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良い母親とは、布団のようなものである。


「かーもんママちゃんべいびーーー♪」


某歌手グループの歌詞を若干間違えながら歌い、手やおしりを左右に振って、ニコニコと私を呼び出す。
どうやら旦那がお風呂に連れて行く時に歌っているのを真似しているらしい。
かわいい。


私を呼び出しているのは、あと1ヶ月で4歳になる息子だ。
この息子、現在私にべったりである。


幼稚園に通い始めて、早10か月。
未だに幼稚園に行きたくないと玄関で泣く。
私が幼稚園にいないことが嫌なのだそうだ。
これが時間外保育が長くて、あまり私と一緒に居られないというならまだわかる。
しかしうちは定時上がりなので、午後2時10分には幼稚園バスに乗って帰宅する。
それ以降は、ずーーーーーーーっと一緒。片時も離れない。
帰宅後、私から離れてプラレールで遊んでいたかと思えば、気付くと私の膝の上にいる。


ご飯を食べる時だってべったり。
ちょうどいい位置に息子の椅子を置いたにも関わらず
私にくっつけないとわかると
いちいち椅子を降りて、私に最大限、椅子をくっつけ
私の方を見ながら食べている。
おかげさまで、床は食べかすまみれだ。


夜寝る時だって、私にピッタリくっついて寝る。
私が腕を下ろして寝ると、自分の体がママのお腹にくっつけないと怒り、私は常に右腕を上にあげた状態で寝ている。
息子が寝たことを確認して私が左向きに寝返りを打つと、私の背中にぴったりくっついてくるので、私は2度と寝返りを打てなくなる。
おかげで私は、息子がベビーベッドを卒業してから2年半、体が永遠にバッキバキである。


そんなにママのことが好きなの、と聞くと、息子は
うん!ママ大好き!!
と無邪気な笑顔で返してくれる。かわいい。
ちなみにこれは息子が描いてくれた私である。


このピンクのイラスト、ママ。



「ママ、ピンクがすきだとおもったのー」
とのこと。かわいい。好き。
そこまで私にべったりくっついてくれるということは
私は息子にとっていい母親なのだと思っても、うぬぼれではないだろう。
たぶん。


ただ、いい母親ってどんな母親のことなんだろう。


SNSを覗くと、いろいろな家庭の一部が垣間見えるようになった。
おいしい栄養満点ご飯を毎日複数用意している家庭。
子供が飽きないように、体を使って一生懸命遊んであげている家庭。
旅行にたくさん連れていき、思い出をたくさん作っている家庭。
いろいろな習い事で、子供の才能を目いっぱい伸ばしている家庭。
将来の子供のために、一生懸命お金を稼いでいる家庭。
どこの家庭も、アプローチは違えど、子供のことを最大限考えて行動しているのだろうと思う。


これら全てを同時にできれば、それはもう完璧な母親と言えるのだろうけれど、現実問題それは難しい。
時間や資金は無限に湧いてくるものでもないし、これらを同時にできる人はほんの一握りだと思う。
きっとSNSに投稿している人だって、1つのことを毎日完璧には出来ていないと思うし。


だから私は、完璧な母親にはなれないなら
せめていい母親でいたいと思っている。
じゃあ、いい母親って何よ、と考えた時
私は子供にとって「布団のような存在」になりたいと思った。


私は布団が大好きで、1日の終わりは本当に至福の時である。
疲れてベッドに寝転んだ時は「っああぁぁぁー…」って声が出るし
今日も頑張ったなー、仕方ない、明日もやるかぁ…って気分にもなる。
転がりながらスマホをいじるのは最高だし
怖いことや悲しいことがあった時は布団に包まって寝ると無敵のバリアで守られてる気分にもなる。


勉強や部活で疲れて帰って来た時に
今日こんなことがあったと話してくれて
悩み事があったらポツリポツリとでも伝えてくれて
いつでも気兼ねなく帰ってこれるような。


子供にとってこんな存在になれれば
私は『自分はよい母親だ』と胸を張って言える。


私の実母は、私の布団にはならなかった。
私への過度な期待はなかったが、甘えることができない環境だと、自分では感じていた。
おそらく、畳。
寝転ぶには十分だが、長時間そこで過ごすと起き上がった時に体の節々が痛い、そんな感じ。
だからこそ、自分の息子には、私を安心できる場所だと思ってもらいたい。
布団の上でのびのびできるように、私のそばでは自然体でいてほしい。


今はまだ、3歳の息子。
きっともうすぐ私から離れて、私のことなんて見向きもせず、友人と外の世界に飛び出していくのだろう。
膝の上に座ることもなくなって、スマホに夢中になる。
ご飯はこぼさず食べるようになるし
1人で寝ることも当たり前になっていく。


でも大きくなっても布団でくるまれていた記憶が残っていてくれれば
いつでも布団に眠りに戻ろうと思ってくれれば
きっと私の「いい母親」は成功だ。


息子にとって布団になる。
そんな存在になるために、今日も私はバッキバキの体で息子の呼び声に答えるのだ。




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私と家族の関係を少しだけ書いた話がこちら


ちなみに私はこんなよき母親像を語っておきながら
大失敗をしています。
その時の愚行はこちら。


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