【和訳】2013年のBIGHITとBTSをパンPDが語る【アイドルメーカー】
PdoggPDの次はパンPDだ!
以前、2013年のPdoggさんインタビューを和訳したのですが、その際他の記事も訳したいな……と思ったまま忘れていました。私そういう案件多くてすみません( ;∀;)
これは [weiv] というサイトの記事なんですが、他にもメンバーやパンPD、ソンドゥク先生&キム・ソンヒョンチーム長(ビジュアルクリエイティブチーム)のものがありました。
ソンソンチームの分を一部和訳した記事へは、こちらのリンクからどうぞ。
先日偶然この記事と再会したので、記念に訳してみたいと思います。
まだバンタンがデビューして一カ月半時点の、パンPD。当時のBig Hit Entertainmentのことがわかって興味深いですし、成功した後にTIME誌などで行われたインタビューと読み比べると、わりと信念的な部分が一貫していて感心させられたりします。
是非お楽しみください!
元記事
シリーズ記事はこちら。
注意書き
申し訳ないですが、素人仕事なので品質保証はしかねます💦
引用する時は、この記事へのリンクを貼っていただければと思います。
※読みやすさのため、適宜改行を挿入しています。記事内の画像は元記事から。
[アイドルメーカー] パン・シヒョク代表 | 産業的に「意味」のある会社を、アイドルとは「違う」アイドルを
[weiv] interview 2013/7/30
日時:2013年7月1日(月)
場所:新沙洞 BigHit 事務所
質問:チャ・ウジン / チェ・ミンウ
整理:イ・ダヘ
写真:イ・スンヒ(スタジオ103)
アイドルが韓国のポップミュージック業界の中心的存在だとすれば、必然的に彼らを取り巻く人材や構造が重要になってきます。[weiv]の「アイドルメーカー」特集は、業界の主要人物たちとの深い対談を通じて、ますます複雑化する業界の実情を探ることを目的に企画されました。
最初のインタビュー対象は、BTSとBig Hitエンターテインメントの中核メンバーたちです。今後も機会があれば、インタビューの対象者を増やしていく予定です。

チャ・ウジン:
机の上に『社長の道』がありますね? 防弾少年団を機にプロデュースから手を離しつつあると聞いたので、その本が違って見えます。
これまで Big Hit という会社の中心はパン・シヒョクプロデューサーでしたが、防弾少年団の準備をしながら Pdogg に全面的に任せ、自分は一歩引くことにしたきっかけが気になります。
パン・シヒョク:
まず、あの本は、全部は読めていません。社長はどんな仕事をすべきか、気になって買っておいただけです。
正直、私は元々前面に出ることを楽しむ性格ではないんですよ。テレビに出演してBig Hitというブランドを知らせる時も、役職者たちには常々話していました。「いつか自分もセンスを失う日が来るだろうけど、もしパン・シヒョク一人だけを頼りにしていたら、その時我々の会社はいったい何を成し遂げたことになるだろうか。パン・シヒョクの延長線上でやっていくしかなくなるのではないか」と。
ですから、システム化し、私ではない他の人の音楽で会社を運営する練習をすごくたくさんしたのですが………結論だけ言えば、まだ過渡期のようです。システムを作る過程で失敗したことも多いですが、その最大の原因は私ですね。試行錯誤が多かったです。
曲をモニタリングした結果、結局私の曲が一番良いから採用したとしても、結局その曲がタイトルになった瞬間、Big Hit所属の作曲家たちの存在意義が消えてしまうんです。
おまけに私は全然愛想のいい人間でもないので、出来上がったものに対して冷静に、厳しく評価すると、作曲家たちが傷ついてしまう。こういう状況が繰り返されていたように思います。
それでも、システムというものは必ず構築しなければならないので、長くて3年、短くて1年半くらいを練習期間だと考えていました。おそらく防弾少年団がいなかったら、今も会社は練習期間だった可能性が高いです。
チャ・ウジン:
「練習」とは具体的にどのようなことですか?
パン・シヒョク:
経営もありますし、音楽もあります。音楽的には、2AMのアルバムでも徐々に私の比重を減らしていきましたし、GLAMでも核心からはかなり外れていました。
経営的には、防弾少年団はまだ結果は出ていませんが、基本的に私が成し遂げたいことは達成したと思っています。まず、社員たちがチームに愛着を持っています。自分たちが直接すべて育てた、という感覚ですね。そして、久しぶりに男性アイドルを手掛けたということ。
この二つがものすごいエネルギーを発揮して、自発的な成長を促しました。
実際、オーナーたちはよく「愛社精神」と言いますが、愛社精神は無理に育てることはできません。成果物が社員たちの心に響き、参加しているプロジェクトが気に入るからこそ、愛社精神が生まれるのです。
システムの方でも満足していることがあります。私は最近、「コンファーム(最終的な認可)」もほとんどしません。担当者たちが自発的にうまくやっているからです。私はアイドルのファンになった経験がないので、私よりも社員たちの方がファン心理についてはよく知っています。
音楽的にもPdoggというメンバーがヒップホップに一家言あり、Big Hitであらゆる雑務もこなし、私と喧嘩しながらも防弾少年団を自分が作りたいという、大きく言えば野心、小さく言えば願望のようなものがありました。メンバーのピックアップからトレーニングまで、全部の過程に関わっていましたから。
新人開発においても、私は韓国に「新人開発」というものが初めてできた時に参加した一人で、JYP時代からノウハウを多く学びました。
それでも、その方法論とパン・シヒョクが求める人材を開発することは、また別の問題です。それを整理するのにも、数年かかったように思います。事実、防弾少年団には私の哲学と世界観が溶け込んでいると言えます。
うちの新人開発チームは、「音楽とステージを愛するアーティストを作らなければならない」という強い意志を持っています。まず音楽が嫌いなら無条件で脱落。音楽に対する情熱を見せない練習生は、いくら優れていても脱落です。防弾少年団は本当にド根性で音楽に取り組んできた子たちです。
ちなみに、会社では練習生たちを統制しません。電話を取り上げたり、門限を作ったりもしません。「やりたいことは全部やれ、ただし発展がなければ出て行け」と。
レッスンも強制的には行いません。宿題を出してきたら、それに対してのみ指摘します。自分たちで振り付けを考えてきたら、それについて良いか悪いかを話してあげます。自発的にやろうとする意志がない子を練習室に閉じ込めて、12時間ずつ教えたりするのは、私は嫌いです。
チャ・ウジン:
子どもたちを大人扱いしているように見えますね。
パン・シヒョク:
ええ。私はそうです。根本的に、子どもを子ども扱いするのがあまり好きではありません。
小学校3年生くらいまで? それ以降は分別がつけられないなんてことはないと考えています。衝動的なせいで問題を起こすことはあるかもしれませんが、分別ができないなんてあり得ないと思います。
元々、子どもの頃の方が、早いうちから自分は大人だと思っているじゃないですか? 私も小学校4年生から、自分を大人だと思っていました。中学校に入ってからは、「なんで僕に人生を説教しようとするんだ?」ってなりましたし。
そういう子たちに「あれをやれ、これをやれ」と言う必要はないと考えています。自分の選択に責任を持て、ということですね。
防弾少年団の場合は更にもう一つ条件があり、ヒップホップが嫌いなら一緒にはできませんでした。私たちはヒップホップを愛する方法まで教えることはできないからです。
チャ・ウジン:
恐ろしい会社じゃないですか!?
パン・シヒョク:
私はむしろ逆だと思います。練習生たちの自発性を認める会社は、思ったよりも少ないですから。恐ろしいのではなく、実力で評価を受けているだけなんです。
チャ・ウジン:
会社の話を続けましょう。Big Hitの組織構造はどうなっていますか?
パン・シヒョク:
まず、事業運営チームがあり、マネジメントと新人開発、A&R、そしてビジュアルクリエイティブと戦略TFチームがあります。これに副社長と日本事務所長が率いるグローバルビジネスチームがあります。
チャ・ウジン:
ここで私が重要視するのは、新人開発とマネジメント、A&Rの部門ですが、その中でも新人開発チームの比重はかなり大きいのではないでしょうか?
パン・シヒョク:
新人開発チームの役割は、アルバムジャケットを撮影する時にマネジメントチームに引き継いだ瞬間に終わります。本格的なデビューカウントダウンに入ると、メンバーは完全にマネジメント担当になります。マネージャーが宿舎に入って、新人開発チームから引き継ぎを受けるわけです。
新人開発チームは徹底的に新人を発掘して教える役割ですが、デビュー前には事業運営チームのPR、ファンマネジメントが加わり、メディア教育、コミュニケーション教育、ファン対応を教育します。
マネジメントに引き継がれた時点から、本当に「芸能人として生きていく方法」について教育を受けるわけです。
チャ・ウジン:
A&Rと新人開発チームとの正確な違いとは?
パン・シヒョク:
完全に違うと見るべきでしょう。
A&Rは文字通り「Artist and Repertory」なので、細かく言えばレコーディングスタジオの管理から、録音や音盤制作のスケジュール管理まで担当します。マネジメントチームとも一緒に動きます。マネジメントチームも一緒に組みます。
それ以外の核となる業務は、楽曲の仕入れです。うちの会社を例に挙げれば、2AM、イム・ジョンヒ、イ・ヒョンといった歌手の音楽的な色と作曲家を提案するのがA&Rです。
新人開発は、簡単に言えば「ステージに上がる実力と資格がある子たちを作り出す場所」です。つまり、激しく踊りながら生歌で歌えるように育てる場所です。これが最も重要です。そして、アーティストになった時に自発的に判断できるような人格の基礎を作る場所でもあります。
ですから、デビュー後、新人開発チームは喪失感を覚えるようです。デビューした後は悪口ばかり言われるので。実際、どんなに頑張っても褒め言葉を聞くのは難しいんです。
デビューしたての新人が完璧であることはあり得ませんから。そして、新人がステージでどれだけ上手くやっても、外部からの良い評価はすべて私のところに来ますから、新人開発チームが良いフィードバックを聞く機会は多くないんです。
チャ・ウジン:
縁の下の力持ちとして非常に努力するチームなんですね?
(パン・シヒョク:ええ、そうです)
私が知るところでは、ラップモンスター(RM)はPdoggが紹介して代表に提案したと聞きましたが、このような状況の場合、ラップモンスターは新人開発チームに直行するのですか?
パン・シヒョク:
ええ、すぐに引き継ぎました。その時は、まだシステムと呼べるようなものはなかったのですが。
最近は、最初に入ってきた子に対して、音楽を好きか、練習生としての資質があるかをチェックする期間が3か月ほどあります。3か月間は練習時間、レッスン時間を決めて、自主的に来るように言います。会社は何も口出ししません。
その後に簡易評価や基礎評価を行います。音楽が好きで、態度も良く、資質もあり、性格も良いようであれば、その時から本格的にオーダーメイドのレッスンが始まります。その時点から、私も結果を見つつ「何を教えろ、どうしろ」とディレクションをします。そして、期限を設けずに練習しながら待つわけです。
正式デビューの1年前になると、TF(タスクフォース)が結成されます。防弾TFを例に挙げると、各部署からプロジェクトの中心メンバーが集まります。毎週、候補者の練習映像を撮り、会議を経てメンバーを再構成します。交代させる子は交代させ、育てるべき子は育てながら、最後まで悩むのです。
その過程でチームの色を作ることになり、デビューの3か月前になると、パフォーマンスディレクターが直接ついて指導を始めます。
3か月前からは毎日映像を撮って私に送り、そうして毎日叱られるわけです。直して、変えての連続です。防弾少年団はデビュー前の3か月は本当にハードで、課題を出し続け、毎日チェックしていました。
チャ・ウジン:
基礎評価の内容を、もう少し具体的に説明していただけますか?
パン・シヒョク:
通常、曲も本人が決め、振り付けも本人が決めます。教える側は、ただ正しいことと間違っていることだけを教えてやります。基礎評価は毎月実施します。
チャ・ウジン:
ほとんど社内オーディションみたいなものですよね?
パン・シヒョク:
そうです。しかし、ラップモンスター(RM)が入ってきた頃には基礎評価がなかったんですよ。
(チャ・ウジン:それが3年前?)
ええ、3年前に防弾少年団プロジェクトが始まった直後に、私が「ラップは誰に習わせようか」「誰をスカウトしようか」……といったことを全部決めたのですが、やってみると練習生たちがきつそうでした。
それに、私たちは自主性を尊重するのですが、統制しないと言うことを聞かない子たちもいました。
途中で、心理カウンセリングの専門家をチーム長として呼んだこともあります。その方が人間性の側面からプログラムを設計し、それを基にシステム化して、すべてを総括できる基礎評価システムを確立したのです。
私は新人開発チームには、基本的に「音楽を好きではない子とは話したくない」と要求しました。
チャ・ウジン:
音楽を好きではないのに歌手になろうとするというのは……
パン・シヒョク:
ただ漠然と「芸能人になりたい」という子とは話したくないんです。
もちろん、芸能人になりたいというのは大いに結構です。才能がなければなれませんし。
でも芸能人が目的で、とりあえず歌を手段としてやってみよう、という子とは仕事をしたくないわけです。順序の問題です。歌が好きで歌っているうちに芸能人になるのは別ですから。
しかし、逆に「私は音楽が好きだが、芸能人はそのための手段に過ぎない」というのも嫌いです。それならステージの下だけで音楽をすればいい。私はステージも音楽も、どちらも愛している人であってほしいと思います。
チャ・ウジン:
最近よく使われる「エンターテイナー」というやつですね? 90年代にはなかった概念ですが。
パン・シヒョク:
ありませんでしたね。
私は音楽を愛し、自発性も才能もある、一種の多面体のような人間を求めています。ちょうど防弾少年団が出る時に、私のニーズと市場のニーズがうまく合ったように思います。
今はアイドルに実力以外にもアーティストとしてのある種のオーラのようなものも要求するじゃないですか。表現する方法を教える必要がなく、内にあるものを引き出せばいい子たち。会社はそれをもっと伸ばすためのガイド役をする程度、というか。

チャ・ウジン:
一般的に、外部からは新人アイドルグループが出ると「会社は今回どんなコンセプトを考えたのか」という見方をしますが、色々な人にインタビューしていると、防弾少年団については関係者皆がメンバー自身を中心に考えているという印象を受けますね。
パン・シヒョク:
そもそも自分が何をしたいのかをはっきり知っている子たちを望んでいましたし、結果的にそのような子たちが出てくれて幸せです。しかし、メンバーたちに100%任せきりにすることはできません。土台を作り、足りない部分は会社が補わなければなりません。
防弾少年団は少し特別で、本人たちがマネジメントと話し合って自分のスケジュールを調整するという点です。ただ決められたスケジュール通りに動くだけではないんです。メンバーたちが直接音楽を作らなければならないので、自分のスケジュールも管理できなければなりません。それができないと次のアルバムが出ないのです。
衣装も自分たちが着たいものが明確にありますし、防弾少年団のコンセプトは、メンバーの哲学が半分以上を占めていると思います。
チャ・ウジン:
では、防弾少年団を機にBig Hitがどのようなエンターテインメント会社になろうとしているのか、方向性が示されていると見ることができますね。
パン・シヒョク:
その見立ては正確だと思います。私も防弾少年団を出す過程で、自分自身のアイデンティティや、エンターテインメント会社の代表として進むべき道を定めることができました。漠然と「この方向へ行かなければ」と考えていたことを、具体的に整理するきっかけになったように思います。
これからどんな子たちを、どういう風に制作していくのか。グローバルにはどう適用するのか。そのあたりがすごく明確になりました。
チャ・ウジン:
実際のところ、Big HitからGLAMが出た時の反応は「Big Hitからアイドルを?」というものでした。例えるなら、ミネラルウォーター専門会社がコーラ事業に参入したような印象でした。
内部の経験値が不足している立場で、どのような判断をされたのですか?
パン・シヒョク:
それは会社のカラーというよりも、音楽産業の動向から語られるべき問題だと思います。これ以上、アイドルではないただの歌手だけで、産業的に意味のある会社を作ることはもうできない、と考えたのです。
アイドルではないチームと仕事をするなら、マネジメント会社と持分を分け合うのが一番良いんです。曲を上手く書いてプロデュースすれば、マネジメント会社が広報して、収益は5:5で分ける。
しかし、このようなシステムよりも、産業的に意味のある会社を作り、その中にロールモデルを提示したかったんです。今のSM Entertainmentがしているように。SMは、音楽産業の浮き沈みの中で持続的に成長するモデルを作った会社だと考えます。そういうロールモデルを提示しなければならないと考えながらアイドル制作を始めたのですが、これが簡単なことではありませんでした。
まず「曲が良ければいいだろう」と考えていたのですが、それだけではなかった。
アイドル市場は、私の個人的な能力や単に良い曲一つで動くのではなく、ターゲット層をどう攻略するかにかかっています。
だから、新人開発もアイドルに焦点を当てて猛烈に勉強しました。会社の全社員が集まって討論して。でも、ノウハウって勉強だけでは身につかないんですよね。単に制作者の勘だけでできるものでもないということを学んで、かなり後ろに下がりました。
チャ・ウジン:
Big Hitの方向性やビジョンを、構造的あるいは産業的な文脈で悩まれているとのことですが、それでもやはり市場性や商業性に対する個人的な判断があるのではないでしょうか? 例えば、GLAMとボーカロイドのSeeUが一緒に登場したり、ヒップホップアイドルという防弾少年団をデビューさせたり。
パン・シヒョク:
私はそれがアーティスティックなCEOだけでなく、すべてのCEOに必要な資質だと思います。単に市場を分析するだけで出る判断ではありません。そういう判断には、第一に「自分自身が好きかどうか」。おそらくSAMSUNGやAppleも同じだと思いますが、自分の好みが一番大事だと考えます。
そして第二に、感覚(勘)です。大きな決定は全面的に私の好みと感覚に依存していて、その責任も僕が取ります。その点については、少なくとも役員クラスでは異論はありません。「それがあの人の役割だ」と認識されているので。
ちなみに、昔はその好みが曲にも反映されていましたが、今は違います。
しかし、ファン向けコンテンツについてはよくわかりません。
私はAとBのどちらがいいのか分からないけど、訊けばファンマネジメントチームは「Aです」と即答します。理由を聞くと「分からないけどAがいいんです」と。それで、実際に出すと本当に皆がAを好きになるんです。
チャ・ウジン:
いい人材を採用できているとも言えますね。
パン・シヒョク:
そう言う人もいますね。ハハ。
本題に戻ると、変わったことをしたいのが私の性向で、だからBig Hitがあるとも言えます。多数決で顔の可愛い子を選んで、多数決で一番良いという歌を、多数決で一番良いという振り付けで進めることもできますが、そうしないことがプロデューサーがオーナーである会社の強みでもあると思います。良い悪いではなく、オーナーの特性によって会社ごとに性格が生まれるということです。

チャ・ウジン:
プロデューサーとして、アイドルと一般の歌手の違いは何だと思われますか?
パン・シヒョク:
アイドルはサービス業に近いと考えています。
明確なターゲット層があり、そのターゲットが求める好みがあります。ですから、アイドルはターゲット層が望む資質を備えていなければなりません。それが満たされた時に消費が発生します。もちろんどの歌手もファンサービスは基本ですが、アイドルにとってはそれ以上に重要なのです。
私は、一般歌手とアイドルを同列で語ろうとする風潮に不満があります。どちらが価値があるとか、優れているとかいう話ではありません。ただ「提供しているサービスが違う」というだけです。
ジャスティン・ビーバーに求めることとリル・ウェインに求めることが同じである理由はありませんよね。大きく見れば、アイドルは一般の歌手とは出発点が全く違いますし、だから同じ土俵で並列に語るべき要素がそもそもありません。共通しているのは「歌ってステージに立つ」という点くらいです。
チャ・ウジン:
とはいえ、どちらも歌がメインではありますよね? 良い曲が成功の前提であるという観点から、特にアイドル音楽が海外から曲を買うケースが増えている傾向についてはどう思いますか?
個人的には、チョ・グォンのソロアルバムが印象的だったのは、ただ買ってきただけではなくコラボレーションだったからだと思うのですが。
パン・シヒョク:
アイドルの場合、歌とステージパフォーマンスが加わって一つの「曲」を完成させます。
基本的にダンス音楽のトレンドはアメリカから始まりますが、韓国的な情緒が強い曲では完成度の高いステージを作るのが容易ではありません。ビート自体がそう構成できないからです。
私の個人的な見解では、海外の作曲家の音楽は韓国の作曲家の音楽よりもステージ構成がしやすい。
しかし、外国人アーティストとの協業がすぐにメジャー規模に成長するとは思っていません。音楽事業をさらに国際的に産業化させようという意志を持った少数グループでのみ可能なことだと見ています。
チェ・ミンウ:
では、その観点で見ると、最近のSMやYGの音楽がどんどん複雑になっている傾向は、ステージパフォーマンスのための解決策だと考えてよいでしょうか?
パン・シヒョク:
その通りです。ラップを書くときもダンスを考慮せざるを得ません。最近はビートだけでなくラップにも振り付けをつけます。ラップに人を興奮させる要素があってこそ、ダンスも踊れるのです。
私は防弾少年団メンバーよりもこの点をよく知っているので、たくさんアドバイスしました。
おっしゃる通り、音楽が複雑化しているのは100%ステージのためです。明らかに、楽曲にミュージカル的な構成を盛り込もうという意図があると思います。
チャ・ウジン:
事実、ステージパフォーマンスはK-POP固有の、メイン要素だと言えますよね。それが競争力となり、その基盤の上で音楽の形が変わってきていると見ているのですね?
パン・シヒョク:
そうです。ただし、これが音楽産業全体のスタンダードになるのは難しいでしょう。
例えば、小規模な会社100社が100種類の商品で競争している市場に、大企業が商品1つを持って参入した瞬間、その市場は整理されてしまいますよね。商品は1つでも、販売量で圧倒してしまうように。
韓国音楽界だけ見ても、複雑な構成の曲が大きなパーセンテージを占めているわけではありません。それでも、そういう曲だけが海外では“K-POP”と呼ばれるケースがある。それは、産業的視点で音楽を作る会社が生み出した結果なんです。

チャ・ウジン:
海外のミュージックマーケットのような場所に行かれたことはありますか?
パン・シヒョク:
私自身はありませんが、スタッフを送り出したことはあります。
でも正直なところ、何故行かなければならないのか、よく分からなかったんですよ。コラボのためでもなく、そこでトレンドを読むなんてなおさら意味がない。私は懐疑的なんです。
チャ・ウジン:
先ほど話された「音源市場の歪み」のような状況で、防弾少年団が実際に狙っている市場や収益性はどこにあると考えていますか?
パン・シヒョク:
音源市場は、もはや収益モデルにはなり得ません。音源を主な収入源として期待しないというのが、世界的な流れになったと思います。音源はCDを代替できません。
私は、これからはコンサート、グッズ、そしてエンドースメント(広告・スポンサー契約)で稼ぐべきだと考えています。
しかし韓国ではまだ、歌手は音楽を売るべきであり、それが真の価値だと考えています。
けれど18~19世紀には誰も音楽を売っていませんでした。20世紀初頭までだって、売っていたのは「楽譜と公演」だったわけですよね。
防弾少年団がアイドルをすると考えた時点から、音源収益には大きく期待していませんでした。「ただ、BIGBANGやWonder Girlsのように音源も成功したアイドルもいるから、私たちももしかしたら?」くらいの期待度で、音源で稼ぐという発想をしたことはありません。
むしろコンサートを最も重要視しています。
公演市場を狙うなら、最終的には中国に行かざるを得ません。日本は、今や「基本ライン」です。昔は国内がデフォルト、日本が進出、中国がオプションでしたが、今は国内と日本がデフォルト、中国が進出。こういう構図であるべきだと見ています。
二つ目はエンドースメントです。YGが非常によく見せています。公演がうまくいけば広告展開が可能になる。継続的に協賛をつけ、すべての広告が公演と共に動かせるようになります。
そして最後がグッズですが、これが結局収益モデルにならなければなりません。基盤はファンダムですが、そこから徐々に広がっていくべきだと考えています。
チャ・ウジン:
全く同感です。今おっしゃった方向性は、すでにアメリカのメジャーレーベルも目指しているところですし。
パン・シヒョク:
もちろんです、Live Nation(訳注:世界最大級のライブ興行会社)が音楽業界の前面に登場してきたのも、レコードビジネスには未来がないと判断した結果だと思います。彼らが音楽産業の核心だという考えです。だからJAY-Zとも契約し、韓国でも契約するわけです。
大手レーベルが次々と公演事業に振り替えているのは、アルバムを売っても採算が合わなくなっているからです。
チャ・ウジン:
では、少なくともBig Hitの場合は市場をより大きく想定しているように見えますが、中国進出についてもう少し詳しく教えてください。
パン・シヒョク:
中国が非常に重要な理由は、現在可能な市場がそこしかないからです。ブラジルは私が見るには飛行機代も出ないだろう。むしろ日本は縮小しました。
だから私はSMを見て「やはりSMだ!」と拍手しています。EXOが今のようにまっすぐ進めば、その次に東方神起やBoAがやったように市場を作ることができるのです。
私が見るに、中国はこれまでメイン市場だったことがほとんどありません。芸能人が一人二人ドラマを撮ったり、CFを撮ったりするだけでは、市場とは言えません。
チャ・ウジン:
では、防弾少年団に対する確信というか、押し進めることができる根拠というのは。
パン・シヒョク:
大きく二つあります。
プロデューサーとして防弾少年団を信念を持って押し進めることができる理由の一つは、彼ら全員がBig Hitで初めて練習生を始めた、いわゆるBig Hitの純血であるという理由です。
実はこういうケースは非常に異例です。たいていメンバーの中に一、二人は他の会社で練習生をしてから遅れて合流する場合が多い。とにかく、こういう理由で防弾少年団はプロデューサー / 制作者の意図を先入観なしによく理解してくれました。
そしてもう一つは、彼らは本当に音楽に対する情熱があるということです。メンバーのほとんどが10代前半から音楽とダンスを始め、幼い年齢にもかかわらず自分の夢を叶えるために他の分野で苦労し、Big Hitと縁を結ぶことになったのです。
この情熱は、本物です。それこそが、私が彼らを信じて進む原動力になっています。
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