ギターに挫折し続けた僕が、娘のバタフライで「開眼」した話
序章|
23歳のとき、初めてエレキギターを買った。
Fenderの「テレキャスターシンライン」という、クソかっこよギターである。中古で4万~5万くらい。今思えば初心者のくせに奮発したものだ。
そしてこれが「25年にわたる僕とギターとの戦い」の幕開けだった。
1度目の挑戦(23歳)
当時の僕は「くるり」というバンドにドハマりしていた。1stアルバムに収録されている『東京』という曲が特に好きで、
(こいつをギターで弾けたらカッコイイぞ!)
と思った。もちろんスコアも買った。
(人生には2種類ある。ギターを弾くか、弾かないかだ!!!)
などと意気込み、練習を開始。
しかし、この頃はインターネット黎明期。YouTubeなんてものは存在せず、解説動画も無い。
ゆえに、ギター練習に関する僕の考えはこうだった。
"スコア通りやりゃ弾けるようになるっしょ!"
……ならなかった。そもそも譜面が読めないのだ。
イントロすら弾けないまま、ギターはインテリアと化したのである。
2度目の挑戦(45歳)
20年以上が経過し、僕はおじさんになっていた。
2022年10月。おじさんは深夜アニメを観ていた。
ジャッ! ジャッ! ジャッ!
てれれれ ってって ってって てれれれ
てれれれ ってって ってって れー♪
『ぼっち・ざ・ろっく!』である。
先ほどのメロディ、観た人ならOP曲『青春コンプレックス』のイントロだと秒で気付いたであろう。
(こいつをギターで弾けたらカッコイイぞ!)
そう思ったが、愛機テレキャスターシンラインは、引っ越しを手伝ってくれた友人にあげてしまっていた。
けれど、久しぶりに燃え上がった炎はそんなことで消えたりしない。
サウンドハウスのサイトを開いた僕は、Fenderのテレキャスター……ではなく、PLAYTECHのクソ安テレキャスター(¥11,300)をポチッた。妻と子供ができたおじさんには金が無かったのだ。
金は無い。されど現代にはYouTubeがある。幸い『青春コンプレックス』の演奏動画を上げている人は山ほどおり、譜面もそこでゲットできた。
ぼっちちゃんパートは難しそうだったので、喜多ちゃんパートにした。
届いたギターを昔使っていたVOXのアンプに接続し、いざ2度目のギター!
"繰り返しやれば弾けるようになるっしょ!"
……ならなかった。
余弦ミュートという概念に絶望し、イントロすら弾けないまま、ギターはインテリアと化したのである。
3度目の挑戦(48歳)
スイミングスクールの見学室。僕はバタフライで泳ぐ娘を眺めている。4歳から始めてもう5年目とはいえ、週1回、1時間ぽっちの練習でよくここまで上手くなったものである。
(最初は全く泳げなかったのに、1つずつ学んで今ではバタフライ……まさに"継続は力なり"だな)
そう思ってハッとした。
(子供でも……週1時間でも……順序立てて練習すれば 上手くなれる?)
上手くなれるも何も、目の前の娘がそれを体現しているではないか。疑う余地はない。
僕は3度目のギターに挑戦したくなっていた。
過去2度挫折してしまったのは、僕の練習法の中に「順序立てて」という考えが欠落していたからだろう。加えて必要なのは「指導者」の存在。
(通うか……ギター教室……)
しかし、子供を習い事に通わせているおじさんには金が無かった。
(買うか……教則本……)
僕はAmazonでエレキギターの教則本を探した。
そして購入したのがこちらである。
【この本を選んだ理由】
・購入者の評価がめちゃ高!
・演奏のお手本がYouTubeで観られる(重要!)
・著者がROLLY氏
ROLLY氏について若い子はピンと来ないかもしれないが、『すかんち』というバンドのフロントマンであり、一時期はテレビにもよく出演していた。
飄々としていてパッと見は変人……だがその言動からは優しさが感じられ、
(この人に教えてもらいたいな)
と思ったのである。
ちなみに『すかんち』というバンド名の由来は"ちんかす"らしいし、ROLLY氏の本名は「寺西 一雄(てらにし かずお)」である。当時テレビで自ら公言していた。
一応確認のため、本人のウェブサイトを見てみたら「本名:寺西 一雄」と、わざわざ記載されており、めちゃくちゃ笑った。
話が逸れた。
この本を片手に、僕は3度目のギターを始めた。
90日分の課題が載っていた。月~金曜、毎回1時間ずつ練習。
僕はコツコツと継続し、この1冊を 最後までやり遂げたのだ!
164日かかった。
「練習を継続するためのやり方」とは?
・簡単なことから正しい順序で
・長時間やらない
・未来の自分にまかせる
この3つである。順に解説する。
1)簡単なことから正しい順序で
最も重要なことである。スイミングスクールはいきなりバタフライで200m泳がせたりしないのだ。何が簡単で何が正しい順序か? 自分では判断できないので指導者を見つけるのが良い(教則本でもOK)
2)長時間やらない
たくさん練習したほうが上手くなるのは当たり前だが、嫌になっては本末転倒。「早く続きがやりたい」という気持ちが湧くよう、8分目で止めておくのがコツである。
3)未来の自分にまかせる
「何度やってもできなかったことが、ある日突然できるようになった!」
練習中そういうことが幾度とあった。感覚的には一晩寝るのがキーだと思っている。その間に脳が身体の制御を最適化してくれる感じ。
「ま、そのうちできるようになるだろ」と楽観視するのが大事なのだ。
で、弾けるようになったの?
正直に言うと、この本だけでは曲が弾けるようにはならない。フレーズ練習が主で、曲は載っていないからだ。
しかし、この本が無駄かというとそうではない。むしろ「やって間違いなかった」と断言できる。
基本テクニックはきちんと学べる内容になっており、やり終えた後は譜面が読めるようになるからである。
「譜面が読める=曲に挑戦できる」である。
実際、曲の練習を始めてからも、
(あっ、これ本でやったな)
と思う場面が多く、尻込みすることが無かった。
あとは未来の自分を信じて、練習を重ねるだけなのだ。
僕は今日もギターを継続できている。
終(おわ)
