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【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 20 アイリスのオムライス 1000字

[HL:お昼を食べたらクリスマス本番]

 タウン情報のSNS用に写真を撮りながら神津北公園通りを巡りつつ、最後に訪れたのはカフェ・アイリス。昭和から取り残されたような古い喫茶店の大きなドアを押し開ければ、芳わしいコーヒーの香りが漂ってくる。 見渡してもノルゲンと違ってドアにリースとカウンターに小さなツリー程度。
「こんにちは、春崎さん」
 四半世紀を超えて営業をしているマスターの笹川さんはいかにも平常運転という様子で、すでに赤白緑なクリスマスに疲れはじめていた私は漸く一息ついた。
「こんにちは。本日のランチでお願いします」
 ここでお昼ご飯を食べて午後からはイベントだ。カウンターの上の小さな黒板にはランチはオムライスと書かれている。フライドチキンや竜田揚げですらないところがほほえましい。
「スカイタワーは大変そうですね」
「この後は例年通りイベントです。今年は私もサンタさんの格好するんですよう」
 笹川さんはふむ、と首を傾げる。
「この通りにはあまり客引きの方はいないのですが、いつも寒そうなんですよね。お風邪をめされないようお気を付けください」
「大丈夫です。イベント用の薄い奴じゃなくて、それっぽくみえる普通服ですから!」
 さすがに量販店で売っているぺらぺらのは安っぽすぎるわけで。
「店内の写真を撮ってタウン情報のSNSにUPしてもいいですか?」
「それはかまいませんが……うちはお客様にいつも通り過ごしていただきたいので最低限なのです」
「そこがまたいいんですよ」

 といいつつ見渡せば本当にいつも通りで、クリスマス特集でUPするには少々心もとないと漸く気付くうちに、湯気の立つ美味しそうなオムライスがカウンター越しに運ばれる。
「ランチとこのツリーで撮らせてください。あれ?」
 ランチのセットにコーヒーゼリーが付いていた。
「サービスです。そうですね、クリスマス感……」
 笹川さんはツリーから赤いリボンのオーナメントを取り、コーヒーゼリーの皿の細い足に巻き付ける。するとなんだか、特別感が増した。
「これでいかがでしょうか」
「ばっちりです」
 そう思いつつ、やっぱりオムライスの赤、コーヒーゼリーの白にツリーの緑に収まるんだなぁと思って少しだけげんなりする。
「クリスマスだからと特別を用意するのが億劫になりまして。この年になりますと何かしなくても毎日が特別に思えるものです」
 毎日が、特別。本当はわざわざ時間を作って一緒に過ごせること自体が特別で、それ自体が既に奇跡かもしれない。

to be Continued

正直オーナメントテーマ困ってる。

★次の話

#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#赤いリボン(オーナメント)
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。話は続けるつもりなんだけど、ちょっと健康上の不安がでてきた。

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これは映画を元ネタにした変なノリの話。

#小説 #短編小説 #ショートショート #私の作品紹介

#創作大賞2026 #恋愛小説部門

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