【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 5 昔の思い出 1000字
[HL:今と昔の俺と大岳の違い]
「奏汰、さっきから何の話だ」
困惑した声に気づかれないほどのため息が漏れる。
「ここまで夜道ちゃんを送って来たんだよ。それでクリスマスどうするのかって話になって」
「夜道は今年もラジオの仕事だろ」
「そうみたいだね。でも一日中ってわけじゃない」
大岳の瞳の温度は何も変わらない。夜道ちゃんが挫けかけてるのもわからなくもない温度差。向かい合って座っているからこそわかる瞳の不動。小さいころのように手を伸ばして髪を引っ張っても嫌がりもしない。ハグしたって何も思わないだろう。俺が夜道ちゃんでも同じことだ。小さいころと同じように、大岳の中でその意味は変化しなかった。
発展性がない。
一度、大岳が恋愛として夜道ちゃんを振ればいいんじゃないかと思ったこともある。そうすれば夜道ちゃんは大岳と友達だか家族だかの関係を始められるかもしれない。けど大岳には根本的に恋愛がわからないから、振る意味が解らない。わからないまま振れるほど不誠実でもない。だからずっと八方ふさがりだ。
「昔さ、小さいころ大岳の家でクリスマスパーティやってたじゃん」
「そうだな」
大岳が懐かしそうに目を細める。
「大岳んちのツリーでかかったじゃん。みんなで飾り付けて、てっぺんの大きな星だけ誰がつけるかいつも取り合いになってさ」
「ああ、覚えてる。お前の背が急に伸びてお前の一人勝ちになった。それで夜道が拗ねて一緒に飾るのをやめたんだ」
あれ。そうだっけな。俺のせい?
けど大岳は少し残念そうにココアに目を落としていた。
「またクリスマスパーティやればいいじゃん、夜道ちゃんに星を譲って」
「夜道が嫌がるだろ」
大岳がやりたいって言えば大喜びすると思うけどな。多分。
「もしやりたいって言ったら?」
「お前はいないんだろ? だから昔通りにはならないさ」
「まぁ、そうだね」
「だいたい何で突然そんなことを言う。もうパーティする年でもないだろ」
大岳の少し面倒そうな表情に、ああ、そういう解釈なんだと思う。
「俺は大岳も夜道ちゃんも大好きなんだよ。だからさぁ」
二人の関係性を変える手伝いができればいいなとは思う。トナカイとしては。そうだな。大岳の好きなものはわかりやすい。
「美味いケーキを用意してやるから夜道ちゃんと食べて。俺は昔から甘いのは駄目だからさ。でも俺明日朝早いからもう寝るわ。おやすみ」
「ああ、おやすみ」
不可解そうなその声は、とりあえず気にしないことにした。
to be Continued….
★次の話

#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#もみの木のてっぺんの星
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。
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とりあえず神津区の話を上から順に載せてみよう。雑なホラーです。
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