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鮎の塩焼きに合う日本酒おすすめ6選|料理別ペアリング完全ガイド

初夏の風物詩である鮎の塩焼き。清流の香りを閉じ込めたようなあの独特の風味には、やはり日本酒を合わせたくなります。ただ、ひとくちに「鮎に合う日本酒」と言っても、塩焼き・甘露煮・うるかと調理法によって最適なお酒は変わってきます。

ワインエキスパート・SAKE DIPLOMAの資格を持つ筆者が、鮎と日本酒のペアリングを理論と実践の両面から解説します。夏の鮎を最高に美味しく楽しむための一本を、ぜひ見つけてください。

鮎と日本酒はなぜ好相性なのか

「香魚」の繊細な風味と日本酒の旨みが響き合う

鮎は「香魚(こうぎょ)」とも呼ばれ、スイカやキュウリに例えられる独特の清涼感のある香りを持っています。この香りは鮎が川の苔を食べることで生まれるもので、 天然鮎ほど香りが強く 、養殖鮎はやや穏やかです。

日本酒、特に 純米酒(Junmai)純米吟醸(Junmai Ginjo) の穏やかな吟醸香(Ginjo-ka)は、鮎の繊細な香りを壊さずに寄り添える絶妙な強さを持っています。ワインの場合、樽由来のバニラ香やタンニンが鮎の風味と衝突することがありますが、日本酒にはその心配がほとんどないのです。

「ほろ苦さ×キレ」が塩焼きをさらに美味しくする

鮎の塩焼きの魅力のひとつが、わた(内臓)のほろ苦さです。この苦みは大人の味覚として格別ですが、ここにキレのある辛口の日本酒を合わせると、苦みが旨みに変わる瞬間があります。

日本酒の キレ とは、口に含んだ後のすっきりとした後味のこと。このキレが鮎の脂を洗い流しつつ、わたの苦みに含まれるアミノ酸と日本酒の旨みが同調して、なんとも言えない余韻を生み出します。川魚は海の魚と比べて脂が軽いため、 日本酒のようにアルコール度数15度前後の穏やかなお酒 とのバランスが抜群なのです。

テロワールを意識した「地酒×地の鮎」という楽しみ方

鮎が泳ぐ清流の水と、その土地の地酒(Jizake)の仕込み水は、同じ水系であることが少なくありません。高知の仁淀川の鮎に高知の地酒を、岐阜の長良川の鮎に岐阜の地酒を合わせる。これは テロワール(Terroir) の発想と同じで、土地の風土を共有する食材とお酒が調和しやすいのはごく自然なことです。

夏の旅先で、川床に座りながら地の鮎を地酒で楽しむ。そんな贅沢なシーンを想像するだけでも、このペアリングの奥深さが伝わるのではないでしょうか。

鮎の料理法別に合う日本酒タイプと温度帯

塩焼きには辛口の純米酒か純米吟醸を冷酒で

鮎の塩焼きは、鮎本来の香りと旨みをもっともダイレクトに味わえる調理法です。ここに合わせる日本酒は、 辛口の純米酒か純米吟醸 が王道。温度帯は 冷酒(8~12度) がベストです。

キンキンに冷やしすぎると酒の香りが閉じてしまうので、冷蔵庫から出して5分ほど置いたくらいがちょうどよいでしょう。 炭火で焼いた鮎 であれば、ほんのりスモーキーな香ばしさが加わるため、やや酸味のある純米吟醸を合わせると、そのスモーク感と酸が心地よく響き合います。

甘露煮にはコクのある純米酒をぬる燗で

鮎の甘露煮は、醤油・砂糖・みりんで甘辛く煮詰めた保存食で、骨までやわらかく食べられるのが特徴です。この甘辛い味付けには、 コクのある純米酒や山廃純米(Yamahai Junmai)をぬる燗(40度前後) にして合わせるのがおすすめです。

ぬる燗にすることで酒の甘みとまろやかさが引き出され、甘露煮の味わいと自然に同調します。逆に冷酒だと、甘露煮の濃い味付けに負けてしまうことがあるので注意してください。

うるかには超辛口をきりっと冷やして

うるか(鮎の塩辛)は、鮎の内臓や身を塩漬けにした珍味です。強い塩味と独特の苦み・旨みが凝縮されており、 超辛口の純米酒 がベストパートナーになります。温度帯は しっかり冷やした冷酒(5~8度)

超辛口のキレがうるかの塩味を受け止め、口の中をきれいにリセットしてくれます。高知の清流で獲れる鮎のうるかに、同じく高知の超辛口・司牡丹 船中八策を合わせるのは、まさに地酒と地の食材のテロワールペアリング。これだけで盃が止まらなくなりますよ。

天ぷら・鮎ごはんにはフルーティーな純米吟醸を常温で

鮎の天ぷらや鮎ごはんは、油や炊き込みの旨みが加わることで、塩焼きとはまた違う奥行きのある味わいになります。ここには フルーティーな香りの純米吟醸を常温(15~20度) で合わせると、お米の甘みと鮎の旨みが穏やかに溶け合います。

天ぷらの場合は、油のコクを切るために少し冷やし気味(12度前後)にするのもありです。鮎ごはんは米同士のつながりで、純米酒が特に好相性。素朴で温かみのあるペアリングを楽しめます。

鮎の塩焼きに合うおすすめ日本酒6銘柄

酔鯨 純米吟醸 吟麗 720ml <純米吟醸>

高知の清流が生んだ鮎には、高知の食中酒を。 酔鯨酒造(Suigei Shuzo)の「吟麗」は、柑橘系の爽やかな香りとシャープなキレが特徴の純米吟醸です。鮎の塩焼きのわたのほろ苦さに、このキレが見事に寄り添います。

辛口寄りの味わいなので、塩焼きの繊細な風味を邪魔せず、最後まですっきりと食べ進められるのが嬉しいところ。冷酒(10度前後)でどうぞ。高知の仁淀川や四万十川の天然鮎と合わせたら、それはもう至福の時間です。

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司牡丹 船中八策 超辛口純米 720ml <純米酒>

うるか(鮎の塩辛)との相性で右に出る酒はそうありません。 坂本龍馬が船上で記した「船中八策」の名を冠した、高知を代表する超辛口純米酒です。日本酒度+8のキレ味は、うるかの強い塩味と旨みをきれいに受け止め、次のひと口を呼び込みます。

もちろん鮎の塩焼きにもぴったりで、脂の軽い川魚の持ち味を引き立てる食中酒としての完成度が非常に高い一本。冷酒でも常温でも安定して美味しく、温度帯を選ばない懐の深さも魅力です。

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鮎正宗 純米吟醸 銀ラベル鮎 720ml <純米吟醸>

その名もずばり「鮎」。新潟の蔵が鮎と飲むために醸した一本です。 鮎正宗酒造は新潟県妙高市の蔵元で、やわらかい口当たりと穏やかな甘酸のバランスが持ち味。鮎の塩焼きと合わせると、銘柄名のとおりの自然なフィット感に思わず頬がゆるみます。

フルーティーすぎず、辛すぎず、ちょうど真ん中を行く味わいが、鮎の香りを大切にしながら酒の旨みもしっかり感じさせてくれます。冷酒で涼やかに楽しむのが最適です。

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天狗舞 山廃仕込純米 720ml <山廃純米>

鮎の甘露煮に合わせるなら、ぬる燗の天狗舞がまさに黄金ペアリング。 石川県の車多酒造が醸す山廃仕込純米(Yamahai Junmai)は、山廃由来の豊かなコクと酸味が特徴です。一口目は甘くまるでフルーティーなワインのよう、その後にしっかりとした日本酒の味わいが広がるとAmazonレビューでも評判。

甘露煮の甘辛い煮汁と、ぬる燗にした天狗舞の酸味・コクが同調して、和食の奥深さをしみじみ感じられます。インスタグラムでも「ぬる燗の天狗舞山廃と鮎」の投稿が見られるほど、通の間では定番の組み合わせです。

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白川郷 純米にごり酒 720ml <にごり酒>

炭火焼きの鮎にクリーミーなにごり酒、という意外な組み合わせが驚くほどハマります。 岐阜県の三輪酒造が醸す白川郷は、もろみがたっぷり残る超濃厚タイプのにごり酒(Nigorizake)。

日本酒度-25の甘さが、炭火で焼いた鮎のスモーキーな香ばしさと対比のペアリングを生み出します。岐阜は長良川の鮎が有名な土地。地の鮎に地の酒という、テロワールの喜びも感じられる一本です。よく冷やすか、常温で楽しんでください。

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久保田 千寿 

「鮎に合う日本酒が初めて」という方に、まずおすすめしたい王道の一本。 新潟・朝日酒造の久保田 千寿は、淡麗辛口の代名詞ともいえるロングセラーです。穏やかな吟醸香と、すっきりしたキレの良さが、鮎の塩焼きの繊細な風味を邪魔しません。

主張しすぎず、かといって存在感はしっかりある。まさに食中酒の理想形です。冷酒で合わせれば、夏の暑さも鮎の塩焼きも、するすると楽しめるはずです。

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夏の鮎×日本酒を最高に楽しむシーン提案

川床で天然鮎と地酒を楽しむ

京都の貴船や鴨川、岐阜の長良川沿いには、夏季限定で川床(かわどこ)や川座敷が設けられるお店があります。清流のせせらぎを聞きながら、目の前で焼かれた天然鮎に地酒を合わせる。これは夏にしかできない特別な食体験です。

天然鮎は養殖と比べて 身が引き締まっていて香りが強い ため、酒もそれに負けない骨格のある純米酒がよく合います。お店によっては地元の蔵の日本酒をそろえているところもあるので、「鮎に合う地酒はどれですか」とスタッフに聞いてみると、思いがけないペアリングに出会えることもありますよ。

自宅でひやおろしと鮎を楽しむ秋の手前

鮎のシーズンは6月から10月頃まで。秋口になると子持ち鮎が出回り、卵のプチプチとした食感が加わって味わいがさらに豊かになります。この時期にぴったりなのが ひやおろし(Hiyaoroshi) 。春に搾った新酒をひと夏熟成させた秋限定の酒は、まろやかさと深みが増して、子持ち鮎のリッチな旨みに見事に寄り添います。

まとめ

鮎と日本酒のペアリングは、 塩焼きには辛口の冷酒、甘露煮にはコクのあるぬる燗、うるかには超辛口の冷酒 というのが基本の方程式です。

ここに「地の鮎には地の酒」というテロワールの視点を加えると、ペアリングの楽しみはさらに広がります。高知の鮎に酔鯨や司牡丹、岐阜の鮎に白川郷、新潟の夏の食卓に鮎正宗。土地とお酒と食材が三位一体でつながる感覚は、日本酒ならではの豊かさです。

今年の夏、鮎の塩焼きを目の前にしたら、ビールに手を伸ばす前にちょっとだけ立ち止まって、冷やした純米吟醸をグラスに注いでみてください。川の香りをまとった一尾と、澄んだ酒のひと口が重なった瞬間、「ああ、日本の夏はいいなあ」と思えるはずですから。


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この記事を書いた人:Tasterr
J.S.A. SAKE DIPLOMA / Wine Expert。全国でお酒のイベントを開催し、これまで7,000人以上にお酒を注いできました。旅を通して、その土地ならではのお酒との出会いやペアリングを楽しんでいます。プロフィール [EN]
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