【管理職1】役割 / 課長になって、役割を見失った
正直、課長になってから、会社で何をすればいいのかわからなくなった。
昇格した日は少し誇らしかった。やる気もあった。しかし、すぐに感覚が狂い始めた。
係長の頃は楽しかった。自分が一番速く、正確で、難しい案件を任される。知識、経験を積み上げた私にはどんな案件でも実務者としての”正解”がわかる。成果が評価で返ってくる。毎日達成感があった。
今は違う。
一日が終わっても、「今日は何を成し遂げたのか」が曖昧だ。
メールを返し、会議に出て、承認をして、火消しをする。
気づけば部下は全員帰宅。私にも家族がいる。幼い我が子が誕生したばかり。仕事は減らない。だが帰らなければならない。やり切った手応えがないまま、一日が終わる。
「実務をやるな。手を動かさないで、頭を動かせ。」
言われたときは反発した。できるのに、なぜやってはいけないのか。
昇格後、係長ポジションの補充はなかった。
私は課長でありながら、実務も持ったままだ。幸い、部下たちはみな優秀だ。しかし経験不足は否めない。任せたい。だが、任せきれない。
英語での会議もあるが、話せない部下が多い。
その時は私がメインスピーカーになる。
「Any update from Japan side?」
一瞬、沈黙が流れる。横を見ると、部下は案の定固まっている。その姿を見た瞬間、私はマイクに向かう。自分が入れば会議はスムーズに終わる。
だがそのたびに、部下の“経験値”は増えていない。
会議後、部下は言う。
「いつもすみません。」
私は笑って返す。
「大丈夫、少しずつでいい。」
だが部下が帰って、静まり返ったオフィスで、
一人議事録をまとめながら、ふと思う。
本当に“少しずつ”でいいのか。
自分がやった方が速い。でも、自分がやる限り、
彼らは一生メインスピーカーになれない。
部下は会議を傍観し、会議後に私が内容を整理して指示を出す。そして次の会議でもたぶん私がメインスピーカーだろう。
気づけば、プレイヤーの延長のまま、肩書きだけが変わっていた。私は何をする人間なのか。その答えが、わからなかった。
だが最近、理解した。課長の仕事は、成果を出すことではない。手を動かすことでもない。
私が実務をやれば、その日は回る。だが、来月も同じことが起きる。
もし
・昇格したのに何も変わらない
・実務に忙殺されている
・部下が育つ前に自分が疲れている
なら、それは能力不足ではない。
役割が変わったことに気づいていないだけ。
次回は、この続きです。リンクは下記。
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