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【管理職2】任せる / 実務からの解放

まだ読んでない方はこちらもお願いします。
この続きという形で書いています。


課長になって数ヶ月。今日もオフィスに残るのは私だけ。静まり返った部屋にパソコン画面だけが光る。


英語の会議が増えてきた。部下は終始黙り、私は相手の発言を聞きながら、次に何を説明すればいいか考える。部下の様子も気にかけたいが、私の語学力にも限界がある。しかし、それでは部下は成長しない。このままではダメだ。


私は、一つだけ小さな発言を任せることにした。
「次はここだけは説明お願いできる?」
事前にカンペを作って持参してもよい。思い返せば、私自身も新人の頃はそうやって英語の会議に臨んだ。そんな話をしながら、部下に一つだけ小さな挑戦を与えた。


部下は緊張した面持ちで会議室に座っていた。私は黙って隣の席に座る。

用意した説明を読み上げた後、相手から質問を受けて固まる。聞き取れず助けを求める表情でこちらを見る。当然だが、まだリスニングは難しい。
「今日はよく頑張った。あとは任せろ。」
その気持ちを目で伝えながら私は回答を始める。
そして質疑応答に慣れさせるには、どうしたら良いか、また思考を始める。


次は思い切って、英語の司会進行を任せてみた。「最後は何とかする。まずはやってみてくれ。」

持参したカンペには想定質問とその回答案の下書きが見えた。会議中は顔を真っ赤にしながらも、相手の言葉を聞き漏らさないよう集中する部下の姿がそこにあった。
いきなり完璧にこなすのは難しい。
しかし、ただ傍観するだけの部下はもうそこにはいなかった。継続は力なり。この部下の語学力はその後、数ヶ月でかなり伸びた。


英語の会議以外でも任せてみたくなった。
ある日、上層部から社内周知事項の資料が下りてきた。内容をメンバーへ周知する責任は課長にあるが、私は上層部からのメールを部下にただ転送し、会議招集、司会、課内メンバーへの説明、全てを突然丸投げしてみた。当日、私は「参加者の一人」として席に座るだけ。


最初は手を出したくて仕方なかった。
「私ならこうする」と思ってもぐっと我慢する。

会議前、部下が資料を前に迷う姿が目に入る。どこをどうやって説明すればよいのか。一瞬の停滞が生まれる。それでも部下は考え、自分で説明方法を選ぶ。小さな決断の瞬間だが、これが判断基準を身につける訓練になる。


部下が自走する瞬間が増えてきた。会議の進行、説明、議論、すべてを自分で考え、工夫して進められるようになった。

私が手を動かせば一日で回った。
しかしそれでは部下は学べない。
課長としての仕事は、成果を出すことでも、手を動かすことでもない。「任せて育てること」――これが、今の自分の一番大切な役割だった。
小さな一歩を見届けた夜だった。


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