【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 8 花言葉を気にするのもめんどう 1000字
[HL:にゃーむーは私の友達]
ノルゲンを出れば天気はなんだか曇っていた。日本の冬は清々しく晴れることが多いのに、曇ってしまうと急に空の灰色が地面の影と繋がって世界の湿度は増し、足元から冷たさを感じてしまう。きっとそれも気のせいだけど、私のぱっとしない気持ちが重なっているんだろう。
少しだけクリスマスじみた街並みを見渡して、目に留まった店頭のリースに溜息を吐いた。クリスマスリース。どっちみち、来週にもスタジオにも飾られるから気にしても仕方がない。でもこの赤い実のついたセイヨウヒイラギの花言葉は「神を信じる」、「将来の見通し」、それから……「家族の幸せ」。
家族、かぁ。
どっちかっていうと昔から家族だよね、奏汰さんも大岳も。けど、花言葉と私たちの事情を無理に繋げる必要はない。だいたい普段は花言葉なんてちっとも信じてないじゃない。ただラジオとか情報誌な仕事から、流行とかイベントに絡む花言葉をたまたま知っているだけで、ちっとも特別じゃないんだ。
そう思いつつ商店街を抜けて信号を渡り、だらだら進めばバイト先の探偵事務所にたどり着く。それなりに年季の入った鉄骨造3階建て、所長の自宅も兼ねた小さな建物のノブは、なんの抵抗も示さずクルリと回って押し開けられる。ってことは中に所長がいるはず。そうそう、世の中はこんな風に、なんだって簡単に行くべきで、考え過ぎたって意味がない。
「おはようございます~」
全然昼過ぎだけどね。
「ああ、出かけるから後はよろしく」
そう呟いて所長は待ち構えていたように颯爽とトレンチを羽織る。
私のバイト体系はざっくりしていて、所長に留守番が必要な日は予め打診があってその時間に出勤するけれど、例えば今日みたいにふらっとやってきて留守番とかお使いがある時はその時間分時給が出て、全然仕事がないときはバイト代とかはでない。けどここで執筆とか好きなことしてても全然いい、感じ。
「は~い。お帰りは?」
「そうだなぁ、夜になるから帰るときは戸締りしていてくれれば」
「了解しました~」
私もここの鍵は持っているから、帰りたいときに帰ってもいい。私が施錠したら時間とともにその通知が所長のスマホに届くから、その時間までの時給が支払われるってわけ。時給はそんなに高くはないけれど、自由な感じでお金が少し増えていくのは悪くない。
さて、最初の仕事をしなくっちゃ。そう思ってケーキを冷蔵庫にしまって戸棚から猫餌をとりだせば、ニャームーが待ち構えていたように足元にすり寄って来る。
to be Continued….
★次の話


西野木の事務所は公園通りの少し先にあります~。そういや西野木の話は全然持ってきてないなあ。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#ひいらぎ
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。
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これは神津のわりと雑なホラー。
#小説 #短編小説 #ショートショート #私の作品紹介 #創作大賞2026 #恋愛小説部門
