星の指輪💍
つなぐ。の続きのストーリー。
星の指輪💍
祖母、母、私そしてまだ見ぬあなたへ。
三代にわたり受け継がれてきたその指輪は、宝石ひとつない、細いプラチナリングだった。
母が幼かった頃、祖母はよく縁側の夜の話をしてくれたという。
子どもたちが寝静まったあと、
祖父は無口な照れ隠しのように小さな箱を差し出した。
「すまんの〜、ダイヤはこうちゃれんかった」
箱の中にあったのは、飾り気のない銀色の指輪だった。
祖母は指輪を左手薬指につけると、
嬉しそう微笑んで夜空を見上げた。
その晩は不思議なほど沢山の流れ星が黒い空を、幾筋もの光が静かに滑っていた。
祖母は星空へ向かって手を伸ばし、
薬指の指輪を月明かりにかざした。
「何を言うとるん。ダイヤなら、ほれ、こんなによけいあるじゃろ」
その瞬間だった。
指輪が、きらりと光った。
まるで夜空の星屑を吸い込んだみたいだ。
何もないはずの輪が、ダイヤモンドの指輪のように煌めき始めたのだ。
流れ星がひとつ落ちるたび、指輪の中に小さな光が宿る。
祖父は呆然とし、祖母だけが嬉しそうに笑っていたという。
それ以来、その指輪は流れ星が夜空を駆け巡る夜だけ、不思議な力が宿る。
普段はただのシンプルなリング。
流れ星の降る夜だけは違う。
空の星が、指輪の中に吸い込まれ、光り輝くのだ。
その指は時を経て祖母から母へ、
そして母から私へと受け継がれた。
今夜、私は窓辺でその指輪を見つめている。
静かな夜空に、ひとすじの流れ星が流れ、光を放つ。
すると、私の薬指が星のように煌めいた。
輝く星空の中では、祖母と母が微笑んでいた。
