【患者さん説明共有SNSを作ってみたVer.2】9️⃣<診療室の外へ ~「お持ち帰り QR」で繋がる家族~>
先日
医師である皆さんのインサイトが大切でプログラミングスキルはいまはAIがカバーしてくれると書かせていただきました。
「家に帰ると全部忘れる」問題
診察中にCLAUNCHで説明して、患者さんは理解して変えられました。しかし、その後「 「あのー、先生。家族に上手く説明できなくて…。もう一回だけ教えてもらえませんか?」と診察室に戻ってきたり、後日電話かかかってきたりします。
人間の記憶力なんてそんなものです。ましてや、病気という不安な状況下、クリニックで緊張している状態では、聞いたことの半分も頭に残りません。
良かれと思ってパンフレットを渡しても、今の時代、紙なんてすぐに鞄の底でぐちゃぐちゃになるか、食卓の端に積まれて忘れ去られます。
そこで私たちが実装したのが、「お持ち帰り QR コード」です。
説明ボタンにマウスオーバーすると出てくる小さな QR アイコンをクリックしてください。



画面中央に、大きな QR コードが「ポンッ」と表示されます。 「今の説明、この QR をスマホのカメラで撮っておいてください。家でも全く同じものが見られますよ」
これだけで、患者さんのスマホの中に、あなたが見せたのと同じ「動画」や「説明記事」が入ります。
患者さんは家に帰り、夕食の席でスマホを取り出します。 「病院でね、先生がこれを見せてくれたの。ほら、ここが私の病気なんだって」 奥さんと一緒に動画を見て、「ああ、なるほど。先生はこういうことを言ってたんだね」と復習できるのです。
情報の非対称性が解消される瞬間です。
紙文化への「おもてなし」
しかし、医療現場はそんなにデジタル一辺倒ではありません。
特に高齢の患者さんの中には、「スマホ? 持ってないよ」「カメラの使い方が分からん」という方も大勢います。
そんな方を切り捨てるわけにはいきません。
そこで、「印刷機能」もセットで開発しました。
QR コードが表示されたモーダルの下に、「印刷する」というボタンがあります。 これを押すと、画面上の余計なメニューや色は全て消え、A4 用紙の中央にドーンと大きく QR コードとタイトル、そして「ご自宅で読み取ってください」というメッセージだけが配置された、「お持ち帰り専用ペーパー」が出力されます。
「じゃあ、この紙をご家族に渡してください。『この QR を読んで』って言えば、全部伝わりますから」
そう言って紙を渡すと、患者さんは本当に安心した顔をされるかなと想定して機能を実装しました。 「これなら私にもできるわ」「家族に説明しなくて済む」と。
この印刷機能、実は Web 技術的には結構面倒なんです。 普通にブラウザの画面を印刷しようとすると、インクは無駄になるし、レイアウトは崩れるし、文字は切れるしで、人に見せられたものではありません。
そこで AI は @media print という CSS 技術を駆使して、「画面で見るときはリッチでカラフルに、印刷するときは白黒ハイコントラストでシンプルに」というスタイルの切り替えを完璧に実装してくれました。
デジタルで繋がり、アナログで渡す。 最先端の技術を使いながらも、日本の医療現場ならではの泥臭い「優しさ」を形にした機能です。
(再掲)そもそもこのプロジェクトはなぜ始めたの?
CLAUNCHというアプリを現在は本当に重宝して使用していますが、なかなか中身を変えようというモチベーションがないのです。
それ自体はすでに安定した運用になっているということで悪いことではありません。
しかし、これは院長が孤独であることと関係が有るのでは?という問いを立てました。
クリニックの院長は、ある意味で「孤独」です。 複数の医師がいる病院勤務医時代のように、廊下ですれ違った他科の先生に「ちょっと教えてよ」と聞くことができません。
自分の専門外の領域について説明する時、私たちは自信のなさそうな顔を隠しながら、教科書的な(そして患者さんの心に響かない)説明をしてしまってはないかな?というのがこのプロジェクトを開始した理由です。
この「説明の質の格差」を埋めるにはどうすればいいか。 私は考えました。 「各科の専門医が普段使っている説明の"必殺フレーズ"や"神資料"を、ボタン一つで借りられたらどうだろう?」
例えば、眼科医で有る私が作成した「白内障手術のメリット・デメリット」というボタン。 これを内科の先生が自分のダッシュボードに登録しておけば、患者さんから目の相談を受けた時、ポチッと押すだけで私の説明資料(あるいは私が解説している動画)が表示される。 逆に私は、糖尿病専門医が作った「HbA1cを下げるコツ」ボタンをアプリに入れておく
こうすれば、私の診察室は、全国の名医たちが控えている「知のシェアオフィス」になります。 これが「患者さん説明ボタンSNS」の構想の原点です。
『先生、それならこのアプリは、単なる資料置き場(アーカイブ)ではなく、"助け合いの場(コミュニティ)"であるべきです。誰かの作成したボタンをImportした時、"○○先生のボタンを使いました"という通知が飛ぶようにしませんか? それは先生方へのリスペクトを示すことになりますし(実装中)、孤立を防ぐ目玉機能になります』
このAIからの一言で、プロジェクトの方向性が決まりました。 ただの便利ツールではない。医師同士の緩やかな繋がりを作るSNSにするのだと。 ここから、私とAIの二人三脚での開発が始まったのです。
(再掲)ドッグフードを食べて頂けるクリニック院長先生募集
本プロジェクトにご関心をお寄せいただきありがとうございます。 【患者さん説明ボタン共有SNS】は、クリニック院長先生による患者さん説明資料共有・相互扶助のプラットフォームを目指すアプリです。
現在、アルファ版(初期開発版)のトライアル参加者を募集しております。 ただし、お申し込みいただく前に、2つの重要な概念について共有させてください。
1.コールドスタート問題 プラットフォームが価値を持つには「①質の高い参加者」と「②十分な参加人数」が不可欠です。しかし、立ち上げ直後はそのどちらも存在しません。この「鶏と卵」のジレンマを、私たちは先生方と共に突破したいと考えています。
2.ドッグフーディング(Dogfooding) マイクロソフトには「自社のドッグフードを食べる」という有名な文化があります。 開発中のベータ版は、バグが多く、理想とは程遠い状態です。それは「美味しい食事」ではなく、まさに「ドッグフード」と言わざるを得ないレベルかもしれません。しかし、開発者自らが(そして初期ユーザーが)その不味いドッグフードを噛み締め、改善することでしか、最高の製品は生まれません。
【募集要項:この「不完全さ」を楽しめる先生へ】 正直に申し上げます。初期のアプリは使いにくく、先生方の忍耐を要するものです。 しかし、そうした「未完成のドッグフード」をあえて試し、フィードバックを投げ、新サービスが立ち上がる過程そのものを学習・経験として楽しんでいただける先生に参加していただきたいのです。
「まだ誰もいない荒野(コールドスタート)」に飛び込み、共に新しい医療DXの形を作り上げてくださる先生のエントリーを、心よりお待ちしております。
※一定の人数が集まり次第、トライアルを開始いたします。
お知り合いの院長先生にもご共有頂けると幸いです
今日はここまで
(再掲)日常診察で一番使っているアプリ
日常外来をしている中で、電子カルテ以外で一番利用しているアプリはCLaunchというアプリです。これは以前の記事でも紹介させてもらっています。
他の方のNoteリンクも紹介させていただきます
(再掲)しかし、もっと自分の要望を入れたい
CLaunchは非常に良いアプリなのですがパウチッコと同じでなかなか中身を変えようというモチベーションがないのです。それ自体はすでに安定した運用になっているということで悪いことではありません。
しかし、これでは他の先生や医療従事者の方が心理的・物理的ハードルを超えてもらうのは難しいのです。
もっと使いたいと思わせる何かが必要なのです。これまでは諦めていましたがこのバイブコーディングの時代になって光明がでてきました。
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