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打ち砕かれた円買い推奨!

自民党総裁選で、積極財政を掲げる高市候補が事前の予想を覆し、逆転勝利を収めたことで、週明けの為替市場では、ドル円相場が前週末比3円円安に振れ、150円台半ばまで急上昇している。これにより日本銀行の早期利上げ観測が大きく後退し、欧米銀の中で、日米金利差縮小観測に基づく円買い推奨を撤回する銀行が増えている。今後のドル円相場の行方を探る。


1.加速する円独歩安相場

10/7日経平均が、米国株高を受け、一時48,500円台まで続騰したことを好感し、ドル円相場も150.50円を上抜けてきた。ユーロ円は、昨夏の高値を上抜け、176円台をつけ、スイスフラン円は、史上最高値を更新し、190円台乗せが視野に入っている。

2.円安が打ち消すトランプ関税の悪影響

トランプ関税発動により、円建ての対米輸出価格を20%以上引き下げて米国内の販売価格を維持してきた日本の自動車企業にとって、高市ラリーによる大幅円安は、関税による収益悪化を相殺することに繋がり、渡りに船の総裁交代となっている。

3.金融市場に評価される高市政権

高市新総裁による責任ある積極財政路線は、春先の積極財政に転換したドイツのメルツ政権誕生を彷彿とさせる。ドイツのDAX指数は、今年に入り、20%以上上昇しており、高市政権発足によるあらたな株高トレンドが始まると考えると、今後、6万円を目指しても不思議ではない。ドイツとの違いは、通貨ユーロがドル離れの受け皿として今年上昇傾向を強めているの対し、日本円は下落基調にある点で、これは交易条件の改善に繋がることで、日本経済を取り巻く状況は欧州より良好と言える。

4.物価高対策に取り組む高市政権

石破政権時代には、財源を理由に野党が要請するガソリンの暫定税率廃止を受け入れない姿勢を貫いてきたが、高市新総裁は、軽油も含む暫定税率の廃止を行う姿勢を鮮明にしている。これは、物価高対策に有効であるだけでなく、物流コストの引き下げに繋がり、経済を活性化させる効果を持つ。これまで、減税に強硬に反対してきた宮澤税調会長が、積極財政の高市新総裁誕生を機に、退任の意向を示したことも、年収の壁を含む所得税減税実現に道を開くものとして市場では前向きに捉えられている。

5.トランプ大統領に評価される高市新総裁

トランプ大統領が、高市新総裁誕生を祝して、「深い知恵と強さを持ち、非常に尊敬されている人物」と異例の高い評価を寄せている。ベッセント財務長官も、「すばらしい経歴を通じ、強力なリーダー・政策立案者であることを示してきた」と評価し、経済や安全保障の課題において協力することを楽しみにするとコメントしている。高市新総裁の経済に明るく、強い保守派のリーダーであることが、トランプ共和党政権に高く評価されたことは、今後の日米交渉を円滑に進める上で、大きな支援材料となろう。

6.円安・株高・債券安は景気回復のサイン

高市新総裁誕生に円安・株高・債券安が進んでいる。同氏が石破政権と異なり、成長重視の経済政策を指向していることを市場は高く評価し、日経平均は、就任初日に5%近く上昇した。円安・株高・債券安の高市トレードは、景気回復のサインと捉えられ、トランプ関税により、弱められた景気センチメント改善に繋がっている。
今後、減税を主張する野党との連立交渉を通じて、減税公約の実現を着実に進めることで、高市政権の支持率向上が見られれば、衆議院の早期解散に踏み切る選択肢も浮上する。石破政権下で弱まった自民党支持が回復することで、政権基盤を強化し、日本経済の安定成長への道筋を示せれば、長期政権への芽も出てくる。
インフレ下の景気低迷の日本経済を、インフレ抑制下の持続的成長路線に転換できるか、高市新総裁の手腕に期待したい。財政出動による需要拡大は、日銀の金融正常化を早めこそすれ、遅らせることにはならないため、現在の市場の円安反応も、いずれ鎮静化してくることが予想される。欧米銀に撤回された円買い推奨が復活する日もそう遠くないことを申し述べておく。

(図表 ドル円日次推移チャート 右軸:単位 円 出典:Trading View)

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2025年10月7日執筆 チーフストラテジスト 林 哲久 



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