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なぜ世界中のエコノミストが、中国を読み間違え続けるのか【連載第0回】

あなたが中国について知っていることは、おそらくほぼ全部、間違った枠組みで見ている。

これは挑発ではない。枠組みの話だ。

道徳で裁いている限り、設計図は見えない

中国は傲慢だ。強権的だ。お金に汚い。自国の利益しか考えない。

そういう見方をしている人は多い。間違いとは言わない。しかしその見方では、中国の行動を予測できない。説明もできない。なぜなら、傲慢さや強欲さは動機ではなく、結果として見えているものだからだ。

中国が目指しているものは、西側とは根本的に違う。その目標を実現するために、強引な手段を取っている。それが外から「傲慢」に見える。「強欲」に見える。しかし動機を取り違えたまま行動を読もうとすれば、すべてが矛盾に見え続ける。

枠組みを変える必要がある。道徳から、設計図へ。

データから読んでいる限り、真実には近づかない

もう一つの罠がある。

多くのエコノミストは中国のデータを出発点にする。中国が発表したGDPや人口や失業率を「信用できない」と知りながら、それを割り引いて分析する。「公式発表が10なら実態は6だろう」という具合に。

しかしこれも間違いだ。

中国のデータは「水増しされた数字」ではない。「別の目的のために設計された数字」だ。割り引いても、正しい数字には近づかない。中国のデータを出発点にしている限り、どれだけ精緻に分析しても、答えは中国が用意した枠の中に収まる。

正しいアプローチは逆だ。構造から演繹する。「この設計図があるなら、こういう行動が必然的に起きるはずだ」という方向で考える。そしてその結論を、実際の中国の行動と照合する。

構造から読むと、中国の行動と驚くほど一致する

この連載はその方法論で書かれている。

一つの原理から出発する。中国は意図的に、人民元と外貨を切り離している。

この設計図があるなら、中国はこう動くはずだ——という結論を論理的に導き出す。そしてその結論が、実際の中国の行動と驚くほど一致する。

中国製品がなぜあれほど安いのか。答えは人件費ではない。 海外インフラ工事でなぜ現地の人を雇わないのか。答えは差別でも非効率でもない。 中国人観光客がなぜ現地にお金を落とさないのか。答えは個人の節約でも習慣でもない。 世界中になぜ中華料理店があるのか。答えは料理の美味しさだけではない。 アメリカがなぜイランとベネズエラを同時に攻撃するのか。答えは民主主義の守護ではない。

これらすべての問いに、同じ原理から答えが出る。そしてその答えは、実際に起きていることと一致している。

一致するということは、この原理が本物だということだ。

そしてこの設計図は今、機能不全に陥りつつある

外貨が枯れ始めている。輸出の出口が塞がれ、外資が撤退し、物々交換のルートが遮断される。精巧に設計されたシステムが、逆回転を始めようとしている。

しかし——そこで終わる話ではない。

外貨依存という弱点を構造ごと取り除いた「第二ラウンドの中国」が、その先に来る可能性がある。ロボットが生産し、再エネが動かし、人民元回路だけで完結する経済圏。20世紀に失敗した共産主義が、21世紀の技術によって初めて完成する——その実験が、今まさに進行中かもしれない。

この連載について

全12回。1回から順番に読んでほしい。

途中から読んでも「言っていることはわかる」かもしれない。しかし「これは正しいのか」という判断はできない。それだけ論理が積み上がっている。

第1回は人口の話から始まる。「なぜ人口から?」と思うかもしれない。読み終えれば、なぜここから始めたかがわかる。

設計図を知った上で、世界を見てほしい。

次回:【連載第1回】中国の人口、実は8億人台?——誰も言わなかった「キノコ型人口ピラミッド」の真実


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