見出し画像

マスカットベーリーAと和食ペアリング完全ガイド

「和食に合う赤ワインが知りたい」「マスカット・ベーリーAってどんな特徴があるの?」

――そんな疑問を持って検索した方へ。日本固有の赤ワイン用品種マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A、以下MBA)は、醤油・みりんベースの甘辛い和食との相性で右に出るものがないほど優れたペアリングワインです。

筆者はワインエキスパート・SAKE DIPLOMA保持者で、MBA の可能性を探るべく、すき焼き、焼き鳥のタレ、煮魚、肉じゃが、豚の角煮など数十種類の和食と組み合わせてきました。この記事では、MBAの特徴と和食に合う理由、料理別のペアリング実例、そしておすすめ5銘柄をご紹介します。


マスカット・ベーリーAとは|特徴と味わい

マスカット・ベーリーAは、1927年に新潟県の岩の原葡萄園で川上善兵衛が交配によって生み出した日本固有のブドウ品種です。アメリカ系のベーリー種とヨーロッパ系のマスカット・ハンブルグ種を掛け合わせて誕生しました。

味わいの特徴は、チェリーやイチゴを思わせる明るい果実味と、穏やかなタンニン(渋み) です。海外の赤ワインで例えるなら、ガメイ(Gamay)やピノ・ノワール(Pinot Noir)に近い軽やかさがありますが、MBAにしかない独特のキャンディ香や綿あめのような甘いニュアンスが個性として際立ちます。

アルコール度数は11〜13%程度とやや控えめなものが多く、渋みも少ないため、赤ワインが苦手な方にもとても飲みやすい品種です。


マスカット・ベーリーAが和食に合う3つの理由

理由1:醤油の甘さと果実味の共鳴

MBAの最大の強みは、醤油・みりんベースの「甘辛い味付け」との自然な調和です。赤ワインの果実味が醤油のコクやみりんの甘さと溶け合い、料理の味わいをワンランク引き上げてくれます。これはカベルネ・ソーヴィニヨンのように渋みが強い品種では実現できないマッチングです。

理由2:穏やかなタンニンが素材を壊さない

和食は繊細な味わいのものが多く、タンニンが強い赤ワインを合わせると料理の味が消えてしまいます。MBAのタンニンはとても穏やかなので、煮魚や金目鯛の煮付けのような繊細な料理にも寄り添えるのです。赤ワインなのに魚料理に合うという点は、MBA最大のアドバンテージと言えるでしょう。

理由3:樽熟成で表情が変わる

MBAは醸造スタイルによって味わいが大きく変わります。ステンレスタンクだけで仕上げたものはフレッシュ&フルーティーで軽快。一方、フレンチオーク樽で熟成させたものはバニラやスパイスのニュアンスが加わり、ミディアムボディの骨格を持つようになります。

樽熟成MBAは豚の角煮やすき焼きのように味が濃い料理にも負けません。この幅の広さが、和食ペアリングにおけるMBAの大きな魅力です。


料理別ペアリング例

すき焼き × MBA ― 最強の組み合わせ

すき焼きの割り下には醤油・砂糖・みりんがたっぷり使われており、これはMBAの果実味と最も共鳴しやすい味付けです。溶き卵のまろやかさがMBAのやわらかなタンニンと重なり、「和のブルゴーニュペアリング」と呼びたくなるような贅沢な体験ができます。 筆者のイチオシの組み合わせです。

焼き鳥(タレ)× MBA ― 定番中の定番

タレ味の焼き鳥とMBAは「和食×ワイン入門」の王道ペアリング。もも肉やつくねのタレ味はもちろん、手羽先の甘辛ダレにも見事にマッチします。この組み合わせについては、関連記事「焼き鳥とワインのペアリング|塩・タレ別おすすめ7選」でさらに詳しく解説しています。

煮魚・金目鯛の煮付け × MBA ― 赤ワインなのに魚に合う

煮魚は醤油と砂糖で甘辛く仕上げるため、MBAの果実味との相性が自然と成立します。「赤ワインと魚は合わない」という固定観念を覆してくれるのが、この組み合わせ。 とくに金目鯛の煮付けとフレッシュなMBAの組み合わせは、一度試すと目からウロコですよ。

肉じゃが・豚の角煮 × 樽熟成MBA ― 濃い味にはオーク樽の力を

肉じゃがや豚の角煮のように味がしっかりした煮込み料理には、樽熟成のMBAがベストマッチ。樽由来のバニラ香が料理の甘辛さとリンクし、穏やかなタンニンが脂のコクを引き締めます。角煮×ワインの詳細は「豚の角煮に合うワインおすすめ7選」でもご紹介しています。

うなぎの蒲焼き × MBA ― 意外な好相性

蒲焼きのタレは醤油・みりん・砂糖が主体で、実はすき焼きの割り下と似た味わいの構成です。MBAのチェリーの果実味が蒲焼きの甘辛さにそっと寄り添い、脂の乗ったうなぎの後味をさっぱりさせてくれます。土用の丑の日にMBAを開けるというのも、なかなか粋な過ごし方ではないでしょうか。


マスカット・ベーリーAおすすめ5選

シャトー酒折 マスカット・ベーリーA 樽熟成 <赤・日本>

山梨県のシャトー酒折ワイナリーが、フレンチオーク&アメリカンオーク樽で熟成させたMBAの代表銘柄です。チェリーやストロベリーの果実味に、樽由来のバニラ香がほのかに重なるミディアムライトボディ。

ワイナリー公式でも「お醤油と相性が良いので日本の家庭料理にぴったり」と謳っているほど、和食との親和性に自信を持って造られた1本。 すき焼きや角煮のような濃い味付けの料理から始めてみてください。

▶︎楽天で探す


シャトー・メルシャン 穂坂マスカット・ベーリーA <赤・日本>

日本ワインコンクール金賞の常連が山梨県穂坂地区のMBAで造る、やや骨格のしっかりした赤ワイン。果実の凝縮感と力強い酸があり、一般的なMBAよりもしっかりした印象です。

Amazonの商品ページでも「焼き鳥(タレ)や肉じゃがに合う」と紹介されており、和食ペアリングを前提に設計されたワインであることがわかります。 MBA を1本だけ選ぶなら、まずこの穂坂を推したいですね。

▶︎楽天で探す


岩の原葡萄園 マスカット・ベーリーA <赤・日本>

MBAが生まれた原点、新潟県・岩の原葡萄園が造る正統派のスタイル。チェリーやベリーのフレッシュな果実味にやわらかな口当たりで、MBAの品種特性を素直に表現した1本です。

煮魚や金目鯛の煮付けのような繊細な和食に合わせるなら、樽を使わないこのフレッシュなタイプがぴったり。MBAの原点に触れるという意味でも、一度は飲んでおきたい銘柄です。

▶︎楽天で探す


ルイ・ジャド ボージョレ・ヴィラージュ <赤・フランス>

「MBAと似た品種の海外ワインも試してみたい」という方への比較対象として、ガメイ品種のボージョレ・ヴィラージュをおすすめします。チェリーやスミレのアロマにタンニンは穏やか。MBAと飲み比べてみると、似ているようで微妙に異なるフルーティーさの違いが面白い。

すき焼きや焼き鳥のタレとの相性も申し分なく、和食ペアリングの引き出しを広げる1本としてぜひ手に取ってみてください。

▶︎楽天で探す


岩の原葡萄園 スパークリング ロゼ マスカット・ベーリーA <スパークリング・日本>

MBAで造る辛口ロゼ・スパークリングという珍しい1本。淡いサーモンピンクの色合いが華やかで、ベリー系の果実香に爽やかな泡が楽しめます。和食の前菜――枝豆、酢の物、お浸し――と合わせて乾杯するのにぴったり。「赤ワインはちょっと重い」と感じるときの代案としても優秀です。MBAのもう一つの顔を知れる、通好みのセレクトですね。

▶︎楽天で探す


まとめ

マスカット・ベーリーA は、醤油・みりんベースの和食と最も自然に調和する赤ワイン品種です。穏やかなタンニンとチェリーの果実味が、すき焼き、焼き鳥のタレ、煮魚、角煮、うなぎの蒲焼きといった定番の和食に驚くほどよく合います。

樽熟成タイプなら味の濃い料理に、フレッシュタイプなら繊細な煮魚に、スパークリングなら前菜に。スタイルを使い分ければ、和食の食卓全体をMBAだけでカバーすることも可能です。

日本で生まれた品種で、日本の料理を楽しむ。これ以上に自然なペアリングはないのかもしれません。ぜひ次の和食の晩酌で、MBAを1本開けてみてください。


関連記事

この記事を書いた人:Tasterr
J.S.A. SAKE DIPLOMA / Wine Expert。全国でお酒のイベントを開催し、これまで7,000人以上にお酒を注いできました。旅を通して、その土地ならではのお酒との出会いやペアリングを楽しんでいます。プロフィール [EN]
日本酒ペアリング一覧 [EN]
ワインペアリング一覧 [EN]

役立つ情報をお届けできるよう、これからもがんばります。この記事が良いと思ったら、ぜひスキやフォローをお願いします。

※プロモーションを含みます。Amazonのアソシエイトとして、当noteは適格販売により収入を得ています。

いいなと思ったら応援しよう!

Tasterr(テイスター) いつも応援ありがとうございます。取材やイベントなど一次情報を取りに行く活動に宛て、より良い記事制作に反映させていただきます。