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フォドラ文明史の仮説録② 神はなぜ禁忌を犯したのか

人間は神から解放されるべきだと主張した男がいた。

後の世で解放王と呼ばれる男、ネメシスだ。

彼は生まれ持ったカリスマ性をもって
同じ思想を持つ者たちを鼓舞した。

彼は、女神の支配から人を解放するために掲げられた旗印だった。

なお、この同じ思想を持つ者たちは、
後の世でフォドラ十傑と呼ばれることとなる。


解放王ネメシス

彼らは、
人々を神の支配から解放したいと願ったが、
神に対抗する手段を持たなかった。

そんな彼らに手を貸したのが、
女神によって滅ぼされた、
かつての古代文明の末裔である。

彼らは女神に敗北した後、
研究を重ね、技術を研ぎ澄まし、
神の力を用いた技術を実用化できるレベルにまで完成させていた。

それらの技術を用いて、
力をつけたネメシスらは、
女神の眷属たちが静かに過ごしていたザナドを襲撃した。

この戦いで多くの女神の眷属たちが死に、
その地で眠りについていたソティスの体も含め、
ほぼすべてが人間たちにより持ち去られた。

たった一人残された女神の娘ーセイロスを除いて。


紋章と英雄の遺産

古代文明の末裔たちは、
人間たちに持ち帰らせた、
女神と女神の眷属たちの遺骸を用いて、
神を超越すべく兵器を生み出した。

遺骸から取り出した骨を土台とし、
力の源である心臓を埋め込んだ武器。

そして、
遺骸から取り出した血を人間に与える。

血を与えられた人間は強大な力を手にし、
遺骸から作られた武器を振るえば、
それはまさに神々の再来のようだった。

人に神の血を与えて、
神の力を振るわせることは、
古代文明の末裔たちにとって
神への復讐と同義だった。

そして同時に、
その行為は神にとっては犯してはならない禁忌であった。


聖者セイロス

神への反逆者どもを滅ぼさねばならない。

セイロスは、
仲間たちを奪った盗賊ーネメシスら人間たちに復讐を誓う。

だが、この世界の人間たちは、
かつて母の愛した者たちだ。

それをすべて滅ぼすことは、
セイロスの真意ではなかった。

そして、それを実現させる力も、
もはやたった一人残されただけのセイロスに、
残されてはいなかった。

セイロスは、
各地に散っていた女神の眷属たちを呼び集めると、
女神を慕う人々を束ねあげ、
ネメシスら反逆者らと対抗しうる勢力を作り上げた。

そして、ネメシスらに対抗するため、
自分たちを慕う人間たちに血を与えた。

これは禁忌だ。

だが、復讐を果たすために、
他に手はなかった。

タルティーンでの戦いで、
セイロスはついにネメシスを打ち滅ぼす。

神の手による、禁忌の逆輸入。

それこそが、この戦いでの勝敗を決した。

そしてこのことが、
後のフォドラ社会を歪ませることになるのである。






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