質問202:負ける言い訳を自分で作ってしまう?
負けた理由を考えているつもりが、いつの間にか「負けて納得する言葉」を探していませんか?
それは意志の弱さではなく、無意識が自分を守ろうとした結果です。
──コンフォートゾーンの働き。
質問
吉田様
こんばんわ。
ゼロに出会ってから、ほんと調子いいです。感謝しています。
下記2月から、今までかてなかった人に勝てたり、中級の草トーで優勝できたり、短期間での変化を感じます。
そして今日は※※※※市Bシングルスに出場でベスト4でした。
最近調子よくても前回と同じあやまちはないよう平常心でいけました。
でもまだまだ罠はありますね笑
準決勝の相手は体育会あがりって感じでフォアのストロークがよく、フットワークもよくこれは厳しい試合になるなと思いました。
ヂュース5,6回あるもまったく取れず1−6で敗退。
「初挑戦のBクラスでベスト4まで来たんやから十分。しかもこんな相手だし。。。」と頭によぎっていたと思います。
負ける言い訳を自分で作ったんだなと。
こういうときの対処法は何かありますか?
なにか気づいたところありましたらご教授お願いします。
回答
▶「負けたい自分」が顔を出すとき
負ける言い訳……というよりも、「負けたい自分」が顔を出した、という見方がしっくりきそうです。
自分にとって、想定外に良い結果が「出てしまう」と、人は無意識のレベルで居心地の悪さを感じます。
そして、その違和感を解消するために、現状レベルの秩序へ引き戻そうとする力が働く。
これが、いわゆるコンフォートゾーンです。
▶勝ちたいに決まってる?
「負けたい自分?」
「勝ちたいし、勝つための努力もしたよ!」
そうおっしゃるかもしれません。
しかし、自分では自覚されないのです。
なにせ、無意識による働きですから。
体温を一定に保とうとするホメオスタシスのように、「今の自分」を維持する方向へ、プレーの選択や集中の質が、知らないうちに調整されてしまいます。
感覚に対する感情のようなもので、体に起こっていることは、心にも起こっています。
たとえば、「初挑戦のBクラスでここまで来たんだから十分」「この相手なら仕方ない」――こうしたもっともらしい思考は、負けるための言い訳というより、 「ここで勝つと自分らしくない」という無意識的なイメージが、言葉を借りて表に出てきていそうです。
「勝ったらエライことになる!」という落ち着かない(すなわちここでは負けるのが相応しい)イメージが、コンフォートな状態(すなわち現状)を維持しようとして、 何かにつけて本人も「思わぬ失敗」をする選択をする。
▶勝者のコンフォートゾーン
意識では勝ちたい。
でも無意識では、勝って目立つ自分、チヤホヤされる自分が「不快」。
だから、デュースを何度重ねても、「ここで取る」選択が、なぜかできなくなる。
何も考えなければ取れるのに、「取ったらデカい」「取られたらヤバい」などと、誰に命令されるわけでもないのに、案じ始める。
勝者のコンフォートゾーンから、ずれているのです。
勝って当然の格下相手なら、そんなこといちいち「考えない」でしょう?
▶不快な状態を人は維持できない
コンフォートゾーンの外は、客観的に良さげな条件であったとしても、主観的には不快。
人は不快な状態を維持できません。
うっかり優勝しそうになってしまったら、プレー中にもたとえば「優勝スピーチが気恥ずかしいわ」などと考えて、集中力を削いでしまうのです。
自分のイメージに、そぐわないから。
意識では勝ちたいと思っていますが、無意識は、優勝して目立ってしまうとかが、「不快」なのです。
▶努力では越えられない
コンフォートゾーンは、努力や頑張りではずらせないことが、心理学の研究で明らかになっているそうです。
テニスでは、どんなに努力しても、頑張っても、イメージがずれていると、打球タイミングが合わないのと、まったく同じですね。
では、どうすれば「勝者のゾーン」にずらせるのか?
こちらでご紹介したのとは違う角度からのアプローチをご提案。
コンフォートゾーンもイメージですから、『ベースメソッド』にならえば、「基準」を持てば、ずらせると分かります。
すなわち、「勝者基準」「天才基準」「健康基準」で生きていると、そのような人生に描き変わる。
▶ピーマンを食べられるようになる理由
よくある誤解は下記のとおり。
●無理をする
●我慢する
●頑張る
●努力する
これらは全部、「コンフォートゾーンの外に一時的に出るだけ」で、努力や頑張りが終わると、元に戻ります。
ピーマンが苦手な人は、生理的に苦手な人は、好きになろうと頑張っても、やっぱり嫌いなままです。
しかし大人になってピーマンを食べられるようになるのは、チコちゃんが伝えているとおり、好きになろうと努力した結実ではなくて、命の危険がないイメージに、描き換わったからです。
▶現代の錬金術!?
ピーマンのイメージが描き換わると、頑張らなくても食べられるようになります。
同様に、自分は勝つのがふさわしい、天才である、健康で当たり前というイメージが、実現します。
ここかしこで、無意識的に、それにふさわしい言動の選択をするからです。
少々生々しい話ですが(笑)、お金持ちになりたければ、「お金持ち基準」でいるといいのだと分かりますね。
もう、自分は満ち足りているというイメージでいると、本当に「足りてしまう」のです。
これは現代の錬金術ですけれども、具体例を挙げると、どんどん人に与える選択が「当たり前」にできるから、どんどん受け取ることもできるようになるわけです。
ですから「足るを知ると富む」などと言われますね(関連記事「テニスの上達も『足るを知ると富む』」)。
その「基準」を見つけることが大事なのです。
▶「不健康基準」が病気を招く?
逆の例を挙げると、せっかく健康体なのに、今の自分について「不健康基準」で生きてしまうと、わざわざ病院へ行って検査を受け、病名がつけられる(すなわち病気になる)という人も、少なくありません。
「不健康基準」でいると、そうやって気になる情報を、脳のRAS(網様体賦活系)が見つけ出してしまうのです(関連記事「『RAS』は『赤い車』ばかり見つける?」)。
「60代の80パーセントが患っている」
「そのままでは危険です」
知らなきゃどうという情報でもないのですが、不健康基準だと、気になり出すのです。
テニスの負けも基本的には同じです。
相手あってのことですから絶対ではないですが、「負けモード」のときは無意識的に、そういう基準でプレーしてしまうのです。
▶「勝つのが自然な自分」へ
今回の試合で起きたことは、「まだ罠がある」というより、すでに次のゾーンへ移行しかけている兆しと見ていいと思います。
気づき始めているからです。
対処法は、戦い方を変えることではありません。
「勝つのが自然な自分」を、もう一段「普通」にすること。
そこを「基準」としたイメージを備えます。
▶補足:コンフォートゾーンは固定ではないから
とはいえ、相手あっての勝負事です。
挑戦者が、「自分は負けて当然」と思っていると、気負いがなくなり、かえって勝ったりもします。
逆に常勝者が、「勝って当然」と思っていると、足元をすくわれて、負けたりすることもあるでしょう。
これも、自己像とのズレという観点で見れば、コンフォートゾーンの働きと捉えることができそうです。
人の状態や置かれた状況は、いつも同じではありません。
イメージも揺らぎます(関連記事「イメージは揺らぐよ、どこまでも」)。
それと同じように、 「健康基準」ではあっても、早期発見・早期治療が大切な場面も、確かにあります。
コンフォートゾーンは固定ではないから、変えることもできるのです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero