サロン楽屋話022:『クロ現』が伝えた光と影。大谷翔平が魅せる「怒らないこと」の能力&魅力とは?
▶大谷翔平がマークした自己最速。カギは「フォーム」にあり?
NHK『クローズアップ現代』、ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
トミー・ジョン手術を受けて復帰したあとの大谷翔平は、投手として自己最速の時速約102マイル(約164キロ)をマークしたと伝えます。
ストレートの回転数は1分間あたり平均2418回転。
(テニスでいうスライス系だから)落ちずに打者の手元で伸びるような軌道(手術前に比べて3.3センチ上昇)をたどるため、打者にとっては脅威になると言います。
この進化のカギが、「フォームにある」と番組は伝えるのです。
▶肩の角度が進化の理由?
筑波大学体育系の川上卓教授が今期の投球フォームを解析してみると、右腕を後ろに引いたテイクバック時に、右肩下がりの角度が深くなっていることを指摘。
なるほど、それによりフォワードスイングにかけて傾きを戻すシーソーのようなダイナミックモーションになるというわけですね。
スタジオゲストの元メジャーリーガー、斎藤隆氏も体の反動を大きく使ったという新フォームについて、「少ない力で全身を使って、少ない力で出力を生む、これが今年の特長」と同意を示します。
▶パフォーマンスアップには、やっぱりフォームが大事?
さてこれを見て、「やっぱりパフォーマンスを上げるにはフォームが大事なんだ」と、思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ちょっと待ってください。
フォーム解説は見た目をなぞらえて言うだけだから、確かに間違えようがありません。
(切り取るタイミングしだいではあるものの)2023年に比べて2025年のバックスイングは、確かに右肩下がりになっている。
それは小学生でもできる指摘なのでしたね。
間違っているわけではありません。
▶でも、大谷翔平の口からは?
その結果を計測してみたところ、球速や回転数が上がっているデータも事実でしょう。
いやしかし、同僚やコーチやゼネラルマネージャーや相手選手などから、大谷のフォームに関するコメントは確かに聞かれるのだけど、肝心な大谷翔平自身からは「スピードボールを投げたかった」などと口にはするものの、自身のフォームについては一切の言及がないのです。
私から言わせてもらうと、大谷自身が肩の角度を、「意識」してそうしているわけではない。
「変えたのではなく変わった」のだとすれば、筋力や柔軟性、あるいはイメージや、後述するメンタルが変わった「結果」であり、肩の角度(フォーム)が球速や回転数を上げた「手段」ではないのです(関連記事「原因と手段と集中と」)。
それが証拠に、自己最速を出したその日の大谷自身は、こう語っていました。
102マイルは、「自然に上がった」(関連記事「大谷翔平の自己最速は、『上げた』のではなく『上がった』 」)。
あるいは下記ヤフコメがいみじくも指摘しているとおり「イニング限定」だから変えたのではなく“変わった”向きもあると思います。
また大谷自身、「走者がたまり、一本打たれたくないという気持ちになると、それなりの球速になってしまう」というメンタルの影響を示唆しています。
この「しまう」という表現が意味するところを汲んでいただきたいのです(関連記事「なぜ、Noが言えないのか?」)。
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero
