に母の幻が座っていた。
歩は寂しそうに笑う。
歩「そうだね、野菜も食べなきゃだ。」
歩は右手の火傷を左手で握り締める。

父『どうした?痛いのか?』
妹(梨花)『痛いの痛いの飛んでけー!!』
歩は妹の幻に手を伸ばす。
歩「梨花のおかげでどこも痛くないよ。」
歩が触れようとすると、幻達は消える。
★リビングで1人座る歩の寂しそうな背中

◯警視庁近くの河原(早朝)
捜査官が川の中や草むらで何やら探している。
捜査官A「発見しました!」
Aの声が静かな河原に響き渡り、歩と三芳がAのいる橋の下付近に向かう。
三芳「うわ……」
歩「タレコミ通りですね。」
Aが発見したのは綾瀬駿の遺体。
遺体からは綺麗に臓器が抜き取られ、額にre:dOと刻まれている。
歩「やっぱりあいつらが……」

〇警視庁捜査一課・部長デスク(夕)
デスクの周りは分厚いガラスに囲われていて、部屋のようになっている。
歩「お呼びでしょうか?」
歩が中に入ると、部長の垣本はだるそうに舌打ちをする。
垣本「呼んだから来たんだろう。いちいち聞くな。」
垣本はいつもこうしてイライラしている。
歩が何も言わずに垣本の言葉を待つと、垣本は再び舌打ちをしてから一枚の紙をデスクに放る。
内容捜査二課へ移動を命ずるもの。
歩「え?」
歩は思わず声を漏らした。
垣本「もう用は済んだ。さっさと出てけ。」
歩「ちょっと待ってください!どうして僕が移動なんですか?!」
歩は両手でデスクを勢いよく叩き、身を乗り出す。
感情をむき出しにする歩に垣本はそのつぶらな瞳を丸くした。
動揺する柿本の様子などお構いなしに話を続ける。
歩「今、現場は深刻な人手不足だ!移動なんかしてる場合じゃありません!それとも綾瀬がre:dOに連れ去られた責任だとでも?!」
垣本「(焦った様子で)何も私が決めたわけじゃない。上層部の決定だ!」
歩「じゃあ直接言ってやりますよ!!」
垣本「待て。」
垣本の視線につられて振り向くと、斉藤がおり、歩に軽く手を挙げて見せる。
垣本「あいつがお前を推薦したそうだ。部長の俺をすっ飛ばしてな。」
歩「は?」

〇警視庁・地下の一室
4畳ほどの部屋に机が1つと椅子が2つ。
取調室に近い雰囲気。
斉藤「ここを使うのは何時ぶりかな?とにかく滅多なことがないと使わない。」
滅多に使わない割には掃除が行き届いている。
だが今の歩の目にはそんなものは映らない。
歩は座りもせず辞令を机に叩きつける。
歩「あなたが推薦したって聞きましたよ!どういうことですか?!」
斉藤「落ち着け。まずは話を……」
歩「俺が何のために警察官になったか知ってるだろ!落ち着いていられると思うのか?!」
斉藤「もちろん知ってるよ。」
歩は斉藤の胸ぐらを掴む。
歩「だったらなんで邪魔するようなことするんだよ!!俺が捜査一課に入るために……何のために生きてきたか……!」
歩は言葉を詰まらせて、血が滲むほど下唇を噛み締めた。
斉藤「だから推薦したんだ。」
歩「二課じゃあの事件は……殺しの捜査は出来ないだろ!」
斉藤「まずは話を聞け。」
斉藤はポケットから厚みのある一通の封筒を取り出す。
斉藤「こっちが本物だ。」
歩が中を確認すると、そこには一丁の拳銃が入っていた。
歩「意味わかんねえよ!ふざけてんのか?!」
斉藤「私がふざけていると思うのか?」
斉藤は真っ直ぐに歩の目を見る。
★歩目線で斉藤の目のアップ。歩を冷静にさせる真っ直ぐな目。

★読者目線で
歩は斉藤の胸ぐらからゆっくりと手を離す。
歩M「この人は俺をここまで導いてくれた人。この人が居なかったら俺は警察官になれなかったかもしれない。」
歩「……ごめんなさい。」
斉藤は歩の頭をそっと撫でた。

2人は向かい合って座る。
斉藤「さてと。」
斉藤は封筒から取り出したそれの銃口を歩に向ける。
斉藤「とりあえず。」
歩「え?」

バンッ
★黒いコマにこの文字だけ

歩がゆっくりと目を開けると、にこりと微笑む斉藤の姿があった。
後ろを見ると、壁埋め込まれていた監視カメラに弾丸がめり込んでいる。
歩「カメラ……?」
斉藤「上は監視が好きでね。全くソリが合わないんだ。」
歩「……どう言うことか話して。」
斉藤「敵を欺くにはまず味方からと言うだろ。」
斉藤はそう言って再び歩に銃口を向ける。
歩「二課への移動は俺の存在を消すためのカモフラージュ?」
斉藤は銃をテーブルに置いて肘をつき、身を乗り出す。
斉藤「エルフェスって聞いたことあるだろ。」
歩「エルフェスって……警視庁内の都市伝説でしょ?」
斉藤「都市伝説ってのは大概、隠しておきたい真実だ。」
歩「じゃあ、エルフェスは存在する……?」

歩M「エルフェス。それは警視庁内で時折噂される、都市伝説。警察官でありながら、犯罪者を自らの手で葬る殺人集団。」
歩「仮にエルフェスが存在したとして、何……俺に殺人犯にでもなれって言うの?」
斉藤は何も言わない。
歩「俺は警察官だ!エルフェスなんかに……人殺しなんかになってたまるか!!」
斉藤「人は殺さないさ。それにエルフェスに入ればあの事件の捜査が認められる。」
歩「……え?それって……」
斉藤「そのために推薦したと言っただろ。エルフェスは多くの未解決事件を捜査する特殊作戦班だ。」

◯歩宅・リビング・仏壇前(夜)
歩は仏壇の前に座って酒を飲む。
歩「特殊作戦班か……」
歩M「未解決事件を捜査しているならどうして殺人集団なんて都市伝説が?それに……」

斉藤「都市伝説ってのは大概、隠しておきたい真実だ。」

歩は家族の遺影を見つめる。
★遺影の周りに炎を入れる。
歩が12年前の事件(放火殺人事件)を思い出しているような演出
歩「もしそうだったとしても、俺は誓ったんだ……」

〇とある廃ビルの一室(夜)
大はふかふかの椅子に座ってワイングラスを回すように軽く揺らす。
★作中ではまだ顔出ししない。
大はポケットから棒付きキャンディーを取りだした。
大が棒付きキャンディーを差し出した先に跪いていたのは斉藤。
斉藤は黙ってキャンディーを受け取る。

大「焼き尽くそうか。」

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