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【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 4 滑稽ではない願い 1000字

[HL:俺が俺であるように彼は彼である]

 俺にできることは何かないのかなぁ。大岳と夜道ちゃんを見てるといつもそう思ってる。俺は運命の相手に出会えたから、きっと余計そう思えるんだ。だから大岳と夜道ちゃんも幸せになれればいいのにと思うけど、長い付き合いからそれがそう簡単な話でもないことも知っている。
 大岳には恋愛感情が、ない。
 そう思いながらラボの入口にカードキーを掲げて入れば事務スペースには誰もいない。奥に進んで左手側の研究室にいた白衣の大岳が振り返るからスピーカーをオンにする。
「やぁ、起きててよかった。ちょっとベッド借りるよ。明日も早いからさ」
「俺はさっき起きた所だ」
 完全に隔離された研究室との会話はスピーカーを通すから、少し余所余所しい。
「ココア淹れる?」
「頼む」
 コートとジャケットをクロゼットに引っ掛けて、勝手知ったるキッチンの戸棚を開け、ポットでお湯を沸かしてプラカップを1つ取り出して少し濃いめに入れるココア。俺はこんな甘ったるいものの何が美味いのかさっぱりわからないけど、その湯気の暖かさならわかる。
 そうしてシャワーブースで体を洗ってストッカーのパジャマに着替えて、着てたシャツとスラックスを俺用に置いてあるランドリーボックスに放り投げる。まあつまり俺はそのくらい、ここに入り浸ってるってこと。それが許されるのは、幼馴染ってだけでなく、仕事でも関係してるからだ。

「大岳、この前の培養皮膚の治験、上手く定着してそうだよ」
「そうか」
 一息入れに研究室から出てきてすっかり冷めたココアを手にした大岳の答えはそっけない。大岳は今、生体組織の開発をしていて、外科医の俺はその治験をすすめている。
 大岳は昔から全く変わらない。この部屋は研究室とその他のスペースに完全に分かれている。大岳は無菌の研究室に暮らし、クリーンルームを通ってたまに人の生活圏に出てくる。変わったのは外に出た俺の方だ。
「……クリスマスは予定ある?」
「クリスマス? 特にはないな」
「やっぱりね」
「何か?」
 ほら、こうだ。大岳は暦を無視してずっと一人で研究しているから、一般常識が欠けている。
「俺は結局トナカイにしかなれないんだな。物事を動かす当事者にはなれないんだなって気分」
 大岳は不可解そうに俺を見つめた。トナカイはサンタにかわいがられていてもただ荷物を運ぶだけで、プレゼントに触ることもできやしない。どんなに近くにいてもサンタがそのプレゼントが幸福に届けることを願うだけだ。

to be Continued….

★次の話


#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#トナカイ
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。

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奏汰さんがたまに講義してる神津大の奏汰さん関係ないホラーな話。

#小説 #短編小説 #ショートショート #私の作品紹介 #創作大賞2026 #恋愛小説部門


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