【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 12 季節の訪れ 1000字
[HL:秋と冬の区切りはどこにあるのだろう]
「気が乗らないなら別に……」
「そんなことはない、んだけど。でも大岳、忙しくない?」
「そのくらいの時間の余裕は作れる」
俺は自分の仕事を全部管理しているから時間に縛られない。好きな時に起きて仕事して寝ているから、クリスマスに仕事を入れなければいいだけだ。パーティしてから仕事に戻ったって何の問題もない。
「それも奏汰さんが言ったから? ……その、奏汰さんが勝手にケーキも注文しちゃってて」
「奏汰? 奏汰はパーティしないのかって言ってただけだよ。ピザとローストチキンは俺の思い付きだ。宅配になるが」
パーティといって思いついたケーキ以外のもの。他には、プレゼントか。
「その。本当に嫌じゃないなら」
夜道は嬉しそうに見えた。おそらく。
「仕事終わるの何時?」
「えと、ちょっと調整が必要だけど、21時位には上がれると思う」
「そうか。じゃあ到着するころに届くように注文しよう」
頭の中で仕事の配分を組み立てる。そのくらいの余裕は十分に作れるはずだ。幸い夜道と違って季節に縛られる仕事でもない。季節、か。
この部屋にはテレビもない。空調も完璧で、一年を通して一定の湿度と温度が保たれる。俺が外に出ることはほとんどない。たまに用があって実家に帰るときか、奏汰の言葉で夜道と外を歩くときくらいだ。その時に漸く、いつのまにか春が過ぎ、夏が訪れ、秋が去り、冬が現じているのに気が付く。
「夜道、冬だな」
「そうだね?」
「雪が降っている」
「え? 本当?」
夜道が振り返って、建物外を映すモニタを眺めた。玄関前に白い影が舞い落ちるのが見えた。
「積もるかもしれないから、早く帰った方がいい」
そう言うと夜道は少し悲しそうな顔をして、ケーキの箱を片づけ始める。
「俺がやるよ。それより傘持ってる?」
「持ってきてないなぁ。ここの人に借りてくよ」
この建物は俺が所属する会社の本社ビルで、たくさんの人間が働いている。案内に聞けば傘くらい貸してくれる。
「いや、送っていこう」
「え、なんで?」
不思議そうに俺を見る瞳に、事実を答える。
「丁度仕事に区切りがついてるから」
「そう? ありがとう」
クロゼットの奥に1年前にしまい込まれたっきりのコートに久しぶりに腕を通し、案内で傘を2本借り、雪の積もり始めた外は酷く寒かった。吐く息が白い。そして小さな雪だるまが2つ、社屋を出た所に気が早く設えられていた。
「わ、雪だるま。昔みんなで一緒に作ったよね」
to be Continued….

こっちの神津版は11月30日のスノードームの翌日のはずだが時系列がずれてるな。辻切版では今日の更新分の12/15くらいの想定に初雪が降った。でも神津は山に近いから初雪は速いのかもしれない。どうも気象がずれると気持ち悪いな。
★次の話
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#雪だるま
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。
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これは今回の舞台の公園通りの方ではなく、学園特区の方にある本屋さんで、逆城町の質屋の親戚です。
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