「良い人」の条件
vol.320
1万2000人の人員削減など構造改革に区切りをつけたパナソニックホールディングス。
そんな同社が今、会社全体で意識づけしているのが、“原点回帰”です。
〈産経新聞 / 2026年7月9日〉
つまり、創業者である松下幸之助さんの経営哲学に立ち返ろうとしているわけです。
松下さんの様々な書籍を読んでいると必ず出てるくるのが
「会社が何のために存在しているのか?」
という問い。
つまり、志が大切であるということです。
では、松下電器の志とは何なのか?
それは、
「事業を通じて人々の暮らしを良くし、社会の発展に貢献すること」
です。
「会社は社会の公器」
これは、会社は株主や経営者だけの所有物ではなく、社会から人財・資金・資源を預かり、その成果を社会へ還元する責任を負う存在だという考え方です。
経営判断を行う際に、利益だけでなく従業員・取引先・地域社会など多様な利害関係者への影響を考慮しなければならないことを訴えていらっしゃいます。
水道哲学
こちらは、松下幸之助さんが真の使命とした貧乏の克服についての言葉です。
産経新聞の記事は、その考えをこのようにまとめています。
水道の栓をひねって水を盗み飲んだとしても、水そのものをとったとして誰もとがめだてはしない。それは価格があまりに安いからで、なぜ安いかというと豊富にあるからだ。ここに産業人の真の使命がある。すべての物資を水のように無尽蔵にし、水道の水のように価格を安くすることで、貧乏は克服できると説いた。
「たとえ、水を盗んだとしても、誰もとがめたりしない」という部分が、松下哲学の非常に重要なポイントだと思います。
なぜなら、松下さんは人間は弱い生き物だと思っていたからです。
そのことを感じさせるのが、『社員稼業』という一冊。
若い社員向けに行った講話などをまとめた本で、後に名言として切り出された言葉の背景をご本人の話を通して理解することができる本です。
その中に、松下さんの志の源泉を感じることができる部分があります。
それは、戦争の体験です。
飢えは人を人でなくしてしまう。
そうした光景を幾度も見るにつれて、松下さんは人の弱さを痛感されます。
もちろん、根っからの良い人・悪い人もいるのでしょうが、大抵の人は状況で決まる。
物質に恵まれることで心にゆとりが生まれれば、人は善い行いをし、その逆だと悪さを働いてしまうでしょう。
先程の
「たとえ、水を盗んだとしても、誰もとがめたりしない」
という水道哲学の話も、まさに「人は弱い生き物である」ことを前提にした考え。
だからこそ、松下さんは「事業を通じて人々の暮らしを良くし、社会の発展に貢献する」という志を抱き、仕事を通して世の中を豊かにしようとしたのです。
その想いの大きさが結果として会社を大きくした。
よく「良いことをしたら、後からお金がついてくる」という言葉を耳にしますが、まさにそのことを成し遂げたのが松下電器だったのです。
そして、松下さんが
「人間の幸福は、物心両面の豊かさによって維持され向上が続けられる。精神的な安定と、物資の供給が相まって、初めて人生の幸福が安定する」
と両面を一体にすることにこだわったことも、そうしたエピソードから非常に理解できますね😊
ちなみに、松下さんは自分のためだけの志ではなく、「世の為、人の為」の志だったからこそ、様々な苦難を乗り越えられたとも語っていらっしゃいます。
実際、脳科学や認知心理学の研究では、自分が利益を得る「利己的動機」よりも、他者に利益がもたらされる「利他的動機づけ」の方が、個人の自己コントロール能力や認知能力を高く引き出せることが示されている。
「情けは人の為ならず」
と言いますが、まさにその通りですね。
さらに、松下さんは
「松下電器は人をつくる会社です。あわせて電気製品もつくっています」
と語っていらっしゃいましたが、社員に物心両面の豊かさを与え、物心両面の豊かさを世の中に届けられる人を育ててきました。
パナソニックがこうした原点に立ち返り、松下さんが想い描いた世の中を今一度つくっていくことができるのか?
そして、世の中の経営者がこうした松下哲学に触れ、改めて世の中に“良い人”を増やすことができるのか?
そんなところに期待しながら、私自身も世の為、人の為の経営を実践していきたいと思います😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
