小説『ウセツの大冒険 第1話 クラウドソーシングサービス編』
◎シリーズあらすじ
激動の時代・令和を生きる小説家、ウセツ。彼が好奇心を抱いたモノ・コトのほうへ、自由気ままに走り回る姿を描く『ウセツの大冒険』シリーズ。
第1話の遊び場はクラウドソーシングサービス。オンラインサービスを介して元美容師と元アイドルオタクが出会い、オフラインではウセツとサセツが喧嘩して……?
第1話 クラウドソーシングサービス編
◎登場人物
怠惰な小説家 ウセツ
セミナー講師 ミナ
在宅ワーカー タク
ウセツの親友 サセツ
Chapter1 なんも思いつかんのよ
Side:ウセツ
ウセツは焦っていた。なにも思いつかないのである。
「わし、天才かもしれん。」のキャッチフレーズとともに一世を風靡した売れっ子小説家だったが、ついにネタが尽きたのだ。
書きたいと思っていた題材は書き尽くしてしまったし、作品は巷に溢れかえっている。
情報の渦、否、どんどん増水していく激流のなかを生きる我々は、一生懸命に作品を生み出さずとも……
てゆーか、私が一生懸命頑張らなくたって、誰かがやってくれると思うんだよね。
だって、みんな優秀じゃん?もうさ、一人くらい手抜きしたってバレないっしょ♪
……なーんちゃって。そうやって手を抜くと、後悔するタチなのだ。
もっとやれたんじゃないか、と過ぎた時間を悔やんだことは一度や二度ではない。
これを回避する唯一の方法は、自分で「これ以上、できなかった」と思えるところまでやること。
非効率で無茶苦茶だけれども、結局はこれが一番いい。
それに、不器用なりに一生懸命やると、その無茶苦茶ぶりを面白がってくれる人が現れるのだ。人間の世とはつくづく不思議なものである。
そんなことを考えながら、今回はクラウドソーシングサービスに登録してみることにした。
理由は単純、稼ぎながら執筆のための勉強ができそうな気がしたからだ。
決して遊びではない。真っ当な創作活動であり、芸の肥やしである。
ひとまず日本最大手のサービスにメールアドレスを入力し、おすすめ欄に表示された仕事に応募していくウセツ。
アンケート調査、オンラインモニター、初心者歓迎……5円、50円、1000円……。5円?
「5円?5円とは?ご縁がありますように的なやつか?安くないか?いや、むしろ高いのか?」
などとぶつぶつ呟きながらキーボードをたたく姿は、さながら新しいおもちゃを見つけた子どものようだった。
Side:ミナ
わたしは売れっ子占い師。物事はすべて先行投資。だから今日もたくさんのひとをセミナーに勧誘し、そして導く。
わたしは売れっ子占い師。正解を選ぶんじゃない、選んだ道を正解にするんだ。だからきっと今日も大丈夫。わたしは売れっ子占い師。
そう自分に言い聞かせるようにして朝の支度をするミナ。
あれは5年前──
高校を卒業してすぐに専門学校に行き、美容師になった私。
好き!というあこがれだけでやっていけるほど楽な仕事ではなかったけれど
自分を贔屓にしてくれるお客さんにも出会い、充実した日々を送っていた。
……にもかかわらず辞めた理由。それは、ある日始まった売上向上キャンペーンだった。
「もっと数字を上げろ!顧客単価アップ!オプション追加!」の大号令のもと、言われるがまま、無我夢中。
実際、最初の数か月はおもしろいように売り上げが伸びた。
──このトリートメントを施術すると、髪がツヤツヤになりますよ。
「あら、そうなの。じゃあお願い」
実際に艶は出るし、嘘は言っていない。正当な営業トークだった。
しかし、今月がんばっても、また来月。
1日に対応できるお客さんの数は限られているし、営業時間だって限られている。
こんなふうに数字を追いかけるために美容師になったわけじゃないのにな。
あの迷っていた時期に出会った師匠は、人生を導いてくれる存在だった。
何度かセミナーに通い、仲間にしてもらえたあの安心感。
いつしか、同じように迷いを抱えているひとを仲間にしていく“仕事”をするうちに
収入が増え、仲間が増えた。日々慌ただしく生きるうちに、迷いは無くなったのだ。
学生時代の友人とも、美容師時代のお客さんとも疎遠になってしまったけれど、きっと波動が合わなくなったんだと思う。
今日も予定はぎっしりだ。朝の支度を終え、鏡の中の自分ににっこりと笑いかけた。
Side:タク
ふう──。
いつものようにクラウドソーシングサービスにログインしたタク。
「自宅×簡単×副収入」と言えば聞こえはいいが、正直ほぼ趣味だ。
タイパは最悪で、毎月数百円レベルのお小遣い稼ぎにしかならない。
それでも、ソシャゲでお金と時間を溶かすくらいなら、アンケートに答えているほうがコスパがいい。
インターネットを通じてどこからでも仕事ができるので、在宅ワーカーの属性はさまざまだ。
家事育児のスキマ時間を活用しているひとや介護をしているひと、病気を抱えていたり、家族の転勤で全国を転々としていたり……。
背景もスキルも違う人が一堂に会しており、各々が進みたい方向に進んでいく感じもまた、タクのお気に入りだった。
今日もマイページのおすすめ欄には、アンケート調査や簡単なデータ入力、オンラインモニターなどがずらりと並んでいる。
「よし、これをやってみよう」と、タクは早速アンケートに取りかかった。
質問はどれもシンプルで、製品の使用経験や感想を答えるだけだった。
時折、クスッと笑ってしまうようなユニークな質問もあり、タクは楽しみながら回答を進めていった。
「結局人生って、死ぬまでの暇つぶしだよなあ~」と、楽しんでいるような諦めているような表情を浮かべながら、伸びをする。
そして最近ハマっている音楽生成AIを起動した。
Chapter2 社会勉強を、したかった
Side:ウセツ
クラウドソーシングに登録して1週間経ったウセツは、得意気だった。
あっというまに3,000円稼げてしまったのだ。
1時間のオンラインミーティングを5件と、アンケート回答、スマホゲームのプレイ。最新のAI動画編集を学び、自分が好きなタレントを答え、通勤の電車の中でスマホゲームをした、だけだった。
途中でうっすら怪しげな動画編集スクールに勧誘されたりもしたが、のらりくらりとかわし、おおむね順調に事が運んだのだ。
「それにしても」
もし、あの動画編集スクールに入会していたらどんな人生になったのだろう。ウセツはサセツの部屋をノックした。
Side:サセツ
サセツは呆れていた。またウセツが“なにか”をしているようなのだ。
ヤツは宇宙人である。すぐに新しいことを思いつき、暴走し、行き詰まってこちらを頼ってくる。
最近は毎日デスクトップに向かっていて、機嫌もいい。きっと順調なんだろう。人生山あり谷あり。順調ということは、次にやってくるのは不調だけど。
そんなことを考えながら、本でも読むかと思った、そのときだった。
「ねえねえ、サセツぅ~?」
ほら、出た。今度はなにをやらかしたんだ。
Side:ミナ
ミナは最近、セミナー参加者の減少に悩んでいた。
参加者が減少するだけではなく、仲間たちもいろいろと理由をつけて離れていくのだ。
本業が忙しくなった、家庭を持った、転勤する、親の介護がある……。
「先行投資ですよ」というキラーフレーズも、最近はあまり効果を発揮しない。
大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせながらも、心の中では焦りが募るばかりだった。
ある日、ミナは新しい集客方法を模索するために、クラウドソーシングサービスを利用することを決意する。
彼女は「セミナーの集客に関するアイデア募集」というタスクを投稿し、多くのアイデアを募ることにした。
Side:タク
タクはいつものようにクラウドソーシングサービスにログインし、ミナの投稿を見つけた。
おっと、なんだこれは。いつもならばこの手のタスクは回避一択だ。
報酬がもらえるとしても、怪しい仕事の片棒は担ぎたくない。
でもなぜか今回は、放っておけない気がした。
Side:ウセツ
一方ウセツは、意気消沈していた。
社会勉強のために高額スクールに入会したいと話したら、サセツに止められてしまったのだ。それも、かなりしっかりと。
ついでに説教もされた。自分から危険な橋を渡らなくたっていい、お前はいつも無鉄砲で強引だ、もう少しよく考えろ……と。
アクセル全開で突っ走りがちなウセツと、石橋を叩いてブレーキを踏むサセツはよく衝突する。
んもう、過保護なんだから。
でも、そうやって一生懸命に守ってくれていることも理解しているつもりだ。
わかり合えているような、わかり合えていないようなもどかしさ。
ウセツは再びクラウドソーシングサービスにログインした。
Side:ミナ
「セミナーの集客に関するアイデア募集」。我ながら、なかなか攻めたなと思う。
それを考えるのは本来自分の仕事であり、まさか助けを求めることになるなんて。
ちなみに、これまでに実施した集客施策はこんな感じだ。
・ソーシャルメディアマーケティング
・有名タレントとコラボ
・メールマーケティング
・ウェブサイトの活用
・友人紹介制度
いくら優秀なクラウドワーカーが揃っているクラウドソーシングサービスとはいっても、やっぱり似たようなアイディアしか来ないかもしれない。
だとすれば、打つ手なし。
もしかしたら私、潮時かも。ミナはぼんやりと考え始めていた。
Side:タク
セミナー集客のアイディアに「有名タレントとのコラボ」、と打ち込んだあとで
そもそもタレントを使える人脈や制作費があるなら苦労しないよなあ。と考え始めたタク。
それに、有名人見たさに来るお客さんって、どのくらい売上や入会者数の増加に繋がるんだろ。
普段はこんなことを考えたりはしないが、今日はタスクも少なめだし、たまにはこういう時間があってもいい。
そういえば。かつてタクは熱心にアイドルオタクをしていた時期がある。
寝食を忘れて推し活に熱中した日々。時間もお金も文字通り“溶けた”し、彼女に紹介されたサービスは有料であれ無料であれ、片っ端から手を出した。なんでも食べたしなんでも飲んだ。無我夢中で、一生懸命だった。
終わってみればなにも残らなかったけれど、それでも毎日が新鮮で、キラキラしていたような気がする。なにも残っていないけれど。
もしかしたらあの日々に答えがあるかもしれない。タクは5年前の日記を棚から取り出した。
Side:ウセツ
「セミナーの集客に関するアイデア募集」。
へえ。集客ね。集客かあ。
そんなこと言われても、なんにも思いつかないや。
ぼくはね、もうなんにも思いつかないんだよ。
でも、もしかしたら誰しもが「思いつかない」と苦しんでいるのかもしれないな。
そうやってもがいて、苦しんで、ようやくできるからこそ、クリエイティブは美しいのかもしれない。
このセミナー講師のひとも、苦しんでいるんだろうな。
がんばってほしいなあ。
みんな苦しんでいるんだったら、ぼくにはぼくのやれることをやろう。
時代は動画編集の波が来ているし、出版業界は斜陽かもしれないけど。
しかも生成AIが次々誕生して、なんだか雲行き怪しいけど。
それでも、ぼくの武器は文章をうみだすことだもんな。
今回はクラウドソーシングサービスで得た経験を小説にしよう。
2日間、部屋に引きこもって一気に書き上げた作品は、クラウドワーカーの手も借りることにした。
ここまで来たら、発注側にも挑戦だ。
◎オンライン完結◎小説の校正【簡単・時間自由】
小説家になりたい会社員です
この度、創作大賞2024の応募作を書きました!
投稿前の拙作を読んでいただき、校正してくださる方を募集中です
【作業内容】
こちらからテキストを送付します
↓
赤字をご記入いただき、納品
↓
終了
【納期】
本日~6月30日(日)まで
【ご注意事項】
作品のSNS投稿、AIへの学習、その他二次利用は禁止とさせていただきます
なお、感想・批評はお手柔らかにお願いします……笑
そして完成した小説がこれだ。
ウセツ「とりあえず、できた。正直なんだかすごく敗北感があるけど」
サセツ「できたなら、いいんじゃない?」
ウセツ「でも、でも」
サセツ「なにさ」
ウセツ「たくさんAIを使ったし、クラウドソーシングサービスも使った」
サセツ「募集要項にも『AIを使用した作品の投稿は問題ありません』って書いてあるし。ほら、早く応募しろよ。期限、迫ってるんだろ?(笑)」
ウセツ「うう」
Chapter3 タルチキ定食、誕生
どうしよう、とウセツは悩んでいた。ひとまず作品はできたが、ペンネームが思いつかないのだ。
クラウドソーシングで募集するか?AIに決めてもらうか?……いや、でも、なんか負けた気がするんだよなあ。
なんだろうなあ、この「負けた」感。
そうは言っても創作大賞2024の投稿期限は近づいてきたし、時間は待ってくれない。
ええい、ならば。
ウセツ「姓名診断をしてください」
GPT-4o
「姓名診断では、名前の持つ音や文字から性格や運命を占うことができます。
具体的に診断したい名前を教えていただければ、その名前についての診断を行います。
以下の情報を提供していただけると、より詳細な診断が可能です:
診断したい名前(フルネーム)
名前の読み方(ふりがな)
例えば、「山田 太郎(やまだ たろう)」のように教えてください。」
「早いんだよ。迷いなく返答するしさァ……あたい、あなたのことが怖いよ」とぶつぶつ独り言を呟きながら
恐る恐る、自分がフリマサイトで使っているニックネームを入力するウセツ。
ウセツ「タルチキ定食」
GPT-4o
「『タルチキ定食』は料理の名前ですが、姓名診断の対象としては適していません。
姓名診断を行うには、人名が必要です。もし具体的な人名での診断をご希望でしたら、その名前を教えてください。
例えば:
山田 太郎(やまだ たろう)
佐藤 花子(さとう はなこ)
このような形式で名前を提供していただけると診断が可能です。」
しばらく考え込むウセツ。
もう一度断られちゃうかもしれないけど、試しにやってみようかな。
ウセツ「タルチキ 定食(たるちき ていしょく)」
タルチキ 定食(たるちき ていしょく)の姓名診断
音の響きとイメージ
タルチキ:ユニークで楽しい響きがあります。「タル」には包み込むような柔らかさを、「チキ」には軽快さや親しみやすさを感じさせます。
定食:安定感やバランスを表します。定食は栄養バランスが良い食事というイメージがあるため、健康や安定感を象徴する言葉です。
性格的なイメージ
タルチキという名前からは、ユニークで個性的、明るく親しみやすい性格が感じられます。コミュニケーションが得意で、人々を楽しませることが好きなタイプです。
定食からは、バランス感覚に優れ、安定した生活を求める傾向が見えます。しっかりとした計画性を持ち、実行力がある人でしょう。
運命的なイメージ
タルチキの持つ個性や明るさは、クリエイティブな分野での成功を示唆します。新しいアイデアやプロジェクトに積極的に取り組むことで、周囲からの支持を得るでしょう。
定食の安定感は、長期的な成功を支える基盤となります。しっかりと地に足をつけた生き方をすることで、持続的な成功と幸福を手に入れることができるでしょう。
総合診断
「タルチキ 定食」という名前は、ユニークさと安定感を併せ持つ人を表しているようです。新しいことにチャレンジする一方で、バランス感覚を忘れない性格の持ち主と言えるでしょう。明るい性格と安定した生活の両方を大切にすることで、多くの人に愛される存在になれるでしょう。
ユニークな名前の診断は通常の姓名診断とは異なりますが、名前の持つ音やイメージからこうした解釈ができます。
お、返してくれた。今回もまた突っぱねられるかと思った。
……なんとなく、「やれやれ、しょうがないですね……」みたいな感じで返事してくれた気もするけど。AI流の気遣いみたいな。
それでなになに、楽しげで明るいながら安定感もあって、多くの人に愛されそう? そうか、案外いい感じなんだな。そうか、そうか。と納得したような表情になったあと、
ウセツはタルチキ定食として生きることを決め、小説の投稿ボタンを押したのだった。
それは令和6年、よく晴れた日。AIと人間の共同作が生まれた瞬間であった。
わし、天才かもしれん。
(第1話 完)
※作品はフィクションです
※一部、ChatGPTを用いて作成しました
