TikTok×Spotifyから読み解く ―見る指数の違いから学ぶ日本のボイグル
推しグルの順位
音楽好きな皆さんに、ひとつ問いを投げかけてみたいと思います。
「あなたの推しグループは、何位だと思いますか?」
この問いに答えるためには、何で測るかを決めないといけません。
CDセールス、ストリーミング再生数、ライブ動員、SNSフォロワー、検索数、メディア露出。指標は山のようにあって、選ぶ指標によって答えは全く違うものになるのです。
今回はその中から、現代のボイグルを語るうえで欠かせない2つの指標、TikTokフォロワー数とSpotify月間リスナー数を取り上げて、私が追っているボイグル35組の上位を比較してみました。
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面白いのが、TikTokフォロワー数とSpotify月間リスナー数、このたった2つのランキングを見比べただけでも同じ35組を見ているはずなのに、ほとんど別物のように思えます。
2つの指標が、それぞれ映いるしてもの
ランキングを並べる前に、この2つの指標が何を捉えているのかを整理してみたいと思います。
TikTokフォロワー数は、グループそのものに対するSNS上の継続的な関心の量を映しているのだと思います。動画コンテンツ、エンタメ性、メンバーの個性、海外を含めた話題性が積み上がる場所のようです。動画は国境を越えやすく、海外ファンベースを持つグループほど数字が伸びる傾向にありそうです。
Spotify月間リスナー数は、楽曲そのものがどれだけ聴かれているかを映しているのでしょう。CDを買う熱心なファンだけでなく、ふとした瞬間にプレイリストで流れてくる楽曲に出会う一般リスナーも含まれています。グローバルな配信プラットフォームなので、こちらも国内外のリスナーが合算されているようです。

つまり、TikTokは「グループのファンベース」、Spotifyは「楽曲のリスナーベース」を映しているように感じます。重なる部分はあるけれど、捉えている側面は別物なのかもしれません。
TikTok TOP10とSpotify TOP10
それぞれの最新ランキングはこのようになっています。

並べてみると、明らかに別の景色が見えてきます。
TikTokで1位のONE N' ONLYはSpotifyでは圏外、Spotifyで1位のM!LKはTikTokでは7位。同じグループのはずなのに、見る指標が変わると立ち位置がこんなにも変わるのです。
両方TOP10入り ―6組の総合力型
35組のうち、TikTokとSpotifyの両方でTOP10に入っているのは6組でした。

この6組は、楽曲のリスナー獲得力もSNSのファンベースも兼ね備えた総合力型と言えるでしょう。でも面白いのは、6組の中でもどちらが強いかという特徴がはっきり分かれることです。
楽曲先行型(SpotifyがTikTokより上)は、M!LKとBE:FIRSTの2組です。
M!LKは「好きすぎて滅!」「イイじゃん」「爆裂愛してる」と、TikTokでバズった楽曲そのものが大きな魅力を持っているグループのようです。バズりだけで終わらず、音楽そのものに耳に残るフレーズや口ずさみたくなる中毒性があり、楽曲が愛されてSpotifyにも数字が出ているのだと感じます。BE:FIRSTは「Bye-Good-Bye」「夢中」と、楽曲のクオリティと表現力でリスナーを掴んできたグループです。
SNS発信型(TikTokがSpotifyより上)は、Snow ManとSixTONESの2組。
Snow Manは「Tapestry」「ブラザービート」「カリスマックス」など、ライブパフォーマンスやMVで圧倒的な世界観を見せる代表曲が多く、9人の個性とエンタメ性がSNSでの拡散力に繋がっているように思います。SixTONESは「一秒」「こっから」「Imitation Rain」と、洗練されたビジュアルとサウンドで唯一無二の路線を歩んでいるグループ。SNSでのファンとの距離感の作り方が独特で、動画コンテンツやメンバー個々の発信が強いのが特徴です。
ほぼ均衡型は&TEAMとKing & Princeの2組です。
&TEAMはTikTok2位・Spotify3位、King & PrinceはTikTok5位・Spotify4位と、どちらも両指標でほぼ同じ位置にいます。
&TEAMはグローバル設計された楽曲と完成度の高いMVで、SNSで広がりつつもSpotifyでも継続的に聴かれているのが特徴的です。海外ファンも国内ファンも両方を惹きつけるバランス感があります。
King & Princeは「Theater」が最近大きな話題になり、TikTokでも楽曲を使った動画が広がっています。楽曲そのものの強さとファンの熱量が両指標で均等に表れているように感じます。
片方だけTOP10入り ―異なる強みの形
両方ではなく、片方だけTOP10に入っているグループも8組あります。これらは「総合力では一歩譲るけれど、別の角度では確実に強い」グループだと思います。
▼TikTokのみTOP10(4組)
ONE N' ONLY(TikTok 1位 / Spotify圏外) スターダスト・EBiDAN出身。彼らがTikTokでバズった起点は、2020年にブラジルで流行していた楽曲を踊った動画でした。海外のヒット曲を踊ったことで南米のアルゴリズムに乗り、爆発的にファンを増やしていったのです。海外ファンは「ONE N' ONLYというグループそのもの・ダンス・キャラクター」が好きで、必ずしもオリジナル楽曲を聴き込むという行動に繋がっていない可能性があります。これは彼らの戦略の独自性と表裏一体で、悪いことではないのだと思います。
PSYCHIC FEVER(TikTok 4位 / Spotify圏外) LDH所属。タイを中心としたアジア展開で爆発的にフォロワーを伸ばしたグループです。LDH系のグループはライブパフォーマンスやMVの世界観など、視覚的な魅力でファンを掴むスタイルが多いように感じます。耳で聴くというより、目で楽しみたいグループとも言えそうです。
なにわ男子(TikTok 6位 / Spotify圏外) STARTO系。バラエティやテレビ番組での発信力が圧倒的で、SNS上での話題性は抜群。一方で配信展開を控えるSTARTO系の制約もあって、Spotifyでの数字が表に出にくい構造になっているのでしょう。
BALLISTIK BOYZ(TikTok 7位 / Spotify圏外) LDH所属。EXILE TRIBE内でもパフォーマンス系のグループで、PSYCHIC FEVERと同じく「目で楽しむ」魅力が中心の印象です。動画コンテンツでファンを掴むタイプかもしれません。
▼SpotifyのみTOP10(4組)
Da-iCE(Spotify 5位 / TikTok圏外) 「I wonder」が2024年から続く驚異的なロングヒット。数多くの楽曲が長期にわたって聴かれ続ける、ロングヒット型の典型例だと感じます。
Number_i(Spotify 7位 / TikTok圏外) TOBE所属の3人組。「GOAT」「BON」「INZM」「BAGGY」といったヒップホップ寄りの強い楽曲群でリスナーを掴むタイプ。楽曲の中毒性で勝負しているグループのように見えます。
モナキ(Spotify 9位) 2026年4月にメジャーデビューした新しいグループ。デビュー曲「ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど」がTikTokで爆発的にバズり、SNS総再生回数7億回越え。楽曲そのものを聴きたくなったリスナーがSpotifyに流れる、という美しい流れができているように思います。
timelesz(Spotify 10位) 2025年に新メンバーを加えて再始動。話題性もあるグループで、新体制での楽曲はジャンルが幅広く、配信で着実にリスナーを獲得しているようです。
楽曲が愛されるということ
ここまで見てきて、ひとつの仮説が浮かびます。それは「アーティストそのものが好き=TikTok / 楽曲が好き=Spotify」という見方です。
ONE N' ONLYの海外ファンは、ONE N' ONLYというグループの存在そのもの、ダンスや人柄が好きで、TikTokで動画を観ることが推し活の中心になっているのかもしれません。またLDHは抜群のダンススキル、テクニックなど何度も目で見たくなる構図があります。
それは音楽はもちろんですが、それ以外のきっかけ(顔・ダンススキル・ドラマや映画など)でさらに好きになることもあって、その場合は必ずしもSpotifyで楽曲だけを繰り返し聴くわけではない、という構図です。
一方でM!LKやモナキ、BE:FIRSTのようなグループは、楽曲そのものが愛されているからSpotifyにも数字が出るのだと思います。M!LKもモナキもどちらもTikTokでバズったグループですが、ただのバズリで終わらず、音楽そのものに口ずさみたくなるフレーズや耳に残るメロディがあるのです。だからリスナーがSpotifyで「もう一度聴きたい」「フルで聴きたい」となって、繰り返し再生される構造ができているのではないでしょうか。
これは優劣の話ではなく、その入り口や愛され方の違いがあるだけで、どちらも素晴らしいことです。
見る指数で景色は変わる、だからみんな凄い
TikTokのランキングだけ見れば、ONE N' ONLYや&TEAMが圧倒的に見えます。Spotifyのランキングだけ見れば、M!LKが圧倒的に見えます。同じ35組を見ているのに、見る指標が違うと別の世界が広がっているのです。

これはどちらが正しいランキングかという話ではありません。TikTokはファンベースの規模を、Spotifyは楽曲のリスナーベースを映していて、それぞれが違う角度からグループの強さを照らし出しているだけです。
冒頭で「あなたの推しグループは、何位だと思いますか?」と問いかけました。その答えは、みんな1位だと思うのです。
今回どちらのランキングにも入っていなくても、急上昇ランキング、ロングセールスランキング、注目度ランキング、ライブ動員ランキング、ファンサ最高ランキング、イケメンランキング・・・指標を変えれば、必ずあなたの推しが輝く場所があります。
何より「自分の愛情指数ランキング」では、あなたの推しは圧倒的な1位で、それが一番大きなランキングではないのでしょうか。

私がいつも大事にしているのは、「見る指数によって凄さが変わる。どちらもすごいのは確か」という考え方です。優劣ではなく、角度の違い。それぞれのグループが、自分たちの強みのある場所で確実に存在感を放っています。だからみんな凄い。だから推しが、世界一なのです。
両指標でTOP3入り、唯一の存在
最後にひとつ、データの中から見つけた事実を共有させてください。
TikTokのTOP3は、ONE N' ONLY、&TEAM、Snow Manの3組。
SpotifyのTOP3は、M!LK、BE:FIRST、&TEAMの3組。
この6つの枠の中で、両方に名前があるのは&TEAMだけでした。35組の中で、TikTok・Spotifyの両指標でTOP3入りしているのは&TEAM 1組のみ、ということになります。
なぜ&TEAMだけがこの位置にいられるのでしょう。
データと背景を掘り下げてみるとうまい戦略と面白い発見がありました。
これはまた近いうちにお伝えできればと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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