8月10日~9月15日の読書記録 『沖縄の生活史』『プリズンホテル』『蒼穹の昴』『コメンテーター』『任侠シネマ』『任侠楽団』
8月は、まったく本を読む気にならなかった。というか、本を読むのが嫌だった。
で、何をしていたかというと、まったく本を読む気にならない時に読む本を読んでいたのだ。なんだかなぁー、である。
まずは浅田次郎シリーズ『プリズンホテル』(夏~春 全四冊 集英社文庫)を読む。続けて『蒼穹の昴』(1~4 全四冊 講談社文庫)を読む。そこまでと思いとどまって、浅田次郎の世界から離脱。
奥田英朗『コメンテーター』(文春文庫)を読む。『町長選挙』(奥田英朗 文春文庫)以来の、精神科医伊良部一郎と看護師マユミになんかホッとする。
本屋をプラプラしてて気になったのが、原田マハ、今野敏、小川糸、宮部みゆき(時代物のみ)、津村記久子などのみなさんの作品。たぶんほとんどはすでに読んでいるので、本を買うのが怖い。買って読み始めたら、きっと既に読んでいたことを思い出す。なんなら家にある。同じ本を何回も読むのは一切気にならない。でも同じ本を本棚に見つけるのは嫌い。なんだかなぁ~と、軽く凹むのが嫌い。
で、たぶんこれは読んでいないと『任侠シネマ』と『任侠楽団』(どちらも今野敏、中公文庫)を購入のうえ読了。戦果は一勝一敗。前者は読んでいた、本棚にあった。凹みつつも、ありがたく新本で再読させてもらった。後者は初読だった。よかった、よかった。一勝一敗ならまだいい。
著者のみなさまには申し訳ないけれど、「まったく本を読む気にならない時に読む本」を堪能した一ヶ月だった。いや、本に癒やされていたのかもしれない。とすると、ぼくを癒やしてくれた著者のみなさま、ありがとうございました。少しは本を読む気になってきたかもしれません。
もう一冊、『沖縄の生活史』(石原昌家・岸政彦監修、沖縄タイムス社編、みすず書房 2023)も読了。学校の図書館が買ってくれた一冊。前回読んだ『東京の生活史』と同様、読了にほぼ半年かけた(その間借りっぱでした。ごめんなさい)。全部で850ページほど。100人の聞き書き、100人の人生の記録である。『東京の生活史』と大きく違うのが、圧倒的に高齢者への聞き書きが多いことである。さらにほぼ全員が沖縄出身者であることだ。
すごいものを読んでしまった。沖縄戦の話は、いろんなところで少しずつは読んでいるし、沖縄の歴史もチャンスがあれば読むようにしてきた。でも全く違うのだ、100人の話を聞くというのは。それも同じ時代、同じ場所を違う角度から生きた人々の話である。1つの事件が100人の言葉として語られる。これが4、5人であれば事実は藪の中ということにもなろう。ところがそれが100人の言葉になると、事実が立体的に立ち上がる。1つの事実を100人の目で見ているのだ。立体的にならないわけがない。
日本兵から逃げ回った記憶、日本兵に助けられた記憶、優しかったアメリカ兵の話。手榴弾を拾って遊んだ話、手榴弾の暴発で亡くなった兄弟の話、マラリア地区に追いやられた話、マラリアにかかって死んだ多くの人々の話、進学先が違っていたら「ひめゆり部隊」で死んでいただろうという話。貧しさ故に政府から移民を薦められ、苦労した話、成功した話。B円、ドル、円と変化した通貨。右側から左側を走り始めた車。茅葺き、トタン葺き、瓦葺き、コンクリートと変化した家の話。貧しかった記憶、豊かだった記憶。ありとあらゆる唯一無二の個人的な話が、一つの時代を立ち上げる。
あーっ、何も知らないんだなぁ。いくつになっても、ぼくは何も分かっていないんだなぁ。
そんなことばかり、くり返しくり返し思っていた。
よろしければ、こちらもどうぞ。読書記録32です。
