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【短歌集】夕暮れ泥棒

その昔詠んだ短歌を幾つか集めてみました。
短歌というか僕にとっては”口語自由定型詩"。
今になって読み返すとやっぱり若いです。今の自分にはない世界。
自己満足ですが、記録としてここに保管しておきます。
読んで頂けましたら幸いです。


【短歌集 夕暮れ泥棒】

インディーズ映画を作る手法にて君と僕との日々が始まる

結び目があぶなっかしいスニーカー気にせず君を追いかけていた

口づけをしながらちょっと思い出す さっき二人で食べてた蜜柑

眠れない眠りたくないコウモリが君を失い夜に飛べない

猫の子に惚れてしまった野良犬がどこにも行けずガレージにいる

ウエンディ、僕は飛べない奴だから裸足で星の夜を歩こう

夏の夜に君を夢見て届かない三角形の底辺にいる

1センチメンタルなんて距離がもしあるなら君と僕との隙間

君がいた記憶映画の上映を僕という名の単館でする

ばらけてる毛布に君がいなくって乾いたサンドイッチみたいだ

ちょっとだけ短い髪にした君を独り占めするこの部屋の中

バランスを崩した紙の飛行機が君に旋回する感じです

かろうじて君のページに貼っていた付箋が風に飛ばされ消えた

信号が青になっても渡らずに後ろの君を待ってたりする

口にしてしまうとそれは危うくて 斜めに空を見つめてました

どこからが夜なんだろう夕暮れを二人で歩きながら思った

黄昏れる暇さえ僕に与えない君を夕暮れ泥棒と呼ぶ

君に貸す傘がないってことにして今夜はずっと雨のち雨です

路地を抜け商店街に入ったらパン屋の前で君に逢いたい

遠くから君を見つけた瞬間は人形劇を見ているようだ

単純にこんがらがって純粋にひねくれながら恋を悲しむ

焼いたパンみたいに心が焦げている 君が齧った部分が痛い

傷テープ剥がしてすぐの指先の痒さみたいな恋の跡形

シャツの袖つまんで欲しい誰からも見えないように愛して欲しい

何回も読み直してる小説のページを捲るようなため息

寝そべって転がしている鉛筆で答えあわせが出来ない二人

回らなくなった扇風機の羽を指で回して巻き戻す夏

枕木の上にとまったオニヤンマ見つけたけれど君に云えない

君といる、ただそのためにここにある、例えばそんなアイスコーヒー

宵宮で浴衣の君と会ったのに肝心なこと言い忘れてる

味気ないもんだよねって言ったなら そうかもねってライム絞った

君がもし林檎だったとしたならば、齧ってみたい、齧りたくない

そのコート去年も着てたねそう言えば 手を繋いだら思い出したよ

地下鉄が君の街へと連れて行く 窓に映った僕をこのまま

見送っている僕のこの世界からバスよ彼女を連れ去らないで

君に会うまでに切符が手の中で折れ曲がってた駅の階段

ストーブが頼りなさげについていた冬の部屋には君がいたけど

今日はあの雑貨屋に行き何となくポストカードを探してました

犬の絵が可愛いねって言う君にトナカイだよと言えない聖夜

真夜中にビールを買った帰り道 一緒に冬の星座を見上げた

手を繋ぎながら僕らが見つめてる動物園を歩くペンギン

空白にゼリービーンズばらまいて君の隣でブランキー聞く

君の目にすい込まれそう瞬きが手塚治虫の漫画みたいで

追いかけているでもなしに幸せな君にケセランパサランが飛ぶ

いつだって自分勝手な感傷で詩人は歌を誰かに捧ぐ




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