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【管理職3】基準/ 判断をわたす

前回記事はこちら。この続きとして書いています。


課長として部下育成や組織運営に向き合っていると、経験だけでは越えられない壁に何度もぶつかる。
第一回、第二回で書いたように、私は英語会議や教育会議で「任せてみる」ことを始めた。だが、正直うまくいった実感はすぐにはなかった。


任せた瞬間、部下の手が止まる。資料を前に黙り込み、こちらを見る。

「無理です。」
やらせると決めた以上、引くわけにはいかない。「何かあればサポートする。失敗したって構わない。」
まずは心理的安全性を担保する。だが、次の一言に私ははっとした。

「私がやる場合、どこまで自分の判断で伝えていいんですか?」
部下が迷っているのは能力の問題だけではなかった。判断基準を渡していなかったのは、私だった。

「確かにもっともだ。ここまではOKだが、そこから先はまだ伝えない。」
OK/NGの基準を言葉にする。どこまで任せるのか。何がOKで何がNGか。それらを言語化せず、「任せたつもり」になっていた。


さらに気づいたことがある。やったことのない仕事を突然任されて、すぐに自走できるはずがない。止まるのは当然だ。私はどこかでこう思っていた。「最悪、自分が手を出して片付ければいい。」

部下が詰まればすぐ助ける。危なそうなら先回りして修正する。ミスが起きる前に手を出す。そのほうが早いし、安心だ。
だが、それでは部下は学ばない。“本気で考えなくても回る環境”を、私自身が作っていたからだ。


私はやり方を少し変えた。いきなり全部ではなく、まずは小さく任せる。うまくいったら、次はもう少し任せる。最初から完璧を求めずに委ね、側で見守る。手を出したい気持ちを、ぐっとこらえる。覚悟を決める。

そして意識的に封印した言葉がある。
「私ならこうする。」

代わりに、
「君ならどう考える?」
と問い返す。

答えが拙くてもいい。迷ってもいい。ただ、自分で考える時間を奪わない。任せるとは、放置ではない。支えると決めて、見守ることだ。そして、簡単には手を出さない覚悟を持つことだ。

その日の会議を私がまとめれば、確実に早く終わる。だが、それではまた次も私がやることになる。私が目指したいのは、その日を乗り切ることではない。部下が迷いながらも、自分で決められるようになること。

時間はかかる。遠回りにも見える。それでもいい。それが任せることだ。


次の記事はこちらです。



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