「絵本の焚き火に、会いにいくまでの時間」
絵本の中で見つけた、
小さな焚き火。
「これ、見てみたい」
そのひとことから始まった時間は、
少しずつ、本当の景色へ近づいていった。
ある人から、
「森の中で焚き火を囲んでみませんか」
と声をかけてもらった。
絵本の中にあった焚き火を、
本当に見ることができるかもしれない。
そのことが決まってから、
その子の中には、
毎日少しずつ、ワクワクが増えていった。
でも同時に、
知らない場所へ行く不安も、きっとあったと思う。
森ってどんな匂いがするんだろう。
風はどんなふうに吹くんだろう。
火は熱いのかな。
音は大きいのかな。
煙はどんな匂いがするんだろう。
暗くなったら怖くないかな。
見たことのない景色。
まだ知らない自然。
子どもながらに、
たくさん想像していたのかもしれない。
だから私は、
焚き火をする前から、
少しずつ“自然を感じる時間”を重ねていった。
太陽のあたたかさ。
風が頬を通り抜ける感覚。
鳥の声。
木々がざわめく音。
外の空気を吸い込むこと。
「森って、こんな感じなんだね」
そんな小さな体験を、
ひとつずつ増やしていった。
自然を感じる時間は、
すべての人が感じられるものと思っている。
けれど、
自然の中へ行くためには、
準備やケアが必要なこともある。
安心して過ごせること。
無理をしないこと。
怖くなったら離れられること。
そばで一緒に感じてくれる人がいること。
そういう小さな安心を、
少しずつ重ねながら、
その日へ向かっていった。
焚き火のそばにいるだけで、
なぜか安心していく瞬間がある。
火のぬくもり。
薪のはぜる音。
煙の匂い。
ゆらゆら揺れる光。
自然の中に身を置くと、
呼吸がゆっくりになっていく瞬間がある。
年齢も、立場も関係なく、
同じ火を囲める時間。
そんな景色を、
少しずつ形にしていきたいと思っている。
焚き火会の前日。
きっとその子は、
明日の森を想像していた。
どんな火があるんだろう。
どんな音がするんだろう。
どんな匂いがするんだろう。
ワクワクと、少しの不安を抱えながら、
小さな冒険の前の夜を過ごしていたのかもしれない。
そして私もまた、
その子が安心して“はじめての焚き火”に出会えるよう、
静かに明日の準備をしていた。
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