小説 高校生戦隊ヒーローズ 23. 朱雀寮運営委員会室
運営委員会室のドアをノックすると応えがあった。
「失礼します。」
一ノ瀬を伴って部屋に入る。
正面に大きな窓、左右には整理された書類やファイルが収められた書類棚、中央にカタカナのコの字型に配置された長机がある。各机の前には椅子が3つずつ並べられているので最大9人で会議できる。
そしてドアの側にはキャスター付きのホワイトボードが配置されている。
その整理整頓の行き届いた運営委員会室の中央の机の前に春行先輩と副委員長の中野先輩が座って事務作業をしていた。中野先輩がこちらを見てにやにやする。
「おっ、赤点ボーイか、補習終わったか?ちゃんと勉強してきたか?」
ちょっと得意げに「ばっちりです!」と答えてみせてから「ところでへんなあだ名つけないでください。」と言ったのだが、「いやあ、あんなひどい答案なかなか見ないからさ~」とまったく悪びれる様子もない。ひどい答案なのは事実だけれど失礼な。
春行先輩が笑う。
「行人、お疲れ。隣の1年生は朱雀寮生じゃないな?どうしたんだ?」
そう尋ねる先輩たちに僕は一ノ瀬を紹介する。
「はい、玄武寮の1年生です、数学の補習を一緒に受けていました。まずは紹介タイムといきましょう。」
おっ、赤点ボーイズか、とか言う中野先輩はとりあえず無視だ、無視。
「先輩方、彼は1年6組の一ノ瀬律君です。一ノ瀬、左側にいるのが鈴木春行先輩、朱雀寮の運営委員長。朱雀寮には鈴木姓が何人かいるからみんな春行先輩と呼んでる。右側が中野先輩、運営副委員長。」
それから一歩下がって一ノ瀬が先輩方と挨拶するのを眺める。ふふふ、一ノ瀬がおじぎしたあと頭上げるとアホ毛がひょこっとして、おもしろいなあ。
挨拶が済んだところで僕は本題を切り出す。
「春行先輩に相談があって来ました。一ノ瀬が指導役の先輩になにかひどいことを強要されているみたいなんです。」
穏やかな笑顔を浮かべていた先輩の顔が険しくなる。
「それは具体的にどういうことなんだ?」
「僕も具体的なことは聞いていません。一ノ瀬はエッチなこと、と言っていました。」
そう言って一ノ瀬を見ると彼は頷く。春行先輩は厳しい表情のまま、僕たちを交互に見る。
「一ノ瀬、話しづらいかもしれないが、詳しく聞かせてくれ。中野、おまえも同席しろ。行人は・・・。」
それから僕の方を見て何か思案するような表情を見せた。
「行人、エッチなことと言われて想像つくか?」
そう聞かれたので正直に答える。
「実はよくわかっていません。スカートめくりされるとか、みんなの前ですっぽんぽんになって裸踊りさせられるとか、そんな感じでしょうか?」
すると春行先輩は表情を緩め、後ろにいた中野先輩に至っては「あはははっ!」と笑い出した。違ったらしい。
「行人は部屋で待っててくれるか?後で、呼びに行くから。」
春行先輩がそう言うので僕は「はい。」と返事をしてから、少し緊張気味の表情の一ノ瀬の方を向く。
「二人とも、いい先輩だから。だいじょうぶ。中野先輩は、ちょーっとお口が悪いけど。」
えーっ、とかなんとか中野先輩がぶうぶう言っているが、それもあって一ノ瀬も多少肩の力が抜けたようだ。表情が和らいで「うん」と頷いたので、僕はいったん運営委員会室を退室した。
( お泊り1 )に続く
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