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小説・自己中恋愛ラプソディ②

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エリは大学の同級生であり雅史の元彼女だった。

大学に入ってエリに一目ぼれした雅史の強いアプローチでふたりは付き合うことになった。エリははっきりした目鼻立ちをそのまま体現したような性格で、意志が強く周りの大勢多数に流されることなく、自分の正しいと信じる道を突き進む。自分にはない強さとしなやかさが雅史の心を掴んだ。


気の優しい雅史はほとほと疲れることもあったが、それでも憧れの人と付き合っていることは幸せだった。


エリはテニスサークルで充実した日々を送っていたし、エリほど忙しくないとはいえ、雅史も仲間たちと趣味のツーリングに出掛けるなど、それぞれ別の時間を有意義に過ごした。


しかしひとたびエリから遊びの誘いがあれば、ほかを断っても雅史はすぐに駆け付けていた。気分屋のエリを断れば、次にいつ会える分かったものではない。しかし忙しそうなエリに気を遣った雅史は、自分から誘うことはなかった。

ふたりきりで会うのは1週間に1回あるかないか、長いと1か月以上会わないこともあった。


しょっちゅう学校で顔を合わせるのが日常であったし、その合間に少し話す程度のことはしていたので、寂しさを感じることはさほどない。


ただひとつ、そして最大の気がかりは、エリが自分を好きなのかどうか自信がなかったことだ。


エリは万人受けはしないもののある人種にはモテた。さばさばした面がありながら、気を許した相手には人懐こいところもある。浮気などはしなさそうだが、あの性格だ、逆に言うと別れを決めたら行動は早いだろう。


ことあるごとに「好きだよ」と気持ちを伝える雅史に、エリはうれしそうにしたが、エリの方からそれに類することばを聞いたことはなかった。一度だけ催促したことがあるが、エリの言い分によると「そういうのは苦手なの」という。


デートを何回重ねても、ある距離以上は近づくことはない。何年も一緒にいるというのに、今どき手すらつないだこともなかった。別にふたりが純粋だったからではなく、エリと雅史が互いの関係性だけにおいてうまれた特別なものだった。


雅史としてはもっと近づきたい気持ちもあったが、"付き合っている"という動かしようのない事実が拠り所になっていた。2人で一緒に過ごすことこそが大事なのだ。あとはたいした問題ではない──。



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