シンカーのPMという仕事②—現役PMが考える、AIに渡せる仕事と渡せない仕事
みなさん、こんにちは!マーケティングDX支援のTHINKERです。
シンカーでは現在、プロジェクトマネージャー(PM)を募集中です。
前回は、プロジェクトマネジメントグループのグループ長に「PMとして大事にしていること」を語ってもらいました。
▼前回の記事
今回はシンカーのPMの仕事理解を深める記事第2弾です!
現役のPMが、自分のPM業務をどこまでAIに任せられるかを試してみたそうです。
この記事が、PMの日々の業務の理解に繋がれば幸いです!
結論:PMのコア業務はAIには任せられない
PMの仕事をどこまでAIに任せられるのかを試しみた結果、PMらしい業務であればあるほど、AIには任せられませんでした。今日はその結論に至った経緯を、私の日々の業務をご紹介しながらお伝えしていきます。
PMの頭の中にしかないことがある
私は現在、シンカーでPMとアナリストのグループリーダーをしています。そのため、PMではない役割でプロジェクトに参画する機会があります。
そうした立場で仕事をする際に、作業の手が止まる場面が何度もあるのです。ある要件について、もう決まっているのか、まだ決まっていないのかが分からない。決まっているとして、それはどの資料に載っているのかも分からない。過去の議事録をさかのぼり、Slackを検索しても確信が持てず、結局PMに聞くことに。数々の不明点の答えは、PMの頭の中にはちゃんと入っており私の疑問は解消されましたが、同時に、このように情報が整理されていない仕事の仕方だとやりづらいなー、と正直感じたのです。
ただ、しばらくして「自分がPMをやっているときも、プロジェクトメンバーに同じ思いを抱かせているのでは?」と気づきました。
それならば、AIを使うのはどうだろう?積み上がっていく情報を整理して構造にするのは、AIが得意なことです。私は、自分のPM業務をなるべくAIに渡す前提で整理してみました。
まずは、PMの仕事を書き出してみる
シンカーの案件は多種多様ではありますが、短期・コンサル型のものが比較的多いです。データ基盤を作り、マーケティング施策に組み込み、MA(マーケティング・オートメーション)を導入するーこうした案件では、PMが営業からの引き継ぎ、要件整理、構築の進行、そして施策として使われるところまでを橋渡しします。
営業から案件を引き継ぐ
何が顧客に約束済みで、何がまだ決まっていないのかを確かめる
キックオフの資料を作る
プロジェクトのスコープと進め方を握る
成果物からタスクを分解して、WBSに落とす
定例のあと、議事録から「決まったこと」と「決まっていないこと」を切り分ける
週次で進捗を集めて、定例資料を作る
変更の要望が来たら、受けるかどうかの検討材料を整理する
エンジニアとの会話が成立するように、技術を自分で調べる
相手に一から説明させないための最低限のマナー
データ活用のプロジェクトがうまくいかないとき、原因が技術そのものにあることは、実はそれほど多くありません。「誰と何を合意したのか」が記録されていないことが原因であることの方が多いのです。つまり上記一覧のうち、シンカーとしての仕事の品質を左右するのは、資料を作る速さではなく、合意の状態を正確に握っておけるかどうかです。
そのため、AIを活用するにあたり、何が合意済みで、何が未合意で、何が欠落しているのかを見えるようにする仕組みこそが必要だと考えました。
具体的には、PM業務用のハーネス(AIへの指示や作業手順をあらかじめ組み込んだ業務用の枠組み)と呼ばれるものを作ってみました。受け取った資料、決定と未決、外に出す資料をそれぞれ別の置き場に整理してくれて、その情報をもとに各種ドキュメントも作ってくれるものです。
実際にAIに渡せた仕事
議事録から決定事項と未決事項を抜き出す
進捗を集めて整える
前回からの差分を拾う
これらについては、AIのほうが速い上に抜け漏れも少なくなります。
条件をつけてAIに渡した仕事
AIを活用しながら業務を進める上でいちばん厄介なのは、AIが分かっていないところをそれらしく埋めてしまうことです。営業からの引き継ぎ資料を読ませて「足りていない情報を洗い出して」と頼むと、AIは文脈から推測して空欄を埋めてしまいます。そのまま確認せずに次へ進んでしまうと、認識のズレが剥き出しになることになります。
そのため、推測で埋めることを禁止しました。分かっていない項目は分かっていないまま出させて、そのうえで各所への確認事項に振り分けています。
この形にして良かったのは、空欄が多いという事実そのものが情報になったことです。空欄だらけの引き継ぎ結果が出てきたら、それはその案件の実態がちゃんと見えているということでもあります。同じ理由で、進捗のステータスもAIには決めさせていません。順調なのか、危ないのか。ここを言葉のニュアンスで判断させると、報告はだんだん甘くなります。
また、すべての事実に出どころを付けることにしました。顧客が直接言ったのか、営業から伝え聞いたのか、AIが推定したのか、まだ未確定なのか。出どころが分かれば、その情報をどれくらい確かなものとして扱えるかも決まります。
AIに渡せなかった仕事
このようにPM業務の仕分けを進めていくと、どうしても渡せない仕事が残りました:
決めること
変更要望を受けるか断るか、続けるか止めるか、誰に何をしてもらうか。AIには、選択肢と根拠を並べるところまでをやってもらうことにしました
交渉すること
スコープの線引きや金額の判断など。壁打ちの相手にはなってくれますが、相手がいる場での判断は代われません。
聞くこと
確認事項のリストは、AIが驚くほどきれいに作ってくれます。ただ、それを持って社内外に聞きに行くのは人の仕事です。今聞くべきか、聞き方のニュアンスはどうするか。そこは人が判断します。減ったのは「何を聞くべきか考える負担」だけで、「聞く工数」は減っていません。
伝えること
特に、悪い報せをどう伝えるか。遅れていることやできないことをどう届けるかは、渡そうとすら思いませんでした。
残ったものを眺めてみると、前回の記事でグループ長が書いていたこと—相手の文脈を掴みにいくこと、思いやりを持つことと、ほとんど同じでした。あの記事を意識しながら整理したわけではないので、PMのコア業務はほとんどAIに渡せないんだと、実感しました。
データモデリングとの共通点
PMの仕事を整理していく中で、前項でお伝えした、AIに渡せる業務とデータモデリングの仕事に共通点があることに気づきました。素材を、次の人が判断に使える状態に整える。 生のログを分析できる形にするのも、分析結果を意思決定できる言葉にするのも、会議とSlackに散らばった話を判断できる状態にするのも、扱う素材が違うだけで同じことをしています。
PM業務とAIの共存ー検証はこれから
上記で示したハーネスは試作したてで、実際の案件で使えたと言えるのは、引き継ぎで足りない情報を洗い出すところと、そこから確認事項のリストを作るところだけです。それ以外は設計しただけで、実運用では試せていません。これから実案件で機能するか試しながら、改善していきたいと思います!
おわりに
AIに任せられなかった仕事のほうがPMのコア業務に近いと感じています。もちろん、渡せた仕事のほうも、最後に責任を持つのは人です。
シンカーのPMの具体的な業務について、私ひとりのやり方でしかありませんが、少しでも皆さんの理解につながる手がかりになれば幸いです。
ちなみに、こうしたハーネスを作ってみることなどは、私が勝手に始めた試みです。シンカーにはこういったことを主体的に取り組める土壌があり、実際に取り組むメンバーがいます。そんな姿勢に共感し、一緒にプロジェクトを前に進めてくれる方を探しています!
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