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藤井聡太さんに学ぶ判断力|迷わない人は「通る一手」を選んでいる【才能インストールシリーズ/判断力編】

前回は、優先順位力について話しました。

優先順位力とは、
やることリストを並べる力ではありません。

目的に一番効く順番を見抜く力。
最小労力で最大成果が出るレバレッジポイントを見つける力です。

では、目的に効く場所が見えたら、
次に必要になる力は何でしょうか。

それが今回のテーマである、
判断力です。

判断力というと、
多くの人は「迷わず決める力」だと思いがちです。

すぐ決める。
はっきり決める。
大胆に決める。
直感で決める。

もちろん、決める速さが必要な場面もあります。

でも、本当の判断力は、
ただ早く決める力ではありません。

判断力とは、
目的を見て、状況を見て、相手のゴールを見て、
複数の選択肢の中から、今もっとも通る一手を選ぶ力です。

今回のモデルは、藤井聡太さんです。

藤井聡太さんのすごさは、
ただ将棋が強いというだけではありません。

盤面を観察し、
相手の狙いを読み、
いくつもの可能性を想像し、
その中から勝ち筋に近い一手を選ぶ。

その姿から見えるのは、
判断力とは単独で存在する能力ではないということです。

観察力で、盤面を見る。
想像力で、相手の狙いや未来の展開を読む。
創造力で、今まで見えていなかった手を生み出す。
優先順位力で、どの一手が一番効くのかを見抜く。

そして最後に、
今もっとも通る一手を選ぶ。

これが判断力です。

今回のビッグアイデアは、これです。

判断力とは、早く決める力ではなく、観察・想像・創造・優先順位を統合して、目的に一番通る一手を選ぶ力である。


判断力は、最後に出てくる能力である

ここまで、いくつかの能力を扱ってきました。

観察力では、
相手の言葉や行動、現場の違和感から、
相手視点の価値観を知る力を扱いました。

想像力では、
相手がどんなフィルターで世界を見ているのかを読む力を扱いました。

創造力では、
既存の素材を組み合わせ、新しい打ち手を作る力を扱いました。

優先順位力では、
増えた打ち手の中から、目的に一番効くレバレッジポイントを見抜く力を扱いました。

では、これらを使って何をするのか。

最後に必要になるのが、
判断です。

どれだけ観察しても、
どれだけ想像しても、
どれだけアイデアを出しても、
どれだけ優先順位を考えても、
最後に一手を選べなければ現実は動きません。

つまり、判断力とは、
すべての材料を集めたあとに出てくる力です。

ただの思いつきではありません。

集めた情報。
読んだ因果。
作った選択肢。
見抜いたレバレッジポイント。

それらを統合して、
今、何を選ぶのかを決める。

これが判断力です。


判断力がない人は、選択肢の多さで止まる

判断力が弱い人は、
情報が足りないから迷うとは限りません。

むしろ、情報が多すぎて迷うことがあります。

選択肢が多い。
可能性が多い。
どれも正しそうに見える。
どれも間違っていないように見える。

だから決められない。

でも、これは意志が弱いからではありません。

判断基準が見えていないのです。

判断に必要なのは、
選択肢の数ではありません。

何を基準に選ぶのかです。

目的は何か。
相手は何を求めているのか。
どこが詰まりなのか。
どの一手なら通るのか。
どれを選べば、次の展開が楽になるのか。

ここが見えてくると、
選択肢は自然に削られていきます。

判断力とは、
たくさんある選択肢の中から、
目的に合わないものを削っていく力でもあります。


藤井聡太さんの判断力は「通る一手」を選ぶ力

将棋では、一手ごとに無数の選択肢があります。

駒を動かす。
攻める。
守る。
相手の手を受ける。
数手先の展開を読む。

一見すると、強い棋士はすべてを読んでいるように見えます。

でも、普通の人が真似するべきなのは、
「何十手先まで読む」という部分ではありません。

真似するべきなのは、
判断の構造です。

藤井聡太さんの判断力から学べるのは、
目の前の選択肢をただ並べるのではなく、
盤面全体を見て、相手の狙いを読み、
自分の目的にもっとも近づく一手を選ぶことです。

これは仕事でも同じです。

ただ目の前の作業を片づけるのではない。
ただ言われたことをやるのでもない。
ただ思いついた案を出すのでもない。

今の状況で、
どの一手が一番通るのか。

相手に受け入れられ、
目的に近づき、
次の展開につながる一手は何か。

そこを見る。

これが判断力です。


判断力を構成する4つのパーツ

判断力を分解すると、主に4つのパーツがあります。

1. 目的を見る力

まず必要なのは、目的を見る力です。

何のために判断するのか。
どこに向かっているのか。
最終的に何を達成したいのか。

ここが見えていないと、判断はできません。

目的がない判断は、
その場の気分で選ぶことになります。

楽な方を選ぶ。
怒られない方を選ぶ。
目立つ方を選ぶ。
安心できる方を選ぶ。
今すぐ気持ちいい方を選ぶ。

これでは、目的に近づくとは限りません。

判断力の最初にあるのは、
「どれが正しいか」ではありません。

どの目的に向かって選ぶのかです。

目的があるから、選べる。

目的があるから、捨てられる。

目的があるから、今もっとも通る一手が見えてくるのです。

2. 相手のゴールを見る力

次に必要なのは、相手のゴールを見る力です。

判断は、自分の都合だけでは通りません。

仕事でも、営業でも、交渉でも、教育でも、
相手には相手のゴールがあります。

相手は何を守りたいのか。
何を避けたいのか。
何を得たいのか。
何に不安を感じているのか。
何を大事にしているのか。

ここを見ずに判断すると、
自分にとっては正しい案でも、相手には通りません。

ここで必要になるのが、観察力と想像力です。

観察力で、相手の言葉や行動を見る。
想像力で、相手がどんなフィルターで世界を見ているのかを読む。

つまり、判断力には、
相手視点が必要です。

自分の中では良い案でも、
相手の世界では通らないことがあります。

だから判断力がある人は、
「自分が正しいと思うか」だけで決めません。

相手のゴールから見ても通るかを見ます。

3. ボトルネックを見る力

3つ目は、ボトルネックを見る力です。

ボトルネックとは、
全体の流れを止めている詰まりのことです。

仕事が進まない。
売上が伸びない。
現場が動かない。
相手が納得しない。
改善案が通らない。

こういうとき、表面だけを見ていると、
やることがたくさんあるように見えます。

でも、本当に見るべきなのは、
どこが詰まっているのかです。

そこを変えなければ、
どれだけ頑張っても全体は動きません。

前回の優先順位力で話した、
レバレッジポイントにも近い考え方です。

どこを変えれば、一番大きく動くのか。
どこを押さえれば、他の問題も楽になるのか。
どこが止まっているから、全体が進まないのか。

ここを見る。

判断力とは、
選択肢を眺める力ではありません。

詰まりを見抜き、そこに効く一手を選ぶ力です。

4. 選択肢を削る力

最後は、選択肢を削る力です。

創造力によって、アイデアは増えます。

あれもできる。
これもできる。
この方法もある。
別のやり方もある。

でも、全部はできません。

全部をやろうとすると、力が分散します。

だから、判断力には削る力が必要です。

目的に合わないものを削る。
相手のゴールに合わないものを削る。
レバレッジが低いものを削る。
今やらなくていいものを削る。

残すのは、今もっとも通る一手です。

判断力とは、
選択肢を増やす力ではありません。

選択肢を増やした後に、
目的に通る一手まで削り込む力です。


陶器配送の改善に見る「通る一手」

ここで、仕事の実例で考えてみます。

ある陶器製品を扱う荷主企業の配送で、
商品をバラ積みして運ぶ仕事がありました。

陶器は割れやすい。
積み込みにも気を使う。
ドライバーの技量にも左右される。
破損すればクレームになる。
作業負担も大きい。

さらに、難しい仕事になるほど、
担当できるドライバーが限られていきます。

すると、特定の人に負担が偏る。
入れ替えがしにくい。
配車効率も悪くなる。
運送会社側としても利益が出にくくなる。

ここで単純に考えると、
「ドライバーにもっと注意してもらう」
「積み方を工夫する」
「経験者に任せる」

という話になりがちです。

でも、それでは構造は変わりません。

ここで必要になるのが、判断力です。

まず、観察力で現場を見る。

何が大変なのか。
どこにリスクがあるのか。
どの作業が負担になっているのか。
誰に負荷が偏っているのか。

次に、想像力で相手のフィルターを見る。

荷主は、破損やクレームを避けたい。
運送会社は、赤字を避けたい。
ドライバーは、過度な負担を避けたい。
現場は、作業を安定させたい。

それぞれのゴールが違います。

だから、一方だけが得をする案では通りません。

次に、創造力で打ち手を作る。

バラ積みのまま頑張るのではなく、
パレット輸送に変えられないか。

荷姿そのものを変えることで、
作業負担を下げ、破損リスクを下げ、
ドライバーの属人化も減らせるのではないか。

そして、優先順位力でレバレッジポイントを見る。

本当に変えるべきなのは、
ドライバーの頑張りではない。

積み方でもない。

荷姿と運用の構造です。

そこが変われば、
破損リスク、作業負担、配車効率、属人化、運賃交渉までつながって動きます。

最後に、判断する。

荷主にも通る。
運送会社にも通る。
ドライバーにも通る。
現場にも通る。

その一手として、
パレット化を提案する。

これが判断力です。

ただ思いついた案を出したのではありません。

観察し、想像し、創造し、優先順位を見抜いたうえで、
もっとも通る一手を選んだのです。


判断力とは、相手に通る形まで見る力

判断力がある人は、
自分の正しさだけで押し切りません。

なぜなら、正しいだけでは通らないことを知っているからです。

どれだけ良い案でも、
相手の不安を無視していれば通りません。

どれだけ合理的でも、
現場が動けない形なら通りません。

どれだけ利益が出ても、
誰かに負担を押し付けるだけなら続きません。

判断力とは、
自分の中で正解を出す力ではありません。

相手の世界でも通る形にする力です。

藤井聡太さんの一手が、
自分の都合だけではなく、相手の手まで読んだうえで選ばれるように、
仕事の判断も、自分の都合だけでは決まりません。

相手がどう見るか。
相手が何を恐れるか。
相手がどこで納得するか。
相手にとってもメリットがあるか。

ここまで見て、初めて判断になります。


判断力がある人は、迷わないのではなく、迷う場所が違う

判断力がある人は、
まったく迷わないわけではありません。

むしろ、最初はかなり考えます。

目的は何か。
相手のゴールは何か。
どこがボトルネックか。
どの選択肢が通るか。
どれを捨てるべきか。

そこでは迷います。

でも、判断基準が見えた後は、
余計なところで迷いません。

なぜなら、目的に合わない選択肢は削れるからです。

相手に通らない案も削れる。
レバレッジが低い案も削れる。
今やる必要がない案も削れる。

だから、最後に一手が残る。

これが、迷わない人の正体です。

迷っていないのではありません。

迷うべきところで迷い、最後に削り切っているのです。


判断力は、問題解決力の手前にある

判断力は、単独で終わる能力ではありません。

この後に続くのが、問題解決力です。

問題を解決するには、
現象を見る必要があります。

だから観察力が必要です。

見えていない因果を読む必要があります。

だから想像力が必要です。

新しい打ち手を作る必要があります。

だから創造力が必要です。

どこから手をつけるかを決める必要があります。

だから優先順位力が必要です。

そして、最後に、今もっとも通る一手を選ぶ必要があります。

だから判断力が必要です。

つまり、問題解決力とは、
判断力の先にある統合スキルです。

判断力までつながったとき、
ようやく問題を構造で解く準備が整います。


まとめ

判断力とは、
早く決める力ではありません。

観察力で、相手視点の価値観を知る。
想像力で、相手のフィルターから世界を見る。
創造力で、新しい打ち手を作る。
優先順位力で、レバレッジポイントを見抜く。

そのうえで、
目的に向かって今もっとも通る一手を選ぶ。

これが判断力です。

藤井聡太さんの判断力から学べるのは、
ただ直感で決めることではありません。

盤面を見て、
相手の狙いを読み、
可能性を想像し、
勝ち筋に近い一手を選ぶことです。

仕事でも同じです。

自分の正しさだけではなく、
相手のゴールを見る。

現場の詰まりを見る。

打ち手を作る。

レバレッジポイントを見抜く。

そして、今もっとも通る一手を選ぶ。

判断力とは、
自分の中だけで正解を出す力ではありません。

相手の世界でも通る一手を選ぶ力です。

それが、今回インストールする才能です。


次回予告

次回は、習慣化力です。

判断力で「今もっとも通る一手」を選んでも、
その行動が毎回止まってしまえば、成果にはつながりません。

大事なのは、毎回気合いを入れることではありません。

判断しなくても始まるように、
行動の入口を固定することです。

習慣化力とは、
毎日がんばる力ではありません。

判断しなくても動ける構造を作る力です。

次回は、習慣化力を
「才能」としてインストールしていきます。

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