見出し画像

第5回。福岡の街に小さな革命を刻んだ、「MEGUSTA誕生」の物語。

いよいよ、独立。

アクタスという150億を動かす巨大な看板を脱ぎ捨て、私は20代の最後に、勝負の地として大好きな街「福岡」を選びました。

ここから、福岡の立ち飲み文化に小さく、しかし確実な革命を刻むことになる「MEGUSTA(メグスタ)」誕生の、長く苦しく、そして熱い物語が始まります。


【潜伏期間:異分子の「家」営業とTSUTAYAのルーティン】

アクタスを退職し、福岡に戻ってわずか1週間後。私はすでに動いていました。 まずは本当の独立に向けた「修行」として、roliganという8坪の小さなバーを間借り営業でスタートさせたのです。

料理やお酒は独学でしたが、学生時代から培ってきたイベント主催や異業種交流会の交友関係が、私を支えてくれました。営業のスタイルは、ただただ「友達を家に呼ぶ」感覚。

アクタスの店長時代、150億の会社運営をイメージしていた男が、数坪の空間で泥臭く、しかし自分の手ですべてを回す楽しさに震えていました。朝日を見ながら帰路につく毎日が、充実感で満ちていたのを覚えています。

しかし、同時に強烈な危機感もありました。 「これはまだ、本当の独立じゃない。早く自分の城を持たねば」

当時の私のルーティンは、昼過ぎに起きて食事をし、本を読むこと。独立資金を貯めるため、TSUTAYAとスタバが併設された店舗に行き、一番安いお水を買って1冊読み切る。それが毎日の「儀式」でした。


相変わらずスピリチュアルや自己啓発も読んでいましたが、この頃、私の人生に大きな影響を与える2冊を紹介します。

一冊目は、佐藤裕久氏の『1杯のカフェの力を信じますか?』。 実際に飲食店を経営されている社長の著書であり、その内容に、私は「自分も、こんなお店を作りたい。こんな経営者になりたい」と、明確な目標になった一冊です。今でも刺激を受けていますし、いつかお会いしたいと願っています。

佐藤 裕久 著『1杯のカフェの力を信じますか?』Amazonで詳細を見る

もう一冊は、『嫌われる勇気』。 私は、自分の目標を貫く強さがある反面、実は周りの反応をめちゃくちゃ意識してしまうタイプです。この本が説く思想を受け入れるには時間がかかりました。しかし、この本との出会いは、後に「嫌われることを恐れず、自分の信じる道を突き進む」経営者へと進化させる、重要なフックとなりましたし、「承認欲求を捨てる」という思想にも衝撃を受け、人生のバイブルとなっています。

『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』 (岸見 一郎、古賀 史健 著) Amazonで詳細を見る


【1号店オープン。QSCとお手紙とFACEBOOCK】

1年後、1号店「buena onda」をオープン。 立地は雑居ビルの5階。自然集客は文字通り「ゼロ」でした。

しかし、私は焦りませんでした。アクタスで学んだ「当たり前のことを、馬鹿にしないで、ちゃんとする」。このQSCの徹底こそが、どんなマーケティングよりも強いことを知っていたからです。

  • QSCの徹底: 空間、サービス、クオリティにの妥協も許さない。

  • お礼の手紙: 来店してくれた方へ、心を込めたアナログな感謝。メッセージ付きのドリップコーヒーを渡したりもしていました。

  • デジタルの活用: Facebookを通じた「顔の見える」コミュニケーション。

「150億の会社の社長にもなれる」という自負が、5階の小さな店での泥臭い作業を支えていました。リピート率は徐々に上がり、3年目には予約の取れない人気店へと成長。ここで私は、「人と人を繋げる価値」の凄まじさに気づき始めます。


【試練:月商69万の地獄と、300万の確信】

そして満を持しての2店舗目、それが「MEGUSTA」でした。 サンセバスチャンのバル文化、北九州の角打ち、そしてアクタス時代の立ち飲みの記憶。それらを統合した「福岡にない新しい文化」への挑戦。

しかし、現実は非情でした。 オープン2ヶ月目。売上はわずか69万円

「立って飲むなんて、福岡では流行らない」 冷ややかな視線と、積み上がる赤字。出店費用で底をつきかけた通帳残高。まさに倒産寸前の状況でした。

スタッフたちは不安に揺れていました。しかし、私は言い放ちました。 「この店は、絶対に300万いく。俺にはその光景が既に見えている」

これはハッタリではありませんでした。私の潜在意識の中では、メグスタが福岡のインフラとなり、人々が笑顔でグラスを傾ける光景が、サンセバスチャンのような光景が、現実よりも鮮明に映っていたのです。

【結論:思考が先、現実は後】

この時、私がやったことは「戦略の変更」ではなく、「当たり前のことの、さらなる徹底」でした。 QSCをさらに研ぎ澄まし、一人ひとりのお客様との繋がりを「執念」で深めていく。潜在意識に描いた300万のビジョンを、現実の数字が追いかけてくるのをじっと待つ。

結果はどうだったか。 福岡の街に「立ち飲み」という文化が根付いた瞬間、数字は跳ね上がりました。

詳しい内容はこちら↓



次回予告:第6回。

地獄から生還したMEGUSTAが、いかにして福岡に「立ち飲み文化」を根付かせ、「お客様同士の繋がり」という真の価値に気づいたのか。 「執念」が引き寄せた、大逆転のストーリーをお届けします。

いいなと思ったら応援しよう!

@TACHINOMIST よろしければ応援お願いします! いただいたチップはタチノミストとしての街のために酒代として使わせていただきます。