【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 1 もみの木の下 1000字
[HL:クリスマスって言ったって、ずっとキラキラしてるわけじゃない]
そんなわけで薄手のトレンチを着こんで外に出たらすッごい寒かった。それはまぁ当然で、時刻は午前3時を過ぎている。スカイタワーはその名の通りの天にそびえる28階建。ビル風が激しいんだ。
はぁ。
タワーの前には1本の大きなもみの木が生えている。今はまだ夜のすき間でひっそりと静かに立ってるだけだけど、12月に入ると少しずつディスプレイされて、最終日のクリスマスにはそりゃぁもうキラキラに輝いて、この広場でいろんなイベントが催されて、まさにMerry Xmas! って感じ。
クリスマスは嫌いじゃない。そう、嫌いじゃないの。たくさんの小さなライトで飾り立てられる並木道もだんだん華やかになっていくウィンドウも好き。けど輝けば輝くほど、何故だか遠くなっていく。去年もそうだったんだけどさ、みんなで盛り上がっている途中で自分だけドロップアウトしていく感じがして、最後にはなんだか冷めてしまうんだ。それはきっと。
「夜道ちゃん、今帰り?」
ふと目を上げれば、もみの木の下で奏汰さんが手を振っていた。奏汰さんは幼馴染だ。
「お疲れ様。まさか出待ちじゃないでしょうね?」
「そんなわけないじゃん。オペが長引いちゃってさ。それに今日ラジオの日って言ってたから寄ってみた」
それはきっと嘘じゃない。けど肩をすくめる奏汰さんはきっと、わざわざ来てくれて、それでライトが消える待でまってくれていたんだろう。私がパーソナリティの日に遅く鳴ればスカイタワーの前を通ってくれる。
「今日はそのままお帰りですか?」
「そうしたいんだけどさ、明日の朝イチでまたオペ」
「売れっ子は大変ですねぇ」
だから私は自販機から落下したホットの黒豆茶を奏汰さんに押し付ける。
「珈琲のほうが好きなんだけどな。俺、カフェイン全然効かないんだぜ?」
「知ってますよう。けど奢られる人は黙ってもらってください」
プルタブがプシュリと音を立てた。
「クリスマスはヒロさんといちゃつくんですか?」
どうせ。
「そ。そのために今仕事詰めて徳を積んでんの」
「いいですねぇ」
「……夜道ちゃんは大岳とデートしないの?」
その言葉にちくりと胸が痛んだ。好きだ。好きだけど、そんなことを言ったって、私たちの関係はどうしようもない。だから私は平静を装う。
「そんな予定はないですねぇ。デートする関係でもないですし」
大岳はいとこで、えっと、いつも仕事をしてる。祝日とか関係なくね。
「ふぅん。俺さ、これから大岳の研究室で仮眠するから、何か伝えとく?」
「変な気を回さないでください、もう」
to be Continued….
★次の話
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#もみの木
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。


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ハロウィンの奏汰さんと夜道ちゃんのぐだぐだしたお話。
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