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この憂愁をヨーロッパでは、デカダンスと呼ぶのです。「家族の肖像(Conversation Piece)」/ルキノ・ヴィスコンティ監督(1974)


日本では、監督死後の1978年に公開されて、本人は否定していたそうですが、自伝的といわれる作品。室内劇ですが、すでに体調を崩していたヴィスコンティのために、移動する必要のないというアイデアからだそうです。
キネマ旬報ベスト・テン外国語映画 第1位など日本でも高い評価で話題になり、それがきっかけで僕も見ました。

この映画にも出演しているヘルム―ト・バーガーや「ベニスに死す」ビヨルン・アンデルセンの美少年ぶりと、イタリアの貴族の末柄であるヴィスコンティがバイセクシュアルを公言していたという多分に少女漫画的な要素があるためか、その界隈から彼の特集本が出るほどの人気でした。
当時は、ヴィスコンティが描くこの映画のバート・ランカスターや「ベニスに死す」のダーク・ボガートなど一級の俳優が年老い弱々しい表情で若い美男子を追いながらも何もできず朽ちていく役を演じるのを観るのはあまり好きじゃなかった記憶があり、ヴィスコンティが自分の老いを描いているといわれていましたが、あまりピンときませんでした。

ベニスに死す」ビヨルン・アンデルセン、ダーク・ボガート



今回は約40年ぶりの再見。自分も老いを意識しだしたのか、また違う印象を持ちました。
爆発音と心電図のデータの映像から始まるこの映画。バート・ランカスター演じるこの映画の主人公の大学教授(ほかの出演者のように名前はついておらず、“プロフェッサー”と呼ばれています)豪邸に住み、18世紀イギリスで良く描かれた「家族の肖像(カンバセーション・ピース)」といわれる絵画を集め、それを眺めながら趣味。
教授の家のバルコニーからは、ローマの歴史ある街並みが見え、室内は大量の蔵書やオーセンティックな調度品が並び、時間が止まったように好きなものにだけ囲まれて、彼は過ごしています。


そこに乱入するするのが、”低俗“な家族。ファシストの大物の妻役のシルヴァーナ・マンガーノは、ミス・ローマに選ばれたのが映画デビューのきっかけだったそうですが、その後、品がありながらも冷たく裏がありそうな容貌はヴィスコンティのみならず、パゾリーニに作品でも独特の空気感を醸しだす魔女的女優。

ルキノ・ヴィスコンティ、シルヴァーナ・マンガーナ


その愛人役がヘルムート・バーガー

ヘルムート・バーガー、シルヴァーナ・マンガーノ


そして”新世代“の娘、娘婿。そんな家族が急に階上に住ませろと押し入り、勝手に部屋を改装するわけですから、教授は心を乱されまくるわけですが、傍若無人に振舞われても、昔、美術史を学び、知識もあり、モーツァルトを愛する夫人の情夫(ヘルムート・バーガー)に心を寄せ、「家族の肖像(カンバセーション・ピース)」の絵画を見ながら、自分の母や元妻を思いながら、そんな”低俗“な家族に自らも参加することで家族のいる自分も疑似体験しようとする教授が観ていて寂しくなるます。


過去の自分の家族を回想するシーンに登場する母親はまだ若く美しい(主人公はまだ小さかったと思われる)ドミニク・サンダが、妻は訃報聞いたばかりのクラウディア・カルディナーレ(表情にそれほどやさしさがなく、主人公のいう結婚に失敗した時期かもしれません)が演じます。二人の女優の年齢を考えると、母と妻の役が反対でもよいのですが、ヴィスコンティが少年の頃のうら若く美しい母のイメージを投影していたのかもしれません。

ドミニク・サンダ


クラウディア・カルディナーレ


クレジットによるとヘルムート・バーガーがイブ・サンローラン、シルバーノ・マンガーノはフェンディ―を着用。

ヘルムート・バーガーxサンローラン
シルヴァーナ・マンガーノxフェンディ


やっぱり貴族出身といえるヴィスコンティによるデカダンスは素敵でした。
次は「ベニスに死す」を再見予定。


日本公開当時のビジュアル


オリジナル・サウンドトラック
パンフレット


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