つなぐ。
母の日に贈った白い日傘が、母の形見分けとして私のもとへ戻ってきた。
五月なのに真夏日だった午後、ぱちりと傘を開くと、骨の隙間から小さな指輪が転がり落ちた。祖母から母へ渡った形見の指輪。亡くなる半年前、「なくしちゃったの」と肩を落としていた母の声が、蝉時雨みたいによみがえる。
拾い上げ、そっと右手の薬指にはめる。
少し大きい。そう思った瞬間、指輪が熱を帯び、きゅ、と縮んだ。
驚いて外そうとしても抜けない。
その時、閉めたはずの日傘がひとりでに開いた。
真っ白な傘の内側いっぱいに、母の筆跡が浮かんでいた。
「やっと見つけたね」
275文字
#みんなのことば帖2
#傘を開いたら
