高2の「文理選択」で人生が決まる ~ 2040年の就職難予測から考える「後悔しない進路選択」
先日、経済産業省が公表した「2040年の就業構造推計」の改訂版を目にしました。
そこに描かれていた未来の姿は、これから大学受験を迎え、やがて社会へと羽ばたいていく受験生の皆さんやその保護者の方々にとって、決して見過ごすことのできない衝撃的なものでした。
最も目を引いたのは、AIやロボットの普及に伴う労働力の過不足です。
なんと大卒・院卒の文系人材が「約80万人も過剰になる」と試算されているのです。その一方で、理系の専門人材は120万人も不足すると言われています。
この数字を前にして、皆さんはどう感じるでしょうか。
当然ですが、不足するとされているのは理系の専門人材です。
「理系の文系就職」は過剰カウントの80万人に含まれる為、「自分は理系だから安パイ」ということではありません。
反対に最近は、文系でもエンジニアとして就職するパターンもあります。
ですから、文系だから、理系だから、とは一概には言えませんが、2040年に取り巻く状況を把握するには十分な数字かと思います。
日本の高校では、およそ7割が文系選択
現在の日本の高校では、全体のおよそ7割もの生徒が文系を選択しているとの調査結果があります。
偏差値の高い高校では理系が多く、下がるほど段々、文系が増えてくる構図のようです。
厳しい言い方になってしまいますが、その選択の理由として
「数学が苦手だから」
「受験科目が少なくて乗り切りやすいから」
といった、目先の負担を避けるための消極的な動機が少なからず混ざっていることは否定できません。
しかし、国が示す予測は、そうして選んだ道の先に、20年後、非常に厳しい就職難という現実が待ち受けている可能性を示唆しています。
なぜ、これほどのミスマッチが起きてしまうのでしょうか。
その原因は、高校2年生という早い段階で文系と理系を明確に切り分けてしまう、日本の古い教育制度そのものにあります。
理系、文系の時代錯誤
実は、このように早い時期から生徒の可能性を二分する仕組みを残している国は、先進国の中でも、いまや日本くらいしかありません。
社会が本当に必要としている人材の形と、学校現場が送り出す人材の形が完全にズレてしまっているのです。
本来であれば、文部科学省と経済産業省が手を取り、これからの時代を生きる若者のための教育のデザインをしっかりと描き直すべきです。
しかし、現実には、お互いの縦割りの壁に阻まれ、機能的な擦り合わせが行われているようには見えません。その結果として生じるしわ寄せを大人の作った古い仕組みの中で進路を選ばざるを得ない受験生の皆さんが真っ先に背負わされているのです。
中途採用の増加と新卒価値の低下
さらに、直近の日経新聞がまとめた企業の採用計画調査では、中途採用の比率が初めて50.3%となり、過半数を超えました。
これは、日本の伝統的な雇用慣行であった「新卒一括採用」が、いよいよ崩壊し始めている明確なサインです。
これまでの企業は、まっさらな新卒を大学名だけで採用し、社内で一から育てる余裕がありましたが、もはやそんな時代ではありません。
一度社会に出て、厳しさを経験した即戦力の人材を外から採る方が、組織が強くなることに気づき始めたのです。転職は当たり前、終身雇用など無きに等しいでしょう。つまり、大学の名前という看板だけで一生が保証される時代は、完全に終わりを告げたと言えます。
これからの大学生活で求められること
だからこそ、周囲の友達がみんな文系に進むから、先輩たちがそうしてきましたから、といった同調圧力や過去の慣習だけで自分の進路を決めてしまうのは本当に危険です。
大学に入学することをゴールにするのではなく、その先の社会で自分が何を武器にして生きていくのかを、今から真剣に問い直す必要があります。
目先の受験勉強が楽だからという理由で安易に科目を絞り込むのではなく、将来どのような専門性が求められるのかという現実のデータに、ぜひ目を向けてみてください。
時代の大きな変わり目だからこそ、周囲の意見や学校の古い当たり前に流されることなく、自分の未来をしっかりと見据えた後悔のない進路選択をしてほしいと心から願っています。
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