第9話〜コンビニがない世界へ
第9話。時代は2005年から2008年ごろ。4Gが郊外や山奥でも使えるようになり、ガラケーでいろんなことができるようになった。でもネットの主はまだパソコン。携帯と世界が分かれていた気がする。SNSが広まったのもこの頃。mixiで人生変わった。ガラケー版はだいぶ後にできたはず。Amazonも楽天もこの頃になると普通。でも家電は量販店だよね、みたいな時代。そしてなにより、iPhoneが生まれたばかりの時代。だけどiPod touchとの区別がついてない私がいました。ブラックベリー買いたいと言ってる人がまだ普通にいた。そんな頃。
私はついに異動した。都内郊外から関東の某県、しかも一番端っこへ。
その地区にはまた違う文化があった。同じ会社、同じ支社かと思うくらい違った。
もちろん、それが間違っているわけじゃない。ただ、自分には合わなかった。
かなり苦しんだ。いろんな人とぶつかった。今振り返ると、若かったなぁと思う。
自分が正しいと思い過ぎていた部分もあった。正直。
でもこの時の仲間や店舗オーナー、クルーさんとの出会いは、これまたかけがえのないものになった。自分はつくづく人との縁に恵まれてる。そんな確信も持った。
そんな、もんもんとした日々を過ごしていた頃。勤続10年の長期休暇をもらった。
2週間。当時また独身。
せっかくだからヨーロッパへ行くことにした。
目指すはイギリス。そしてドイツ。
理由はまず大好きなビートルズの聖地に行くため。自分にとってはチャゲアスが元々大好きで、度々彼らが訪れたのがロンドン。そしてChageがビートルズ好きでリバプールに行ったり。私にとってのビートルズはChageのフィルターで見た景色なんです。
あとはヨーロッパサッカーも当時好き。バラックが好きで所属していたチェルシーの試合を観た。
あとドイツには地元の友達も住んでいたので会いに行くことに。
でも、本当の目的は別にあった。
コンビニがない世界で過ごしてみたい。
それだった。
イギリスにもドイツにも、日本みたいなコンビニはない。
特にドイツは閉店法があって、夜になると街から店の灯りが消える。たぶん今も変わってないかな?
自分はずっと、コンビニは生活インフラだと思っていた。多くの日本人もそうだろう。なくてはならない、生きていけないものだと思っていた。
それが働いている誇りでもあった。街のほっとステーションを創っていると、本気で思っていた(だから苦悩もした)。
だからこそ。
一度、そこから完全に離れてみたかった。
コンビニがない社会を体験して、自分の仕事を客観的に見てみたかった。
結論から言うとめちゃくちゃ不便だった。
夜に飲み物を買えない。飯も買えない(そもそも中食がない)。酒も買えない。ロンドンはそれでもスーパーみたいなのとかドラッグストアみたいなのでカップ麺や冷食を買ってなんとかなった。


ドイツはガチでなかった。自販機もない。まじでどうすんだ!?と思ったけど、コンビニがない時代の日本も同じだったよね。と言い聞かせた。まじ困ったけど。
でも。
あれ?生きてはいけるじゃん。
と思ったのも事実。
この発見は大きかった。
コンビニは偉大だ。
便利だ。
社会を変えた。
実質的に今のコンビニを創り上げた鈴木敏文氏とセブンイレブンはジョブズ、アップルに並ぶイノベーターだと思う。生活に与えた影響は果てしない。
でも絶対ではない。
ヨーロッパで体感した。
そしてその感覚は、その後ずっと自分の中に残った。
そして今思う。
あの旅は、2年後の転職を決定づけたわけじゃない。
でも確実に、自分の人生の進路を少し変えた。
大きな転機だった。
