『ジークアクス』を観ながら「ドストエフスキー『罪と罰』を読んだ側の人」になってわかったこと。
ついに読みました。
世の中には二種類の人間がいる。『カラマーゾフの兄弟』を読破したことのある人と、読破したことのない人だ。
『カラマーゾフの兄弟』ではありませんが、同じ作者ドストエフスキーの『罪と罰』を読みました。
歴史的な名作文学であることは誰もが知っているけれど、「なんか重そう」「作者の名前からして重苦しい」「ロシアと言われても……」「上下巻!?」みたいな感じで、ほとんどの人が読んだことがないであろう『罪と罰』。
ついに読めたことで、なんか「こっち側に来た」って感じがします。しかも、普通に楽しかった。
そこで今回は、なぜ今『罪と罰』を読もうと思ったのか、読んでわかったこと、ようやく読むことができた理由なんかを紹介したいと思います。
ちなみにネタバレはしませんのでご安心(?)ください。
筆者プロフィール:照沼健太
編集者・ライター・YouTuber。テレビ東京やNetflixのメディア運営、レディオヘッドら数々のアーティストのCD封入解説文、HIKAKIN、米津玄師、押井守、藤本タツキなどのクリエイターや多くのビジネスパーソンの取材を担当。2023年末からはYouTubeチャンネル「てけしゅん音楽情報」を運営(2025年2月末時点でチャンネル登録者数約5万人)。
時代は『罪と罰』の19世紀に逆行している?

なぜ今、ドストエフスキーの『罪と罰』を読もうと思ったのか。
その理由を単刀直入に言えば「ふと読もうと思ったから」という直感なのですが、そこにはいくつかの伏線があった気がします。
『罪と罰』とは
『罪と罰』は、ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーが1866年に発表した長編小説で、20世紀以降の文学、心理学、哲学など多くの分野に影響を与えた、世界的名作のひとつとされています。
1866年に発表された小説で、舞台は19世紀ロシア。
これだけで「うわー、自分とは関係ない!」って感じがするのですが、本当にそうでしょうか?
2025年、世界情勢におけるロシアの存在感は高まり続けています。さらにSNSによって時代は20世紀以前に逆行し、デジタル近代〜中世化していると言われています。
いま行なわれているのは「20世紀の再定義」であり「近代の再発見」ではないかという気がします。

19世紀に発表され、20世紀に大きな影響を与えたドストエフスキー『罪と罰』は、そんな時代にフィットする作品と言えるのではないでしょうか。
さらにあらすじに注目してみましょう。
物語は、貧しい青年ラスコーリニコフが「一部の人間には犯罪すら許される」という独自の思想にとらわれ、高利貸しの老婆を殺害するところから始まります(長編小説なので、実際は事件が起こるまでも結構長いのですが)。
これだけで格差社会、少子高齢化、闇バイトが渦巻く現代とシンクロしますよね。
ドストエフスキー『罪と罰』を読んでたら、『機動戦士ガンダム』終盤のアムロとララァとシャアの会話がほとんどそのまま出てきて「なるほど!💡」と思いました。
— 照沼健太(てけ) (@TeKe0824) June 13, 2025
調べてみたら、富野監督は手塚治虫経由で『罪と罰』に出会っていたそう。 pic.twitter.com/r3RjqTgPpr
しかも、『ジークアクス』経由で再ブームが起こっている初代『機動戦士ガンダム』との、思わぬシンクロ発見も。
無意識に今読むべきだと直感が働いた気がします。
そして、ポイントはそれだけではありません。
反動による名作回帰。2025年「スピード感」のギアが変わった

近年、名作映画のリバイバル上映が盛り上がっているのをご存知でしょうか?
コロナ禍を経た「劇場体験」の再発見・再評価、そしてハリウッドのストライキなど、さまざまな理由が挙げられますが、そこにはもう一つ「古典・名作回帰」の流れがあるのではないかと思います。
近代の産業革命以降、時代のスピード感は加速する一方ですが、ここ数年はそのギアが明らかに変わっています。
アルゴリズムが主導するSNSやショート動画、YouTube、SpotifyやApple Musicによって、流行の賞味期限は数日間まで短縮。「これは今年を代表する名作だ!」と騒がれた新作音楽も、来週にはほとんど誰も話題にしていないのが2025年です。
さらに、そこに生成AIが加わってきた。今週「このAIサービスが最強!時代が変わった!」と大騒ぎになっても、翌週にはそれを上回るサービスが出て、仕事の仕方すらどんどん変わっていきます。
毎週、産業革命。これが2025年です。
そんな時代において最もコストパフォーマンスが高いのは、当然「原理原則の学習」と「最新情報へのキャッチアップ」の並行です。
それはコンテンツ消費にも当てはまります。
すぐに忘れ去られる有象無象の新作に必死に追いつくよりも、多くの人たちとずっと共有できる名作体験の方が、コスパ/タイパともに優れています(※僕がこれを推奨しているわけではないことにご注意を)。
そう考えると、毎週のように話題を更新し続ける最新作と同時に、名作殿堂入り『機動戦士ガンダム』や『逆襲のシャア』に触れられる『ジークアクス』が、いかに2025年的な作品であるかがよくわかりますね。
ちょっと話が逸れた気もしますし、僕がコスパ/タイパを意識して『罪と罰』を手に取ったかというとそれは違うのですが、無意識に働いたことは否定できません。
先ほどの近代再発見、そして原理原則の学習への欲求が高まり、「今こそ名作を手に取りたい」「まずは宿題になっていた『罪と罰』を」と考えた可能性は十分にあるはずです。
名作を読むハードルが"最高"に低くなっている。

さて、僕が『罪と罰』を今読んだ最も直接的な理由は、Audibleです。
Audibleについてはこちらの記事でも書きましたが、とにかくラク。
僕は主にスポーツジムで運動をしながら聴くことが多いのですが、ワークアウトしながら耳で読書すれば、同じ1時間が2時間の価値になります。
これ、とんでもなくお得ですよね。
しかも、腰を据えて本を開く必要なく、Apple MusicとかSpotifyみたいな感覚でホーム画面で見つけた本を「とりあえず聴いてみるか」と再生できる。
このハードルの低さが、初めて僕を『罪と罰』に向かわせました。
↑Audible会員になれば無料で読めます/聴けます。
気が向いたら文字の書籍で読んだり、またAudibleに戻ったりも自由自在(もちろん作品によってはその分お金もかかりますが)。
これは重厚長大な名作だけじゃなく、「ちょっと気になるけど、買うまでもないかな」っていうビジネス書なんかにも有効。Audibleはビジネス書にも結構力を入れている印象なので、ちょっと前に話題になった本が揃っていたりします。
それとこれは文字の書籍で読んだ本ですが『NEXUS』も早速Audible版が配信されていました。
超おもしろい本ですが、上下巻なので、Audibleで聴くのもいいと思います。
今度おすすめのAudibleラインナップを紹介する記事も書いてみようかなと思いますので、ぜひお楽しみに。
(照沼健太)
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