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「あれ、親が同じことばかり聞く…」それって認知症のサイン?元介護職員が教える“最初の一歩”と相談先

「あれ、お母さん、その話、さっきも聞いた気がする…」
「最近、お父さんが同じことばかり聞くようになった…」

そんな“小さな違和感”に、胸がザワザワして、不安になっていませんか?

こんにちは、元介護職員のたくみです。

その違和感、とても不安になりますよね。
「ただの年のせいかもしれない」と思いたい気持ちと、
「もしも、何かの始まりだったらどうしよう」という、
言葉にできない不安。

私自身、10年以上にわたって介護の現場で働き、まさにそうした不安の入り口に立っているご家族と、本当にたくさんお会いしてきました。

この記事は、あなたの大切なご家族が認知症かどうかを診断するものではありません(それは、お医者さんにしかできないことです)。

そうではなく、ご家族だからこそ気づけた、その大切な「違和感」を、具体的な「最初の一歩」にどう繋げていけばいいのか。 そして、いきなり病院に連れて行く前に、まず誰に相談すればいいのか(=相談先)を、私の経験を元に、分かりやすくお伝えします。

あなたの不安が、具体的な行動に移せる「安心」に変わるようにお話ししますね。


第1章:その「違和感」、気のせいではありません。でも、焦らないで。

ご家族が感じる、「あれ?」という小さな違和感。 それは、毎日そばにいる、あなただからこそ気づける、とても、とても大切なサインです。
「気のせいかな」「私が考えすぎているだけかも」と、無理に打ち消す必要はまったくありません。

とはいえ、すぐに「認知症だ!」と決めつけて、パニックになる必要もありません。 まずは、その違和感の正体が何なのかを、一緒に少しだけ整理してみましょう。


「年のせい」の物忘れと、どう違う?

ご家族から一番多く寄せられるのが、
「“ただの物忘れ”と“認知症のサイン”って、どう違うんですか?」
というご質問です。

もちろん、私たち人間は、誰でも年齢とともに物忘れをしやすくなります。 その「普通の物忘れ(加齢による物忘れ)」と、「認知症の初期サインとして現れる物忘れ」には、少し違いがあると言われています。

一番分かりやすい例が、夕飯の話です。

  • 普通の物忘れ

    • 「昨日の夕飯、何食べたっけなぁ…あぁ、そうそう、お魚だった」

    • → これは、「何を食べたか(内容)」を忘れていますが、「夕飯を食べた(出来事)」こと自体は、ちゃんと覚えています。


  • 認知症の初期サインとしての物忘れ

    • 「私、もう夕飯は食べたかしら?」

    • → これは、「夕飯を食べた(出来事)」そのものを、丸ごと忘れてしまっている可能性があります。


なぜ「同じことばかり聞く」のか

今回のテーマである「同じことばかり聞く」というのも、この「出来事そのものを忘れてしまう」ことと、深く関係しています。

例えば、お父様が「明日は、デイサービスの日か?」とあなたに尋ねます。 あなたが「そうだよ、明日はデイの日だよ」と答える。 でも、5分後、お父様がまた「明日は、デイサービスの日だったか?」と尋ねてくる。

これは、お父様が「ぼーっとしていて、あなたの答えを聞いていなかった」わけでは、決してないのです。 そうではなく、「あなたに質問をして、答えをもらった」という、その数分前の出来事そのものが、記憶からスッと抜け落ちてしまっているのかもしれません。 だから、ご本人にとっては「初めて聞く質問」として、もう一度、あなたに尋ねてしまうのです。


「気づけたこと」が、素晴らしい第一歩

私が10年以上の現場経験でお会いした、あるAさんのご家族(50代の娘さん)も、最初は同じことで悩んでいました。

「母が、毎日同じことを聞くんです。
最初は私も『またその話!さっきも言ったでしょ!』って、ついイライラして強く当たってしまって…。
でも、それがサインかもしれないと知ってからは、『あ、そっか、忘れちゃったんだな』って、私のほうの受け止め方が変わったんです」

そう、大切なのは、ご家族が「あれ?」と気づけたこと、そのものです。 それは、ご家族を責めるための材料ではなく、「これからの生活を、より良くサポートしていくための、最初のきっかけ」です。

だから、焦らないでください。 まずは、「あ、何か変化が起きているかもしれない」と、そのサインに気づけたご自身を、認めてあげてください。 それが、何よりも素晴らしい第一歩なのです。

では、その大切な「気づき」を、私たちは次に、どう活かしていけばいいのでしょうか。 次の章では、病院へ駆け込む前に、まずご自宅でやってみてほしい、「たった一つのこと」についてお話ししますね。


第2章:病院へ行く前に、まずすべき「たった一つのこと」

「もしかして…」 その不安が頭をよぎると、一刻も早くお医者さん(物忘れ外来や脳神経外科など)に診てもらって、ハッキリさせたい、と焦ってしまいますよね。

でも、ちょっと待ってください。 その「いきなり病院に連れて行こうとする」という行動が、実は、一番の近道どころか、かえって遠回りになってしまうケースが、本当に、本当に多いのです。


なぜ「いきなり病院」は、うまくいかないのか?

なぜでしょうか。 理由は、大きく分けて2つあります。

1. ご本人が、強く拒否してしまうから
まず、ご本人に「物忘れが心配だから、病院で検査を受けてみよう」と、真正面から伝えたとします。 多くの場合、返ってくるのは、「何を言ってるんだ!私はボケてなんかない!」という、強い拒否の言葉です。

ご本人には、「自分はしっかりしている」というプライドがあります。 それを頭ごなしに否定されるような「検査」という言葉は、ご本人の心を深く傷つけ、かえって心を閉ざしてしまう原因になりかねません。

2. お医者さんの前ではしっかりとしてしまうから
仮に、なんとか説得して病院に連れて行けたとします。 しかし、お医者さんという「他人」を前にすると、ご本人は緊張して、いつもよりしっかりとして、ハキハキと受け答えをしてしまう…というのも、実は“あるある”なのです。

お医者さんがご本人を診察できるのは、ほんの数分から十数分。 その短い「点」の時間だけでは、ご家族が日々感じている「線」としての生活の変化は、なかなか伝わりません。 結果、「年齢相応の物忘れですね」と、見過ごされてしまう可能性すらあるのです。


病院へ行く前の「本当の“最初の一歩”」

では、どうすればいいのか。 私の現場経験から、ご家族に必ずお勧めしている「本当の“最初の一歩”」。

それは、「日々の様子の“観察メモ”を作ること」です。

「え、そんなことでいいの?」と思われるかもしれません。 はい、そんなことでいいんです。そして、これこそが、この先にある全てのステップ(専門家への相談、お医者さんの診断)において、何よりも強力な武器(=客観的な資料)になります。


“観察メモ”の具体的な作り方

難しく考える必要は、まったくありません。 100円ショップで売っているような、小さなノートを一冊用意するだけです。 そこに、ご家族が「あれ?」と気づいたことを、感情を入れずに、客観的な事実だけを書き留めていきます。

ポイントは、「お母さんがボケてきた」といった「感想」ではなく、「こんなことがあった」という「出来事」を書くことです。

  • いつ: 「10月21日(火)の夜8時ごろ」

  • どこで: 「リビングで」

  • どんなことが: 「『明日のゴミ出し、何ゴミだっけ?』と、5分おきに4回聞かれた。カレンダーに書いてあるのを見ても、ピンと来ていない様子だった」

  • いつ: 「10月22日(水)の午前中」

  • どんなことが: 「いつも使っているテレビのリモコンの使い方が分からなくなったらしく、『こんなの使えない!』と、急に怒りっぽくなっていた」

このような具体的なメモを、最低でも1〜2週間分、書きためてみてください。

この「観察メモ」があるだけで、 「最近、ちょっと物忘れが多くて…」 という曖昧な相談が、 「先週一週間で、同じことを5分おきに聞く、ということが4回ありました。特に夕方に多いようです」 という、極めて具体的で、客観的な相談に変わります。

私が見てきた中でも、このメモがあるご家族と、ないご家族とでは、その後の支援(サポート)に進むスピードと、正確さが違いました。


さあ、これで、あなたの手元には「客観的な事実」という、何よりも強いカードが準備できました。 でも、この大切なメモを、いきなり病院のお医者さんに見せるのは、まだハードルが高いですよね。

大丈夫です。 このメモを握りしめて、お医者さんよりも「先に」相談すべき、あなたの「最初の、そして最強の味方」が、あなたの街には必ずいます。 次の章では、その「相談先」について、詳しくお話ししますね。


第3章:あなたの「最初の味方」。お医者さんより先に相談すべき場所

第2章で、あなたの手元には「日々の様子の“観察メモ”」という、何よりも強力な資料が準備できました。 でも、その大切なメモを持って、いきなり病院のお医者さんを訪ねるのは、まだまだハードルが高いですよね。

「このメモを、誰に、どう見せればいいんだろう…」
「家族だけで行っても、相手にしてもらえるんだろうか…」

その不安、とてもよく分かります。 大丈夫です。お医者さん(病院)よりも「先に」相談すべき、あなたの「最初の、そして最強の味方」が、あなたの住む街には必ずいます。


ご家族の「最初の相談先」は、病院ではありません

私が、ご家族の「最初の相談先」として最も強く、自信を持ってお勧めしたい場所。 それは、
「地域包括支援センター(ちいきほうかつしえんセンター)」です。

「…なにそれ?名前が難しくて、よく分からない…」
そうですよね。名前がちょっと堅苦しいのですが、ここが本当に頼りになる場所なんです。 一体、何をしてくれるところなのか、簡単に説明しますね。

  • ① 高齢者のための、公的な「よろず相談窓口」です

    • ものすごく簡単に言うと、「高齢者の暮らしに関する、悩みや困りごとなら、何でも無料で相談できる公的な窓口」です。

  • ② 介護や福祉の「専門家」が、必ずいます

    • センターには、保健師さんや看護師さん、社会福祉士さんといった、介護や医療、福祉の国家資格を持った専門家が必ず常駐しています。

  • ③ 相談は、もちろん「無料」です

    • 公的な機関なので、相談にお金は一切かかりません。


「地域包括支援センター」の、一番賢い使い方

では、その「地域包括支援センター」を、私たちはどう使えばいいのでしょうか。

まず、お住まいの自治体名(例えば「〇〇市」)と「地域包括支援センター」という言葉で、インターネット検索をしてみてください。 必ず、あなたの担当地区のセンターの場所と電話番号が見つかるはずです。

そして、まずは電話をかけるだけでOKです。 「親の物忘れが、最近少し気になっていて、相談したいのですが…」 たったこれだけで、専門のスタッフさんが、あなたの話を親身になって聞いてくれます。


最大のポイント:ご本人抜きで、ご家族だけで行っていい

そして、ここが一番大切なポイントです。 地域包括支援センターは、
「ご本人を無理に連れて行く必要は、まったくない」のです。

むしろ、最初はご家族だけで、こっそり相談に行くことを、私は強くお勧めします。 その時に、第2章で作った、あの「観察メモ」を握りしめて、持って行ってください。

「実は、この一週間で、こういうことがあって…」
その客観的なメモを見せながら、専門家に相談するのです。

すると、専門家はあなたの話を真剣に聞いた上で、
「なるほど、そういうご様子なんですね。では、次の一手として、こういう方法はどうでしょう?」
「病院への受診は、ご本人が嫌がらないように、こんな風に促してみては?」
「もしよければ、一度、保健師がご自宅の近くまで、様子を見に行きましょうか?」
といった、具体的な「作戦会議」を、あなたと一緒にしてくれます。


一人で不安を抱え、いきなり病院という大きなハードルに挑むのではありません。 まず、「観察メモ」という武器を手に、「地域包括支援センター」という専門家の“仲間”を見つけにいく。 これこそが、あなたの不安を「安心」に変える、最も確実で、賢い「最初の一歩」なのです。


【さいごに】

ここまで読み進めてくださり、本当にありがとうございます。

ご家族の「あれ?」という小さな違和感。 それは、他の誰でもない、あなただからこそ気づけた、とても大切なサインです。

そのサインに気づいた時、私たちはつい、一人で不安を抱え込み、「どうしよう…」と焦ってしまいがちです。

でも、どうか、もう一人で悩まないでください。

あなたは、この記事を読んで、「何が起きているのか」を冷静に見つめるための「観察メモ」という具体的な方法を知りました。 そして、そのメモを持って駆け込める、「地域包括支援センター」という、公的で、強力な「最初の味方」の存在も知りました。

介護は、決してご家族だけで頑張りぬくものではありません。 むしろ、ご家族だけで頑張ろうとすると、必ずどこかで行き詰まってしまいます。

そうではなく、いかに早い段階から、たくさんの専門家や公的なサービスを「味方」につけられるか。 あなたの「気づき」は、そのための大切な、大切なスタートラインなのです。

その第一歩を、どうか安心して、勇気を持って踏み出してみてくださいね。 あなたのことを、心から応援しています。


こうした"サイン"に気づく目を、そして気づいたあとに何をすればいいかを、こちらの本でも一章を割いてお話ししています。

『親が倒れる前に、子がやっておく7つの準備 ── 40代・50代から始める「親の介護・お金・家族会議」の入門書』(Kindle)

親の情報の集め方、お金の話の切り出し方、きょうだいとの話し合い、そして帰省したときに見ておきたい「変化のサイン」まで。現場で見てきたことをもとに、今日からできる準備を7つにまとめました。Kindle Unlimitedの方は読み放題でお読みいただけます。

「まだ早い」と感じている今が、いちばんの準備のタイミングです。よろしければ、あわせて手に取ってみてください。

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