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【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 序 900字

[HL:序。クリスマスは知らない間に始まっている]

 クリスマスっぽいものないかな。そう思って手に取った。
「あれ、これって」
「何、どしたの夜道よみちゃん」
「これ見てくださいよ」
 ADの草薙くさなぎさんの帰り際の言葉に目の前の段箱から取り出したものは、ぱっと見は何の変哲もないスノードーム。私がパーソナリティを勤めるFM神津こうづのクリスマスキャンペーン用に、去年使った飾りを探して倉庫を引っ搔き回していたところ。クリスマスに向けて公開スタジオに飾るのだ。
「何か変?」
 さかさまにして、なんだかやけに多い雪を天空に寄せれば細長い建物と張り付くような神津こうづの街並みが底面に現れた。
「ほら、やっぱりスカイタワーです」
「わ、随分精巧だね。特注なのかな」
 スタジオはタワー2階のデッキにあって、スノードームの中でも光の加減で淡く明かりが灯っているようにみえた。他の街並みにもぽつぽつと。みんな遅くまで頑張っているな?
 けれどもとの水平面に戻してみると大量の雪が舞い降りて、スカイタワーの中層階以上、つまりドームのほとんどは埋もれてしまう。
「雪、多くない?」
「そうですねぇ。どうします? これデッキに飾っときます? あんまり映えないけど」
「うーん、夜道ちゃんの気分次第で!」
 私の気分次第かぁ。まあせっかく発掘したわけだし、とりあえず置いておこうか。他にいいのがあれば誰かが飾るだろう。そう思って外から見える窓際に置いてみたけれど、全てはやっぱり雪に埋もれてしまってちっとも映えない。ううむと唸って、仕方がないから段箱から拾い上げた小さなツリーやトナカイ、ソリを隣に配置してみると、ようやくクリスマスっぽくなってくる。残念ながらサンタは見つからなかったけれどさ、きっとそのうち誰かが発掘するだろう。今は丁度日曜深夜の放送休止帯で総出でバタついてたけど、気づけば私が最後になっていた。
「よし、今日の仕事はここまで」
 そう思って大きく伸びをすると夜はすっかり更けて街は寝静まっていた。5時の放送開始に合わせて朝番の人がくるまではFM神津も週に一度の短いお休みで、だから私はスタジオの電気をパチリと消したわけだけれど、同時に雪に埋もれたドームの中のスタジオの電気も消えたことにはこの時はさすがに気づいていなかったわけ。

to be Continued…

★次の話

#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#スノードーム
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。

足元の猫はニャームーといいます。

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夜道ちゃんがパーソナリティしてる夜散歩のお話。

★この短編連作の目次

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