断酒110日 断酒はうまく語れない
何かが変わった。身体がだるい、そして眠い、これは大きな変化だ。
断酒を開始してからずっと眠れなかった。身体に力が入ってリラックス出来ない。肩が凝り過ぎて首を少しでも動かせば激痛が走る。皮膚は乾き切って全身針の筵。体温調整が出来ずに体の中から震えが来る。
今では色んな感覚が麻痺してしまい、何が離脱症状で何がもとよりの体調不良なのかも判断出来なくなりつつある。そもそも眠れないのは幼少の頃からの習慣だ。生まれ持った性質だと言っていい。アルコールによる強制終了を止めた今、更に眠れなくなって脳も自律神経も狂い放題になってしまった。
しかし断酒110日を過ぎたあたりから少し変化が出て来た。最近では身体がだるくて力が入らず眠気を感じる様になったのだ。眠気を感じるからと言ってスムーズに睡眠に入れないし熟睡も出来ないのだけど。
でもこれは大きな変化だ。眠いだなんていつ以来の感覚だろうか?どうやら自律神経のバランスに変化が出て来たようだ。この大きすぎる波がやがて自然なリズムに落ち着いたら健康な状態になれるのだろうか?まだ先のことは分からないが微かな期待を抱いている。更にあと100日?200日?どれぐらいの時間が必要なのかは分からないけれど、きっといつかは健康になれるだろうと思っている。
身体を粗末にしすぎたのではないだろうか?と、ふとそんな思いが過る。そんなに苦労はしてないはずだと思っているけど、身体を労わるという習慣がなかったのは確かだと思う。
誰もが同じだなんて一括りには言えないけれど、自分だけが特別な訳でもない。たぶん多くの人が仕事や生活のために体のことを後回しにして生きているのではないだろうか。勿論その内容は人それぞれだろうけど。
昭和から平成前半ぐらいまでの「忙しい自慢」「寝てない自慢」にはもう辟易している。だけど実際のところ自分もそうやって生きて来た。まるで競い合うように「忙しさ」と「眠っていない」を主張してきたように思う。だけどそれにはそれなりの理由もあった。「これ以上余暇はないし眠ってさえもいない」ということをことさら強く主張しなければ、永遠に時間と体力を搾取されてしまう労働環境に長く身を置いていたからだ。つまり自分を守る為に予防線を張っていたのだ。被害妄想?少なくとも自分ではそれが事実だと思っている。「皆がそうだから」という理由で自分を粗末に扱っちゃいけないと今では思うが、若い頃の自分にはその判断力がなかった。
二十代から三十代が終わる頃まで多額の借金を抱えて、幾つものバイトを掛け持ちしながら舞台や単発の仕事もこなす日々。だから休みも寝る時間もないのは当たり前のこと。それでいて収入が低いから返済も滞る。全部自分の責任だ。自分の責任だから「休みたい」とは言えないし、そもそも休んだら収入がなくなる。"ご利用は計画的に"を実行すべきだったが、結局その辺が適当だったのだ。身体のことを省みることなく休まず働けばなんとかなると思い込んでいた。やっぱり身体を粗末にしていたのだ。若さだと言えば若さだけど。
あ、またやってしまった。「これからは身体を粗末にしないように心掛けよう」と書きたかっただけなのに、また愚痴っぽい過去の話になってしまった。もはや断酒の話ではない。人生の嘆きになってしまっている。
断酒は上手く語れない。
