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「合格後に何をする?」を考えよう!中小企業診断士に受かった後迷子にならないために

先日、わたしが講師を務めるTAC名古屋校の令和7年度診断士試験合格報告会が行われた。

WEB通信生を含め、合格者12名が集い交流を深めた。

コートヤード・バイ・マリオット名古屋のビュッフェを堪能
(写真は公式サイトより)

今年は本社事務局よりスタッフも参加しており、そこで聞いたのだが、令和7年度2次試験は全国的にTAC生が躍進したようだ。合格率は17.6%と低かったのにね。大変よきことである👏

難関試験に位置付けられる診断士試験に合格すれば、嬉しくもなるし、講師のわたしも教え子が受かれば、それはもう、大変喜ばしい。

しかしだ。わたしに言わせれば、合格したところで、その後の実務補習や実務従事後の診断士登録も含め、スタート地点に立ったに過ぎないのだ。

中小企業診断士試験合格はスタートライン

受験生時代のわたしは、仕事が終わってからの勉強、毎週末の講義、直前期の追い込み。自由に使えるすべての時間と労力を「合格」という一点に注ぎ込む日々だった。こう見えて、ストイックなのだ。

しかし、17年間この業界にいるからこそ、はっきり言えることがある。

合格はゴールではない。むしろ、そこからが本当のスタートラインだ。

そして、その「スタートライン」に立ったとき、驚くほど多くの合格者が立ち尽くしてしまう。何か活動したいと思って行動しても、その目的が曖昧だと、ボーナス期間である一年間があっという間に終わってしまう。

交換した名刺の枚数に満足していると、気がつけばたいして何も残っていなかった、なんてことはよくあるのだ。

合格直後の「燃え尽き症候群」

わたしがこれまで見てきた合格者の中で、もっとも危うい状態に陥りやすいのは、実は優等生タイプだ。

計画的に学習を進め、模試で上位を取り、本番でもきっちり結果を出す。いわゆる「正攻法で受かった人」ほど、合格後に何をしていいかわからなくなるケースが多い。

理由はシンプルである。試験勉強には「正解」があるが、診断士としてのキャリアには「正解」がないからだ。

受験時代は、過去問を解き続ければ手応えを感じられるようになる。予備校のカリキュラムに沿えば進捗が見える。しかし、合格証書を手にした瞬間から、その「レール」は消える。

わたし自身がまさにそうだった。

2008年に合格し、2009年に登録。企業内診断士として副業を始めたものの、「何をすれば稼げるようになるのか」「自分の専門分野をどう決めればいいのか」が全くわからなかった。周囲を見渡せば、独立して活躍している先輩診断士がいる。でも、自分がどうやってそこに到達すればいいのか、道筋はまるで見えなかった。

合格ノウハウはいくらでも無料で手に入るけど
本当に使える実務ノウハウは入手困難だ

結局、わたしが独立に踏み切ったのは2010年1月。登録からわずか9ヶ月後のことだ。当時の自分には、明確な事業計画があったわけではない。営業経験ゼロ、実績ほぼゼロ。

ただこのまま企業にいても、わたしのキャパシティでは中途半端になってしまいそうだった。周りが優秀すぎたのだ。

なんの後ろ盾もないが、自分の力で稼げるようになりたかった。

「合格後」のシミュレーションが、受験勉強を変える

誤解を恐れずに言えば、受験中から「合格後に何をするか」を考え始めるべきである。

「いやいや、まずは受かることが最優先でしょう」――そう思うかもしれない。もちろん合格しなければ話にならない。しかし、「合格後の自分」をイメージしている受験生と、そうでない受験生では、勉強へのモチベーションの質が根本的に違う。

前者は「合格」の先にある「何か」に向かって走っている。後者は「合格」というゴールテープだけを見て走っている。マラソンで言えば、42.195kmの先に何が待っているかを知っている走者と、ただゴールラインを目指す走者の違いだ。

どちらが息切れしにくいかは、言うまでもない。

わたしが講師として、意識的に受講生に伝えていることがある。

「この考え方(知識)は、実務でも使います」

「専門分野」は最初から決まっていなくていい

合格後によく聞かれるのが、「専門分野はどうやって決めたんですか?」という質問だ。

わたしの答えは、毎回同じである。

「自分で名乗り出したら、結果的にそうなった」

独立当初は、ジャンルを問わず依頼があれば何でも受けた。製造業の現場改善もやったし、飲食店の販促支援もやった。

そのうちネイリスト経験を活かし、美容業界専門を名乗るようになった。

美容業界の案件が来ると、他のジャンルよりも圧倒的に深い提案ができる自分に気づいた。当たり前だ。業界の商習慣、顧客心理、技術者特有の思考パターン、すべてを肌感覚で理解していたのだから。

だから、あなたに言いたいのは、「専門分野を今から決めなくてもいい。でも、自分の中にある『引き出し』の棚卸しは、今のうちにやっておいたほうがいい」ということだ。

あなたがこれまで経験してきた仕事。趣味で培ったスキル。日常生活で無意識にやっている観察や分析。それらすべてが、合格後の「武器」になりうる。

これまでのキャリアを棚卸ししよう!

先日の記事で書いた「名もなき家事」の話も、まさにそうだ。
主夫・主婦として培った感覚的活動(SA)は、コンサルティングの現場で最強の武器になる。自分では「大したことない」と思っている経験こそが、実は他者にとって替えがきかない価値を持っていることは少なくない。

まず行動する。でも思考停止でみんなと同じことをやらない

もうひとつ、合格後に差がつくポイントがある。それは人との繋がり方だ。

わたしは名古屋で、TAC卒業生のコミュニティ「QCCを主宰している。2ヶ月に1回、勉強会と交流会を実施し、規模の拡大は一切めざさない。正会員は全員がアクティブで、顔が見える関係性を保っている。

なぜこんなことをやっているかというと、合格後にもっとも大切なのは「学び続ける場」と「刺激し合える仲間」だからだ。

以前、別の記事で触れた通り、中小企業診断士の世界は「仕事を取り合わない」という、他の士業からすると異質な文化を持っている。

先輩が後輩に仕事を紹介し、経験を積ませ、やがてその後輩が次の世代に同じことをする。この循環は、自動的に起こるものではない。自分から繋がりに行き、自分の価値を示し、信頼を積み上げる人にだけ、回ってくるものだ。

価値創造による信頼の積み上げはAIだけでなし得ない

受験生のうちにできることは、実は多い。

たとえば、受験仲間とのつながりを大切にすること。独学ならSNSで情報発信を始めてみること。合格者が集まるイベントに顔を出してみること。勉強会を自分で企画してみること。

合格後は実務補習やら登録手続きやらが済むと、いつも通りの日常生活に戻り、気がつけば「合格同期」とは疎遠になっていた、というケースは珍しくない。

そのとき、受験時代や合格直後に築いた繋がりがあるかないかで、その先の診断士ライフは大きく変わる。

一方で、周りに流され過ぎて、とりあえず行動を共にし、貴重な最初の1年をあまり有意義に過ごせないケースもよく見る。

「どこに身を置くことで、自分が楽しく過ごせるか?」
と同時に
「誰と繋がることで、自分自身を成長させられるか?」
を考えた方が良い。

「わたしは何者か」を語れるか?

最後に、もっとも根本的な話をする。

合格後に活躍している診断士と、そうでない診断士の最大の違い。それは「自分が何者であるか」を自分の言葉で語れるかどうかだ。

わたしの場合、自己紹介はこうだ。

「ネイリストから中小企業診断士に転身し、美容業界専門の経営コンサルタントとして独立17年目。今は生成AI・DX戦略コンサルタントを主軸とし、様々な講師業もやっています」

30秒もかからない。しかし、この一文に、わたしの専門性と差別化ポイントと信頼性の根拠がすべて詰まっている。

これは一朝一夕にできることではない。何年もかけて実務を積み、試行錯誤を重ね、取捨選択を繰り返した結果として、ようやく研ぎ澄まされた「自己紹介」が完成する。

でも、その第一歩は「自分は将来、何者になりたいのか」を考えることから始まる。

「診断士として、わたしは何をする?」
「どんな人の、どんな問題を解決したい?」
「そのために、今の自分が持っている武器は何だ?」

この問いに向き合える人なら、必ず前に進める。

試験は通過点にすぎない。その先にある「あなただけの診断士像」をイメージすること。それが、最高のキャリア戦略である。

合格した、今、その時から始まるのだ。

以下は、診断士受験生に向けて伝えたい、理想的なイメージだ。
ぜひポジティブなイメージを持って、日々の勉強に取り組んでほしい。


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