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海浜幕張の電柱は誰が埋め、誰が直す?①🤣|旧県企業庁が造った計画都市

■ 導入


海浜幕張を歩いていると、電柱がほとんど見当たらない。

道路の上に電線がなく、街全体がスッキリしている。

どうやら、電線や通信線などを地下へ収容する「共同溝」が整備されているらしい。

なるほど。

計画都市だから、最初から電線を地中化したのか。

景観はよくなる。

地震や台風で電柱が倒れる危険も減る。

いいことだらけに見える。

でも、少し調べてみると、

電線の地中化には、地上へ電柱を立てるよりも多額の費用がかかるらしい。

まあ、そりゃそうだよね🤣

道路を掘る。

地下に設備を造る。

そこへ電線や通信線を通す。

安いわけがない。

そこで、最初の疑問が浮かんだ。

これ、誰が計画して、誰が金を出したん?🤣

千葉市?

千葉県?

それとも電力会社?

さらに考えていくと、もう一つの疑問が出てきた。

地下設備は、造って終わりではない。

点検も必要になる。

壊れたら修理も必要になる。

老朽化すれば、いずれ更新も必要になる。

では、この共同溝は現在、誰が管理しているのだろう?

千葉県?

電力会社?

それとも、千葉市?

もし千葉市が維持管理しているなら、

👉 幕張新都心という一地区の設備に、市民全体の税金を使うの?🤣

もちろん、海浜幕張の不動産価値が上がり、企業や住民が集まり、それによって千葉市の税収が維持管理費以上に増えているなら問題はない。

市全体で見て収支がプラスなら、都市への投資として合理的である。

でも、

海浜幕張から市税がいくら増えたのか。

共同溝の維持管理にいくらかかっているのか。

将来の修理や更新に、いくら必要になるのか。

その収支は、市民へ説明できる形になっているのだろうか。

調べていくと、海浜幕張を計画した主体と、造った後に維持管理する主体は、必ずしも同じではないことが分かってきた。

今回は、

誰が海浜幕張を造り、

誰がその利益を受け、

誰が地下設備を維持し、

最後に誰が請求書を受け取るのか。

海浜幕張の電線地中化から、その構造を追ってみたい🤣

こんな感じ🤣

■ 海浜幕張を造ったのは千葉市ではなかった


まず、幕張新都心を主体的に整備したのは、千葉市ではない。

中心となったのは、千葉県と旧千葉県企業庁である。

千葉県の資料によると、

県企画部が構想を策定し、

旧県企業庁が、

・ 実施計画
・ 土地造成
・ 基盤整備
・ 企業誘致
・ 土地分譲

を担ってきた。

つまり、千葉市の一地区ではあるものの、街を造った主役は県側だった。

計画面積は、拡大地区を含めて522.2ヘクタール。

総事業費は約3兆円。

その内訳は、

・ 埋立て、道路、共同溝などの基盤整備:約5,000億円
・ 民間企業のビルなど:約2兆5,000億円

とされている。

3兆円🤣

もはや、ちょっとした街づくりという規模ではない。

海を埋め立て、
道路を造り、
企業を誘致し、
住宅を建て、
商業施設やホテルを集め、
地下には共同溝まで整備する。

最初から一つの都市を設計した、巨大プロジェクトだった。

ただし、約5,000億円は埋立て、道路、共同溝などをまとめた金額である。

このうち、電線地中化だけにいくら使われたのかは、今回確認した資料では分からなかった。

ここは分けておきたい。

「海浜幕張の地中化に5,000億円かかった」という話ではない。

■ 県企業庁は公営デベロッパー?


では、旧県企業庁とは何だったのか。

名前だけを見ると、普通の行政部門に見える。

しかし、少し仕組みが違う。

旧県企業庁は、地方公営企業として、独立採算で土地造成整備事業などを行っていた。

税金を配るだけの部署ではない。

土地を造成する。

道路や下水道などの基盤を整える。

企業や住宅事業者を誘致する。

そして、土地を分譲・貸付する。

かなり乱暴に言えば、

👉 公営デベロッパー

のような存在だった。

デベロッパーとは、土地を整備して街をつくり、その土地を企業などに売ったり貸したりする開発事業者のこと。

県企業庁は、それを民間企業ではなく県が担うような存在だった。

もちろん、民間の不動産会社とまったく同じではない。

幕張新都心には、

・ 県の産業振興
・ 企業誘致
・ 住宅供給
・ 国際業務都市の形成
・ 雇用や地域経済の拡大

といった公共的な目的がある。

単に土地を高く売って儲けることだけが目的だった、とは言えない。

ただし、事業を成立させる経済構造はこうなる。

何もない埋立地

道路、下水道、公園、共同溝を整える

企業や住宅事業者が進出したくなる街を造る

土地を分譲・貸付する

造成・整備に使った資金を回収する

つまり、

👉 区画の価値を高めることは、事業を成立させるための要のBだった

と考えられる。

その中で、電線地中化や共同溝も、

防災設備。
ライフライン設備。
歩行空間を確保する設備。

であると同時に、

👉 街の商品価値を高める設備

として作用した可能性がある。

電柱や電線が目立たない。
街並みが整っている。
未来型の計画都市に見える。

高所得世帯や企業を呼び込み、不動産価値を高める要素にはなり得る。

ただし、

地中化によって土地価格が具体的にいくら上がったのか。

県企業庁が、その価値上昇分を分譲・貸付収入としてどこまで回収したのか。

そこまで示す資料は、まだ確認できていない。

だから現時点では、

「地中化によって県が儲けた」

と断定する話ではない。

構造として、街の価値向上と土地の分譲・貸付がつながっていた、という話である。

■ 造った後、共同溝はどうなった?


ここからが気になるところである。

旧県企業庁は、ずっと幕張新都心を管理し続ける組織ではなかった。

土地造成整備事業の収束に向けて、

道路。
ごみ処理施設。
共同溝。

こうした都市基盤施設を、それぞれの管理者へ引き継ぐ作業が進められた。

2013年に旧県企業庁が公表した清算取組方針にも、幕張新都心地区について、

「公共施設の引継ぎについては、千葉市等との合意に基づき、必要な工事等を行った上で、清算期間中に引継ぎを行う」

と書かれている。

そして現在、千葉市は実際に、

「幕張新都心共同溝保守・管理業務委託」

を発注している。

2026年度の千葉市公報にも、同名の保守・管理業務が複数掲載されている。

つまり、少なくとも幕張新都心の共同溝の一部は、現在、千葉市が管理している。

ここで注意したいのは、

地下にある設備を、すべて千葉市が負担するわけではないこと。

共同溝とは、

・ 電線
・ 電話線
・ ガス管
・ 上下水道

などのライフラインをまとめて収容する地下施設である。

共同溝という「地下の箱・通路」と、その中を通る電力・通信・ガスなどの設備では、管理主体が同じとは限らない。

電力会社や通信事業者が負担する部分もある。

国や県の補助が入る場合もある。

したがって、

「海浜幕張の地下設備は、壊れたら全部千葉市民の税金で直す」

とまでは言えない。

ただし、千葉市が管理する共同溝について、市が現在も保守・管理費を支出していることは確認できる。

そして将来、

点検。
修繕。
付帯設備の交換。
共同溝本体の大規模更新。
災害時の復旧。

などが必要になれば、市側にも費用が発生する可能性がある。

県企業庁にとっては、街の価値を作るための投資。

千葉市へ引き継がれた後は、維持し続けなければならない公共資産になる。

つまり、県企業庁が幕張新都心のために造った共同溝を、造った後は千葉市が維持管理している。

ここで疑問が残る。

幕張新都心という一地区のために、市民全体が維持管理費を負担するのだろうか?🤣

■ 防災性が高いなら、それでいい?


電線地中化には、もちろんメリットもある。

国土交通省は、

・ 電柱倒壊による道路寸断の防止
・ ライフラインの信頼性・安全性向上
・ 歩行空間の確保
・ 景観向上

などを挙げている。

実際、過去の大地震では、地中線の方が架空線より被害率が低かったとするデータもある。

だから、

「地中化は災害に弱い」

と単純に言うことはできない。

でも、ここでも一つ気になる。

地震で電柱が倒れて道路を塞ぐという。

けど、

👉 街路樹はどうやねん🤣

街路樹。
信号機。
標識。
看板。
建物の外壁やガラス。

電柱を地下化しても、災害時に道路を塞ぐ可能性のあるものが、すべて消えるわけではない。

もちろん、だから電柱を残していい、という話ではない。

電柱には、

・ 倒壊
・ 電線の垂れ下がり
・ 感電
・ 通信障害
・ 復旧作業への支障

といった固有の危険がある。

ただ、防災効果を理由に高額な設備を導入するなら、

「電柱が倒れなくなりました」

だけではなく、

👉 道路閉塞全体をどこまで減らせるのか。

👉 その効果に対して費用はいくらか。

👉 電柱の耐震化や重要道路だけの地中化より合理的なのか。

まで比較する必要がある。

地中化は被災しにくい一方、地下にあるため、異常箇所の確認や復旧に時間を要する場合もある。

共同溝やマンホール、排水・換気などの付帯設備も、永久に使えるわけではない。

海浜幕張は埋立地でもある。

だから見るべきなのは、

「災害に強いか、弱いか」

の二択ではない。

👉 被災する確率。

👉 被災したときの損失。

👉 日常の維持費。

👉 将来の更新費。

そこまで含めたライフサイクル全体である。

■ 税収が増えたなら問題ない


ここで一度、話を戻したい。

共同溝の維持に千葉市のお金が使われる。

だから不公平だ。

そう単純に決めつけることもできない。

海浜幕張には、

住宅。
オフィスビル。
商業施設。
ホテル。
大規模事業所。

などが集積している。

千葉市には、

・ 固定資産税
・ 都市計画税
・ 個人市民税
・ 法人市民税
・ 事業所税

などが入る。

高額な不動産を購入できる所得層が住めば、個人市民税の税源になる。

企業や大型施設が立地すれば、法人市民税、事業所税、建物や償却資産の固定資産税などにつながる。

この追加税収が、共同溝を含む高規格インフラの維持・更新費を十分に上回るのであれば、計画として問題はない。

海浜幕張から得た税収を、

他地区の道路。
学校。
福祉。
子育て支援。

などへ回せるなら、市全体にも利益が返る。

むしろ、

県が先行して高規格な街を造り、

千葉市が後から大きな税源を得た、

という見方もできる。

だから重要なのは、

海浜幕張のために市税が使われるかどうかではない。

👉 海浜幕張から市全体へ、どれだけの利益が還元されているか。

である。

■ 経済効果と市の税収は違う


ただし、ここには落とし穴もある。

海浜幕張の経済効果が大きいことと、

千葉市の税収が同じだけ増えることは、別である。

幕張新都心では現在、日々約23万人が活動しているとされる。

企業も集まり、イベントも開かれ、多くの消費が生まれている。

でも、

海浜幕張で働く人が市外に住んでいれば、その人の住民税は原則として居住地の自治体へ入る。

企業の利益から生まれる税金も、すべて千葉市へ入るわけではない。

消費税も、幕張で使われた分がそのまま千葉市へ入る仕組みではない。

県税や国税になるものもある。

つまり、

「海浜幕張は年間○○億円の経済効果があります!」

と言われても、

「そのうち千葉市の財布へ、実際にいくら入ったの?」

は別に確認しなければならない。

さらに知りたいのは、海浜幕張から得た市税の総額だけではない。

電線を地中化しなくても、

駅がある。
東京に近い。
幕張メッセがある。
広い土地がある。

企業や高層マンションは、ある程度集まった可能性がある。

だから本当に比較すべきなのは、

👉 地中化によって追加で増えた市税。

👉 地中化によって追加で発生した維持・更新費。

この二つである。

地中化した海浜幕張から得た税収を全部、地中化の成果として数えることはできない。

■ 千葉市は説明材料を持っている?


ここが、今回一番気になったところである。

海浜幕張の電線地中化が得だったのか。

損だったのか。

現時点では分からない。

でも、それ自体は問題ではない。

問題は、

👉 千葉市が、それを説明するための材料を持っているのか。

である。

例えば、

・ 海浜幕張地区から得ている市税の概算
・ 地区内で必要になる通常の行政サービス費
・ 共同溝の年間保守・管理費
・ 過去の修繕履歴と費用
・ 共同溝や付帯設備の更新時期
・ 将来更新費の概算
・ 県から市への引継ぎ条件
・ 国、県、電力会社、通信会社との負担割合

こうした資料があれば、市は説明できる。

「海浜幕張から年間これだけの市税収入があります。」

「通常の行政費と特殊インフラの維持・更新費を差し引いても、市全体の財政へこれだけ貢献しています。」

ここまで示せれば、

災害時に共同溝の修理へ市税を使うことになっても、他地区の市民に説明しやすい。

でも、もし、

👉 地区別の税収は把握していない。

👉 将来更新費も試算していない。

👉 引継ぎ時の長期負担も分からない。

となれば、話は変わる。

地中化が得か損か以前に、

👉 将来負担を引き受けたのに、その合理性を説明する材料がない

ことになる。

もちろん、市内の公共施設を地区ごとの独立採算にする必要はない。

他地区の学校や道路も、その地区の住民だけで負担しているわけではない。

ただし海浜幕張の場合は、

県企業庁が高規格な街を計画した。

県側が土地を分譲・貸付した。

その後、

共同溝などの公共施設が管理者へ引き継がれた。

という経緯がある。

だからこそ、

👉 県が整備した特殊なインフラを、なぜ市が長期的に維持するのか。

👉 その負担を上回る利益が、市全体へ返っているのか。

を説明できる材料が必要になる。

■ 最後に


海浜幕張の電線地中化が、失敗だったと言いたいわけではない。

高規格な街によって企業や高所得住民を呼び込み、追加費用を上回る税収を生んだのであれば、合理的な投資である。

防災性。
歩行安全。
ライフラインの信頼性。

数字にしにくい公共的な便益もある。

ただし、

未来型の街が完成した。
企業が集まった。
人口が増えた。
街並みが綺麗になった。

そこで計画の評価を終えてはいけない。

街は、完成した後も残る。

共同溝も残る。
維持費もかかる。
壊れれば修理が必要になる。
いつかは更新時期も来る。

そのとき、市民が聞くのは、

「綺麗な街ですね」

ではない。

👉 誰が決めた?

👉 誰が利益を得た?

👉 誰が今まで払ってきた?

👉 なぜ、俺たちの税金を使う?

👉 海浜幕張から得た税収で、本当に賄えているの?

となる。

その質問に数字で答えられるなら、問題はない。

でも、答える材料そのものがなければ、

計画の成功は、街が完成した時点で止まっている。

平時は景観の話。

でも、

👉 請求書が来た瞬間、分配の話になる🤣

そして、この構造は海浜幕張だけの話ではない。

俺たちの身の回りにも、同じ構造が存在する。

例えば、

公共施設。
マンションの共用設備。
会社の新システム。
家庭の高額な買い物。

導入時には「みんなの利益」として語られていたものが、請求書が届いた瞬間、

「誰が得をして、誰が払うのか」

という分配の問題を表面化させる🤣

請求書が問題を生んだわけではない。

最初から存在していた負担のズレが、請求書によって見えるようになっただけなのかもしれない。

次回は、そこをもう少し広げて考えてみたい。

■ 参考資料


千葉県「幕張新都心について」
千葉県「幕張新都心とは」
千葉県企業庁「造成土地整理事業及び土地造成整備事業の清算取組方針」
千葉市「幕張新都心地下トンネル探検」共同溝の説明
千葉市公報・調達情報
国土交通省「無電柱化とは?」
国土交通省「東日本大震災・阪神・淡路大震災時のライフラインへの被害状況」


▼ 第二弾はこちら

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