【短編小説(短編連作)】辻切区のどこか奇妙なXmas 19 やっぱり歳末感謝祭だ 1000字
[HL:名前が違えばところもかわる]
「お前らはクリスマスパーティとやらをやりたいんだろ?」
「う、うん。そうだね」
「バックヤードで小さくやれ」
ぽかんと口を開ける智樹に、説明するのが酷く億劫になった。どう考えてもこれから俺が話すことは拗れきって聞こえることは目に見えている。
「目的は、25日に宴会をする際に、何の問題もなく終わること」
智樹の瞳が若干泳ぎだす。
「うん、まあそれはそう。あと、讃美歌」
「問題を切り分けるんだ。バックヤードと店で世界を分ける」
「え、そんな大事? あ、ごめん」
軽く睨めばますます目は泳ぐ。
「中途半端な区分けをするから、扉は用をなさなくなる。心当たりがあるだろう。俺も何度も呼び出されたくはないんでね」
「う」
誰でも入れられる態様で有象無象を集め、人を限定せず宴会を開く。誰なら入れて、誰なら入れない。結界にはその厳密性が必要だ。脇の甘い智樹が定めれば、穴の開いたザルも変わらない。
バックヤードへ至る扉は一つ。その入口にいくつか呪い石を置き、印をつけ、小さなものの住処を奥に限定し、それ以外の思念を店側に追い払う。それを確認して、システムを編む。
「智樹が認識するクリスマスパーティが終了するまで、智樹及びこの店の人間……ではなく従業員以外のこの扉の出入りを禁ず」
「おうぼうだー」
「あそびたいー」
とたんに扉の奥でざわめきが膨れ上がる。
「うるせぇ。年賀に何か持って来るから」
「あの、環?」
「クリスマスパーティはここでやる。従業員とお前の持ち込んだプレゼント以外は配らない。いいな」
「う、うん、わかった」
そうして魑魅魍魎が跋扈しているように見える店側を眺める。
「で、こっちでやるのは歳末感謝祭だ」
「歳末……?」
「そう。クリスマスでもなんでもなく、バックヤードでやるパーティとは完全に無関係の、祭事だ」
「クリスマスではなく……?」
智樹の視線がツリーに及ぶ。どうみてもクリスマス、だな。
「植物はいつもリースしてるだろ」
「まぁ」
「今月はモミで、歳末だからただ飾り付けをしているだけだ。あのベルは年末年始の鳴り物」
吾郷が俺を見る残念そうな視線に居たたまれなくなってきた。
「とにかく店内のものは決して受け取るな。余ったら全てゴミ袋にいれて処分するんだ。お前らが裏でパーティやる前に。そうすれば2つの祭事は、時的場的意味的に、全て無関係になる。店でやるのは歳末感謝祭だ。いいな」
智樹は神妙に頷き、吾郷は目をそらした。
「バックヤードで讃美歌は聞こえるだろうが、クリスマスなんだから気にするな」
「え?」
to be Continued
うちは現ファもハイファも魔法使いが何人かいるんですが、魔法の表れの理屈が人によって違くて、たまちゃんは時空をオブラートをはぎ取るみたいに層にして剥離する魔法を使います。違い極小なパラレルワールドを作るという説明が一番近いかもしれない。本文では説明面倒くさくて「世界」とかいたけど、いつもは「位相」という言葉を使う。位相差が小さければ普通に気が付かず踏み越えるけれど、5つくらい隔たれば色々なものが狂って迷えば戻ってこれなくなる。環はこれが神隠しの原理と考えている。それを扱う道具として言葉とか石とか楔で空間を固定して目印にしている。
使いようによっては効果も大きいんだけれど、使いようによっては世界の連続の切断が必要だったりとか、使い勝手が結構悪い地味な魔法。
★次の話

#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#ベル🔔(オーナメント)
おじゃましますー。なるべく毎日、智ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。
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場所関係ない奴だけど辻切感があるような。
