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南極船に乗りたかった

晩年に父は語りし若き夢南極船に乗りたかったと(歌会始、詠進歌 落選)


昨年の秋、生まれて初めて宮内庁へ詠進歌を送った。お題は「夢」。何首も何パターンも作って最終的に選んだのがこの歌だ。

結果が出るまでの約二ヶ月間、歌会始の儀に呼ばれたらの妄想を楽しめた。「ば〜〜んねぇ~んに〜(リフレイン)」などと読み上げられる様を想像したり衣装はどうしよう、駐車場はあるのか?などもうすっかり選ばれる前提で楽しい待ち時間を過ごせた。

結果は落選だったが自分でも好きな歌なのでここに残しておくことにする。

父は長年、勤め人としてまじめに勤め上げ野望など持ち合わせていない人だと思っていた。
ところが八十も過ぎたある日、母の入院先へ向かうタクシーの中でなんのきっかけだが忘れたが唐突にこう切り出した。「若い頃、南極へ行く船に乗ろうと思っていた事がある」と。あまりにも突拍子もない発言に驚いた。いろいろ聞いてみると船のまかないの募集があってお給料がすごくよかったらしい。家ではお湯を沸かすぐらいしか見たことないのに。
なんで行かなかったの?と尋ねたけど曖昧にぼかされてしまった。

でも父のまだ知らなかった一面が知れてちょっと嬉しかった。

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