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独居=孤独ではないと知った #3

シリーズ化するつもりはなかったのですが。
父のことを書いていたらついつい長くなってしまい、今回が3話目です。

▼父が亡くなったときの話はこちら


昨年の秋に免許を返納した父。
それを機に、最寄りのスーパーへ歩いて行くようになりました。

道中、一軒の喫茶店を見つけたらしいのです。駐車場がなく、車に乗っていたら気づかないほどのこじんまりとしたお店。買いもの帰りに寄ってみたら、とても居心地がよかったそうで。何度か通ううちに、ママさんや常連客の皆さんとも顔なじみになったんだとか。

「あそこ行ったらな、ワシみたいに独りもんのじーさんばーさんばっかりや!」と笑ってました。実家がある場所は古くからの家が建ち並ぶ地域で、住んでいるのも高齢者ばかり。きっと父のような人たちの“良き溜まり場”になっているんだろうなと想像がつきました。

一人暮らしをしていると、誰とも話をしない日がザラにあります。こういう場所が見つかったことは、娘のわたしにとっても嬉しいことでした。母が亡くなり、独居を始めて3年。父がようやく見つけた居場所であったような気がします。


わたし自身はこのお店に行ったことがなくて。父が亡くなった後で、夫と一緒に探してみました。店名や場所すらよく知らなかったのですが、外から窓の向こうを伺うだけで「あ、ここだ!」とわかりました。

小さなカウンターの中に、いかにも関西のおばちゃん!という派手な装いのママさんがいて。お客さんたちと楽しそうに談笑しています。テーブル席が3~4つあるのだけど、お店自体が広くないので、カウンターの中からでもじゅうぶんに話ができる近さ。お店にいる人全員で和気あいあいと盛り上がっているように見えました。

その様子を見て、絶対にここだ!と確信したのですが、そのときは声をかけずに帰りました。ちょうどお昼時なので遠慮したという理由もあるのですが、実はちょっと不安だったんです。父にとっては良き居場所であったかもしれないけれど、お店の方からしたらたくさんいるお客さんの中の一人に過ぎない。名前を覚えてもらっているかもわからないしね。


◇ ◇ ◇


翌日、たまたま近くに用事があった夫が、一人でお店を訪ねてくれたんです。

父の名前を告げると、ママさんだけじゃなく、その場にいたお客さんもみんな父のことを知っていて、一様に驚かれていたとか。

「最近、顔見ぃひんなぁって言うてたんよ!えぇっ?亡くなりはったん?」「前会うたときは、めっちゃ元気やったんやで!」「また来るわーって言うてはったのに……えぇ?ほんまに?」

あぁ、ここにも父を待ってくれている人たちがいた。

大げさかもしれないけど。父の一方通行ではなく、「最近見ないねぇ」って気にかけてもらえるような“居場所”になってたんやなって思ったら、もう。ほんまにありがたくて、感謝しかない。

家に帰ると独りやったかもしれんけど、ママさんや常連さんたちと交流しながら、父は確かにここで生きていたんやなぁ。

葬儀の後はバタバタと自宅に戻ってしまい、寄ることが叶わなかったけど。いつかこの喫茶店に行って、父が飲んでいたコーヒーをいただこう。夫とそう約束したのでした。


たぶん次が最終回。







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