【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 2 子どものころのクリスマス 1000字
[HL:小さいころのままの関係でいられればよかったのかな]
「そう? 昔は一緒にクリスマスしてたじゃん。だからそのノリで気楽にさ」
「そうですねぇ」
私の両親は世界を飛び回り、2人ともに日本にいないときはいとこの大岳の家で生活してた。むしろ物心ついて3分の2はそうで、今も私の部屋が大岳の実家に残ってる。奏汰さんちの久我山家と大岳の桜川家は家ぐるみの付き合いで、だから奏汰さんもいつも大岳の家に入り浸っていて、たいていは3人で遊んでた。
クリスマスはリビングでパーティして、チキンとケーキを食べて、ツリーの所に靴下を並べてサンタさんを待つんだ。時々は奏汰さんが返り討ちにするとか騒いでたけど大岳はマイペースですぐに寝てしまうから結局なし崩しでソファとか絨毯で寝てしまって、気が付いたら部屋で朝。ああ、なんだか懐かしいなぁ。
「じゃ、久しぶりにやりますか? クリスマス会」
「あ、俺はヒロと過ごすからパス」
「やっぱり。お熱いことで」
そんな風にみんな大人になって、その結果バラバラになって、一緒にクリスマスを過ごすこともなくなって。
いつから一緒に過ごさなくなったんだろ。きっとサンタの実在性に疑いを持った頃からだ。3人で一緒にサンタを待つ意味を失って、リビングでパーティをした後はそこに残る理由も見当たらずに部屋に引きこもって朝を待つ。その変化がいいことなのか、時々わからなくなる。
「夜道ちゃんは大岳にプレゼントあげるの?」
「去年と同じ、キナーティの高級チョコ詰め合わせです。喜んでくれますよ」
大岳は甘いものが好きだから。それでいつも、お礼は何がいい? って聞くんだ。その時間が最近、たまらなく嫌だ。ただの価値の交換みたいな気がして。大岳にとって私は、ただの大切な家族。それはそれでかけがえのない関係。
「夜道ちゃんってアレだよねぇ。もっと単純に考えればいいのに。リビングで一緒に寝て靴下吊るそうって言ったら、二つ返事でOKしてくれる、んじゃないかな」
それはきっとその通り。本当に何の衒いもなくOKしてくれるだろう。仕事の時間を削ってでも。けどそうしてしまえば私はきっと、罪悪感で倒れそうだ。
「奏汰さんは単純化しすぎ」
「やっぱり? 俺はヒロが生きててくれればそれでハッピー。いちゃつければ最高」
そんな二元論に生きてる奏汰さんは少し羨ましくはあるけれど、普通はそう単純に割り切れるものじゃない。
to be Continued….
★次の話
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#プレゼントを入れる靴下
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。
★似た系列の話
同じ神津区の恋愛の話。
#小説 #短編小説 #ショートショート #私の作品紹介 #創作大賞2026 #恋愛小説部門
