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【創作】消失 #ザルミス成功した?

消えたシュークリーム

「えーーーっ!」
 下から悲鳴のようなママの声が響いた。
「ギャーーッ」
 って感じの悲鳴じゃないってことは、ゴキブリとかネズミじゃないんだろうけど、ロクでもないことだろうと思った。
「かっちゃん、今スグ降りてきなさい」
 ほら、言わんこっちゃない。
「今、宿題しているから後にして」
 返事をしながら、タブレットの画面を漫画から宿題に変更する。
「いいから、来なさい。めぐちゃんも降りてきて」
 普段は「中学校に入る前の大事な一年なんだから、しっかり勉強するのよ」と口を酸っぱくして言っているのに、「いいから」なんて矛盾しているよ。それに2つ下の妹「めぐ」まで巻き込むなんて、何が起きたっていうんだ。

 部屋から出ると、めぐと鉢合わせになった。二人で「やれやれだぜ」って顔をして、肩をすくめながら階段を降りママがいるキッチンに向かった。

 ママは冷蔵庫の前で腕を組んで、僕たちを待ち構えていた。
「怒らないから正直に答えなさい。冷蔵庫のシュークリームを食べたのは、二人のどっち」
 いや、もう怒っているよね。僕が無実なのは確かだけど、めぐが食べちゃったのかな。ママに怒られたら可哀想だな。横目でめぐをチラリと見たら、きょとんとしていた。とぼけたり隠したりしているようには見えない。
「何で二人とも黙っているの。どっちが食べたか正直に言わないと、ママ怒るからね」
 だから、完全に怒っているよね。めぐを守るために、僕が食べたことにした方がいいのかな。だけど、嘘がバレたら余計に怒られそうだ。
「めぐは、食べてないよ」
 先に言われてしまった。鬼の目が僕を睨んだ。
「ぼ、僕も食べてないよ。学校から帰ってきた時に冷蔵庫を開けたけど、シュークリームは無かったよ」
 両手をブンブンと振りながら答えた。
「二人とも食べてない、かっちゃんが帰宅した時には無かったって言うのね。じゃぁ、シュークリームは何処に消えたの。冷蔵庫から自分で逃げ出したっていうの。イージーコーナーのシュークリームだったのに。買物から帰ってから食べるのを楽しみにしてたのに。かっちゃんもめぐちゃんも食べてないなら誰が食べたっていうの。ネズミが冷蔵庫を開けたって言うの。お祖母ちゃんは洋菓子を食べないし、どういうこと。ゴミ箱に包み紙が捨ててあるから、この家の誰かが食べたのは間違いないのよ」
 ママは涙目になっていた。鬼の目にも涙ってこういうことなのかな。だけど、僕は本当に食べてないんだ。

「どうしたの圭子さん、大きな声を出して」
 後ろからお祖母ちゃんの声が聞こえた。めぐは駆けだしてお祖母ちゃんの背中に隠れた。しまった、逃げ遅れた。
「昨日、お祖母ちゃんが『私は食べないから』と言って、ママにくれたシュークリームが無くなっているの。包み紙が捨ててあるから、二人のうちどちらかが食べたのは間違いないのに、どっちが食べたか言わないの。楽しみにしていたのに」
 ママ、二人で食べたって可能性もあるよね。というツッコミは止めておいた。
「あら、シュークリームなら、エアコンの点検に来てくれた電気屋さんにお出ししたわよ。圭子さんにも言ったじゃない。『シュークリーム、お茶請けに出しておきますよ』って。電気屋さん喜んでいたわぁ」
 ママの顔が能面のように無表情に変わり、ハッとした顔になった。
「出かける時に、お祖母ちゃんが何か言っているけど、急いでたから、はっきり聞こえなくてもそのままにしたけど、そういうことだったの。なーんだ、かっちゃん、めぐちゃん、ごめんなさい。ママ、二人を疑ってた訳じゃないの。吃驚して、大きな声を出してしまったの」
 僕はママから目を背けた。めぐは涙目になっていた。
「あらあら、お祖母ちゃんが余計なことしちゃったから、皆にごめんなさいだね。けど、悪いのはシュークリームを半端な数しか買ってこなかった器が小さなパパだね。まったく親の顔が見たいよ。お詫びにお祖母ちゃんが皆にプリンをご馳走しようか。めぐちゃん、一緒に買い物に行ってくれるかい」
   お祖母ちゃんは、ママと仲が良いから庇おうとしてるみたいだ。微笑みながら、めぐの頭を撫で撫でした。めぐは何かおねだりするつもりなんだろう、ニコニコしている。ママは作り笑い、僕は苦笑いだ。
 
 ちょっとモヤモヤするけど、消えたシュークリームの謎が解けたから、一件落着でいいことにしよう。部屋に戻って漫画、いや宿題の続きをして、夜のプリンを楽しもう。

 この時は考えもしなかったんだ。プリンのせいで、我が家が別な事件に襲われてしまうなんて。

(おしまい)
 今回のお話は「はそやmさん」のこちらのザルミスにインスパイアです。ご本人に内諾は得ています。

ちょっと字数が足りないですが
#今2000字で書けって言われたらどこからの発想で書き始めますか
もエントリーとさせてください。

「その発想はどこから」
「はそやmさんからです。彼女のアイディアにタダ乗り悪乗りです。はそやmさんの発想、キャラクターが大好きなのです。全ての学びは真似から始まるのです」
  ということで
#何を書いても最後は宣伝
 はそやmさんの「あとがき」が楽しめる私のKindle作品がこちらです。


 こちらもあります。

 お母さんが「圭子さん」なのは、あの方へのリスペクトです。
!説明しよう!

「ザルミス」とは、「ザルミステリー」の略。
ちょっとした謎を、超テキトーな解決で満足するというミステリーの新しいジャンル。
発案者はおそらく、納豆ご飯 椎名ピザ 夫婦。マメペディア

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